膝の痛み……ビタミンB群、たんぱく質

イメージ 1
膝の痛み……ビタミンB群、たんぱく質
 
「膝に水がたまる」という表現を聞いたことがあるかもしれません。
これは「関節水腫」という症状で、たまるのは関節液です。
関節がたまるのは炎症を起こしているためですから、痛みを伴い、腫れたり、熱を持ったりします。
 
膝関節は関節包と呼ばれる袋に包まれています。
関節液はその関節包のなかにあり、関節をスムーズに動かす役目を果たしています。
古くなった関節液は吸収され、新たな関節液が分泌されてそれを補いますから、その量は一定に保たれています。
ところが、膝関節に炎症が起こると、関節液は過剰に分泌されて、関節包にたまってしまうのです。
 
炎症には腸内環境もかかわっています。
腸内環境が悪いと、腸の粘膜に隙間が空き、そこから異物が入り込みます。
すると、免疫反応によって免疫複合体がつくられます。
この免疫複合体は関節の滑膜に沈着しやすく、その部分に炎症を起こすのです。
 
たまった関節液は注射器で抜きますが、炎症がなくなったわけではありませんから、あくまで一時的な処置。
炎症を抑えるには抗炎症剤も使いますが、やはり食事の改善と筋トレが必要です。
 
肉を食べてたんぱく質を摂り、筋トレで筋肉をつける。
筋肉がつけば血流が増えて関節への栄養補給がよくなり、その結果炎症も改善し、関節液は徐々に減っていきます。
 
サプリメントを使った患者さんもいました。
2ヵ月くらいは関節液を抜いていたのですが、その後、ビタミンB群を大量に摂ってもらうことにしたのです。
ビタミンB群に注目したのは、ポーリンク博士が著書のなかで「ビタミンB6が粘膜を収縮させる」と指摘されていたことを思い出したからです。
 
2週間後、診察をすると何ヵ月間もたまっていた関節液がすっかりなくなっていました。
その後、2~3ヵ月にわたってビタミンB群をとり続けた患者さんは、通院しなくてもよくなるまでに回復しました。
 
変形性膝関節症も高齢者に起きやすい膝のトラブルです。
加齢に伴って膝関節の軟骨が弾力を失い、すり減って、変形してしまうのですが、女性に多く見られ、男女比は1対4程度とされています。
変形によって間接が滑らかに動かなくなり、痛みが出てきます。
 
変形性膝関節症では筋肉をつけることが大切です。
筋肉の原料であるたんぱく質を十分に摂り、筋トレをする。
とくに大事なのが大腿四頭筋(太ももの前側の筋肉)です。
変形性膝関節症の痛みを訴える人は、この筋肉が落ちていることがほとんどです。
 
それは、寝たきりのはじまりといってもいいでしょう。
立ち上がる、歩く、走る、階段を上るといった動作で使われるのがこの筋肉ですから、衰えたらそれらの動作ができなくなります。
 
痛みに対する栄養療法としては、コンドロイチンとグルコサミンを組み合わせて摂ることです。
治療効果を期待するなら、それになりの量を摂る必要があります。
クリニックでも、大量にグルコサミンとコンドロイチンを摂取した患者さんで、痛み止めでも、注射でもとれなかった痛みがとれた、著しく軽減したという人はたくさんいます。
 
ちなみに、栄養療法には「至適量」という言葉があります。
その人にとって効果があらわれる栄養素の量のことです。
人の体は一人ひとり違いますから、至適量にも個人差があります。
 
グルコサミン学会では、関節の痛みをとるには4000mg以上の摂取が必要だともいわれています。
もちろん、数値は人によって違います。
3000mgの人もいれば、5000mgが至適量だという人もいるわけです。
 
といっても、グルコサミンとコンドロイチンが軟骨を修復してくれるわけではありません。
痛みをとってくれる“主役”は、この2つからつくられるプロテオグリカンという物質です。
プロテオグリカンはヌルヌルした状態の物質で、潤滑剤のような働きをして、関節内の軟骨同士の滑りをよくしてくれます。
そのため関節の動きがよくなり、痛みがなくなるのです。
 
グルコサミンとコンドロイチンの作用は体全体に及びます。
高齢者の肌は薄くなり、水分もなくなってきます。
プロテオグリカンには組織に水分を補給する作用がありますから、皮膚はうるおいを取り戻します。
また、排便もスムーズになります。
腸のなかの便の滑りがよくなるからです。
これは患者さんたちが実感しているようです。
 
グルコサミンとコンドロイチンを「大量に摂る」という表現しましたから、摂りすぎによる副作用、弊害はないのか、と考える人もいるでしょう。
 
コンドロイチンについていえば、それがそのまま作用するわけではないのです。
サプリメントとして摂取したコンドロイチンは、分解され、体のなかでつくられるコンドロイチン硫酸の材料となります。
このコンドロイチン硫酸がプロテオグリカンで、これが関節で作用するわけです。
過剰症の心配はありません。
 
一方、グルコサミンについては一部で過剰症が起きる可能性を指摘されてもいるようです。
しかし、これはグルコサミンを抽出するエビ、カニなどの甲殻類に対していわれていることです。
 
抽出の際の精製度が低いと、エビ、カニの成分が残ってしまい、それを甲殻類アレルギーの人が摂った場合、アレルギーが発症する可能性があります。
グルコサミン商品をチェックし、エビ、カニから抽出されているものを避ければ大丈夫でしょう。
「骨と筋肉が若返る食べ方 より」
 
*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*
 
イタリアで、子供に完全菜食を強いる親に対し、禁固刑の罰則を与えるという変わった法案が議会に提出されました。
肉や魚を食べない人を菜食主義者の「ベジタリアン」と呼ぶのに対し、肉や魚だけでなく、卵、バター、はちみつなど、動物搾取による製品も食さない人を完全菜食主義者の「ビーガン」と呼んでいます。
つまり、イタリアでは、子供に肉、魚、卵などを与えないビーガンの親は、法律で罰せられるべきという議論が持ち上がっているのです。
なぜ、このような法が提案されるに至ったのでしょうか。
イタリアでは、ビーガンが人間にとって、著しく健康に良いという考えが普及した結果、動物性の食物をすべて取り除いた食事を子供たちに強要する傾向が見られるのです。
このブームが影響し、ここ最近では、乳幼児や2歳の子供たちが栄養失調で病院に運ばれ、時には、危篤状態に陥る事態などが発生。
幼少時に必要なプロテイン、ビタミンD、B12、カルシウム、オメガ3、鉄分などがビーガンには足りないという問題が危惧されているのです。
 
確かにお肉を食べなければ、ベジタリアンですが、ただそれだけでは、健康的なベジタリアンとは呼べません。
お肉には、私達の体が必要とする必須アミノ酸がバランスよく豊富に含まれています。
それに匹敵するほど効率よく必須アミノ酸を私達の体に提供できる野菜はありませんから、お肉を食べずに体を健康的に保つには、それなりの方法を知らなくてはなりません。
 
また、ビタミンB12を含む穀類、イモ類、野菜、果物、種実はありませんから、ビタミンB12の欠乏症に陥るベジタリアン/ビーガンが多いのが現状です。
動物性食品以外では、発酵食品、海苔に含まれているのみです。
これだけは必ずしっかり毎日の食事に加えるようにしましょう。
加齢、胃の病気、ストレスなどでも不足します。
 
ビタミンB12は、胃の粘膜から分泌される内因子という糖タンパクと結合し、腸で吸収されます。
そのため胃の病気や高齢で吸収が悪くなっている人などの場合は吸収されにくくなるので、欠乏症状が現われやすくなります。
ビタミンB12は細胞の生成にとって重要な、核酸たんぱく質の合成に関わっているため、健康維持に無くてはならない栄養素なのです。
新しい核酸、タンパク質が生まれ、それによって細胞も新しく生まれ変わり、「こわれた組織、細胞」と「新生の組織、細胞」が入れ替わります。
その結果若さにもつながることにもなります。
 
ビタミンB12について?
ちょっと使える身近な情報をお届けしています!