「本当の気持ち」を話せるだけで、人は救われる

イメージ 1
「本当の気持ち」を話せるだけで、人は救われる
 
自分の状況を誰かに聞いてもらうと、
視野がスッと広がることがあります。
そんな話をできる相手が、
「心の生命線」になることもあるのです。
 
お互いの「理解」は合意された「誤解」だとはいえ、人は、誰かに話を聞いてもらうだけで救われることがあります。
それを教えてくれたのは、永平寺時代の忘れがたい体験です。
ある夏の日、午後5時頃のことでした。
「ずぶ濡れで門前に座っている人がいるから見てきて欲しい」と言われて行ってみると、確かに若い男性がびっしょり濡れた姿で座っていました。
 
事情を聞くと、死ぬつもりで永平寺の前にある川に飛び込んだが、死にきれなかったと言います。
川といっても、膝ほどの深さしかない小川です。
人騒がせだと思いましたが、放っておくわけにもいきません。
部屋に上げて私の作務衣を着せ、話を聞くことにしました。
男性は、中学生の頃から32歳となった今まで、ずっと引きこもってきたとのこと、臨床心理士精神科医のもとには通っていましたが問題は解決せず、もう死ぬしかないと思い詰め、「なんとなく」永平寺まで来たと言います。
引きこもった原因を尋ねると、小学生4、5年生のとき、猛烈ないじめに遭ったことだと言いました。
よくある話ですが、本人にとっては重大な話です。
 
まずは話を聞くしかないだろうと、好きなように話をしてもらいました。
しかし、いざ話が始まって驚きました。
いじめられたのは20年以上も前の話ですが、彼の時間は小学生の時点で止まっていたのです。
記憶は鮮明で、1日どころか1時間単位で、彼は当時の出来事を語り出しました。
 
当初私は、2時間もあれば話は終わるだろうと見積もっていました。
しかし、2時間を過ぎた時点で、まだいじめが始まって2日目の出来事が終わりません。
これは長丁場になると思いました。
午後10時になり、もう彼の気の済むまで話を聞くしかないと覚悟しました。
永平寺では、午後9時に全館消灯です。
遅くとも10時までには就寝していなければなりません。
上司に理由を話して許可をもらい、話を聞き続けました。
やがて夜が明け、朝の坐禅とお勤め(読経)が始まりました。
事情を察した仲間の僧侶がお茶を運んでくれましたが、それまでトイレにも行かず、お茶も食べ物も口にせず彼はせつせつと話し、私は聞き続けました。
 
朝になると、さすがに彼も疲れてきたようです。
「もう話すことはないの?」と尋ねると、しばらく「うーん」と悩んで「もうないです」と言いました。
時計は、午前5時を指していました。
私が「この話、誰かにしたことあるの?」と聞くと、「初めてです」と言います。
彼が通っていた医療機関では、診察は1時間と決まっていて、次の診療では、また最初から話をしなければならなかったのだそうです。
驚くべきことに、彼の胸のうちをとことん効いてくれる人間は、子ども時代から今まで、誰ひとりいなかったのです。
私は言いました。
「君の話はわかった。とにかく今日は帰りなさい。死ぬことはいつでもできるから。とにかく帰って、それでも死にたいと思ったときは、僕に連絡しなさいよ。こう言ってはなんだけど、僕は君に12時間つき合ったのだから、それくらいの義理はあるとおもうよ」
「わかりました」と言う彼に、「これだけは約束だよ。死ぬ前に必ず来てね」と声をかけ、見送りました。
 
1ヵ月ほどして、男性から手紙が届きました。
「あのときは、ありがとうございました。今、僕と同じようなイジメで不登校になった子を支えるボランティア活動に参加しています」と書いてありました。
「ああ。これで彼はなんとかやっていけるだろう」と安堵しました。
 
たった一度、自分にとって最大のトラウマを誰かにじっくり聞いてもらうだけで、人は一歩を踏み出せる。
そういうことがあります。
話を聞く側としては、相手に伴走するつもりで、求められるかぎりはつき合う覚悟が必要です。
私が常にその覚悟で相談者と話すと決めているのは、このような体験があったからです。
ふだんから、自分の状況を言葉にして誰かに聞いてもらうと、視野がスッと広がる場合があります。
漠然とした悩みや不安を、人にわかる言葉にすることで、自動的に頭が整理できるからです。
そんな話をできる相手が、生きるうえでの生命線になることもあるのです。
「禅僧が教える心がラクになる生き方 より」
 
*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*
 
新しい生活パターンへの対応、とくに人間関係の変化は想像以上に心身への影響が大きい。
気分が落ち込んだり一時的にうつ状態になってしまうこともあります。
とはいえ、そのうちに治ってしまうことが多いので、うつ状態でも必ずしも病気とは言えません。
しかし、落ち込みの程度が重い時や、落ち込みが長引いてしまうと、人の意欲は奪われて行動にも影響を及ぼします。
 
私たちの脳の中で司令塔のような役割をしているセロトニン神経という神経細胞が弱ってきており、軽い不調からうつ病、パニック症候群、さまざまな依存症などを引き起こす原因になっています。
この現象は大人から子どもまで老若男女に広がっています。
 
脳には無数の神経細胞があり、その神経細胞の末端からセロトニンアセチルコリンドーパミンなどの神経伝達物質を放出しています。
それらによって次の細胞に情報を伝えていき、それが網の目のようにいっせいに行われることで、情報が瞬時に伝わり、手や足などの末端まで伝達されていきます。
しかし、その伝達情報がうまくいかないと、脳が興奮して抑制が効かなくなり、イライラしたり、落ち着かなくなったりします。
イライラしやすいときは、脳の神経伝達物質であるセロトニンアセチルコリンドーパミンなどが不足していることが考えられます。
そのため、これらの材料となるアミノ酸と、アミノ酸を取り込むために必要な糖分やビタミンB12の不足を疑ってみましょう。
 
脳を酷使するときには、たくさんのビタミンB群が消費されています。
B群は脳の働きに重要な役割を担っているのです。
神経の働きを整えたり、傷んだ神経を補修したり、タンパク質をドーパミンセロトニンといった神経伝達物質に作り替えるなど、「脳力向上」のためにもB群は欠かすことができないのです。
 
ビタミンB12について?
ちょっと使える身近な情報をお届けしています!