胃にも「筋トレ」が必要!

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胃にも「筋トレ」が必要!
 
年齢を重ねるにつれて、若い頃のように食事が進まなくなった、と感じている人は少なくないのではないでしょうか。
昔は肉をガッツリ食べることができたのに、最近はどうも胸やけがする、食事の量も全体に少なくなってきた……。
 
加齢に伴って体の機能が低下していくのは致し方ないことです。
胃も例外ではありません。
しかし、それは年齢だけの問題でしょうか。
 
高齢者のなかにはいの不調を訴えて内科で診てもらい、「萎縮性胃炎」と診断された人が少なくないはずです。
胃の動きが悪くなり、胸やけなどの症状が出てきます。
そして、そのような症状は「逆流性食道炎」と呼ばれます。
そこで処方されるのが胃酸を抑える薬です。
 
実はそのことが胃の機能低下につながっているのです。
 
消化物を受けとった腸は栄養素を吸収します。
ところが、薬で胃酸が抑えられていると、消化作業に支障をきたしますから、未消化のものが腸に送り込まれることになり、腸でも栄養素がうまく吸収できないのです。
 
また、胃酸には強い殺菌力があって、その殺菌力で病原菌を退治し、腸内環境を整えるという大切な働きがあります。
胃酸が出なければ、胃で菌が殺菌されないため腸内環境が悪化し、さらに吸収が悪くなります。
 
もちろん、主治医と相談することが必要ですが、可能なら胃酸を抑える薬を、胃の機能をサポートする消化酵素剤に替えることも考えてみたらいかがでしょう。
 
逆流性食道炎によって起こる胸やけやげっぷを抑えるのではなく、動きが悪くなってしまった胃の機能を上げたり、萎縮した胃の粘膜を修復していこうと考えるのが栄養療法です。
胃粘膜の修復をする作用を持っているのが、グリシン、グルタミン、ビタミンA、鉄、亜鉛などです。
それらの栄養素を的確に摂ることで、粘膜の修復も可能であると、考えています。
 
また、吸収率を高めるという面ではビタミンCが有効です。
実は胃酸にはビタミンCが含まれています。
カルシウムやマグネシウム、鉄などのミネラルは胃酸の力を借りて吸収されるのですが、その吸収を助けてくれるのがビタミンCです。
 
そして、胃の機能を高めるためにもっとも提唱したいのが「胃の筋トレ」です。
胃も平滑筋という筋肉でつくられている組織です。
筋肉であればトレーニングによって強化できます。
 
胃の筋トレ法はたんぱく質を摂ることです。
幽門が閉じるためには高分子の成分が入ってくることが必要なのです。
高分子であるたんぱく質を摂り、幽門を閉じさせて、胃を働かせる、胃の筋肉を動かす、すなわち“胃の筋トレをする”ことです。
 
食事のときは、まずたんぱく質や食物繊維を含むものを食べる。
すると、胃は幽門を閉じてしっかり働きますから、その後に糖質食品を食べるようにしましょう。
同時に先に上げた粘膜を修復する作用があるグリシン、グルタミン、ビタミンA、鉄、亜鉛などを摂ると、「筋トレ効果」はさらに上がります。
 
また、筋トレのサポート役として、天然の消化酵素も活用しましょう。
大根おろしやショウガ、青パパイヤ、アボカド、キャベツなどには、たんぱく質を消化する酵素が含まれています。
焼き魚に大根おろしが添えられていたり、肉のタレにショウガを使ったり、トンカツとキャベツの千切りがセットだったりするのは、先人の知恵といえます。
 
おろしと一緒に食べるとスッキリする、ショウガを使うと胃もたれしない、キャベツと一緒だとサッパリする、といった経験から、そうした組み合わせが定着したのでしょう。
 
ただし、おろしたて、つくりたて、というのが条件です。
時間がたつと酸化してしまうため天然酵素はパワーを失います。
 
たんぱく質の摂取でおすすめしたいのは、何といっても赤身の肉です。
高齢者の食生活には取り入れにくいかもしれません。
歯の問題があるからです。
 
 しかしこれも工夫次第。
噛みやすい状態にして食べればいいのです。
 
 ひき肉は高齢者が赤身の肉を食べるのに、最適な食品といっていいかもしれません。
しかも、料理のバリエーションも豊富です。
定番のハンバーグはもちろん、ロールキャベツ、肉団子、キーマカレー……。
そぼろにしてご飯(量には注意)の友として常食するのもいいでしょう。
 
 もうひとつは量の問題です。
一般的には年をとれば食も細くなるものです。
肉は好きだし、よく食べるものの、少量しか食べられないという人も少なくありません。
 
 たしかに、150gとか200gの肉を一度の食事で平らげるのは大変です。
ならば、何度かに分けて食べたらいいのです。
朝昼晩に分ければ、一度に食べる量は負担にはならないはずです。
あるいは、もっと小分けして小腹がすいたときに口にするようにする。
1日4食でも5食でもいいのです。
この「少量頻回食」方式は肉をたくさん食べるためのポイントといっていでしょう。
 
 高齢者には、意識して野菜を食べるようにしているという人が多いのではないでしょうか。
それも肉を食べることに結び付けられそうです。
野菜をサラダで食べるのではなく、肉と一緒に食べるのです。
 
 焼き肉では肉をサンチュで巻いて食べたりします。
まさにあのスタイルです。
野菜はなるべく単独では食べない、肉を食べるためのツールとして使う。
そんな意識を持ったらいいと思います。
 
 野菜は生より加熱したもののが、量が食べられます。
ひと手間かけて温野菜にするのも十分な量を摂るためのコツです。
手間をかけるといっても茹でるだけですから、さして面倒なことではないはずです。
例えば、野菜たっぷりの具だくさんのみそ汁にすれば、ミネラルも効果的に補給できます。
「骨と筋肉が若返る食べ方 より」
 
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今から60余年前、アメリカの月刊誌『リーダーズダイジェスト』は、“赤いビタミン(ビタミンB12)が悪性貧血の患者を救う特効薬だ”と報じてセンセーショナルな話題を提供しました。
以来、ビタミンB12”は、世界的に研究者の注目を集め、それに関連した研究にはいくつものノーベル賞が与えられてきました。
そして今では、ビタミンB12は、悪性貧血のみならず神経や免疫系にも効果があることが明らかになり、高齢者のうつや認知症の予防等に利用されています。
 
食べ物に含まれるビタミンB12は、そのままの形では吸収されません。
胃から分泌された内因子と結合する必要があるのです。
現在60歳以上の人の20パーセントでビタミンB12の欠乏が見られます。
これは歳をとると胃の機能が低下し、内因子の分泌が低下するからです。
血液検査では見つけられないような軽度のビタミンB12の欠乏でも、認知症に似た神経異常を引きおこすことがあります。
とくに高齢者では、ビタミンB12の値が基準値の範囲にあっても、それが下限値の場合には、記憶障害をおこすことが知られています。
 
近年、日本人の死因の上位占めているガン・心筋梗塞・脳血管系の疾患、そして高血圧症などの生活習慣病の多くは、戦後、日本人の食生活が欧米化し、動物性食品を多くとるようになったことに起因すると言われています。
長寿のためには、動物性食品を控えた方が良いという事ですが、一方では動物性食品を摂らないことからビタミンB12を摂取できなくなる恐れがでてきます。
ビタミンB12を摂取できないことで、脳のビタミンとしての作用が欠落してしまうという深刻な問題も起きています。
ビタミンB12には、脳の血流をよくするとともに、脳神経の働きを改善あるいは促進する作用があります。
同時に、動脈硬化の原因となるホモシステイン活性酸素(ふえすぎると体に害を及ぼす非常に不安定な酸素)を除去する働きも持っています。
 
ビタミンB12について?
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