貧血の陰に隠れていた別の病気

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貧血の陰に隠れていた別の病気
 
骨や筋肉をつくっているコラーゲンも、たんぱく質だけが原料ではありません。
十分な鉄とビタミンCがあってはじめて、健康なコラーゲンが合成されるのです。
 
クリニックに、右下腿が痛いといって来院した女子高生がいました。
診断は右頸骨疲労骨折でした。
学校ではバレーボール部に籍を置いているとのこと。
問診でいくつかのことがわかりました。
 
立ちくらみ、頭痛、めまい……これらの症状の裏には実は鉄不足が隠れているのです。
疲労骨折の治療のために部活を休んで、「ヘム鉄」を摂ってもらうことにしました。
同時に糖質を減らして、鉄が豊富に含まれている赤身の肉やレバーを食べるように食事指導をおこないました。
 
それから2ヵ月。
骨折部にはしっかりした仮骨ができました。
鉄の積極的な摂取が骨の修復を促したのでしょう。
 
この患者さんもそうですが、部活で運動をしている中高校生は、ご飯(白米)をとにかく食べます。
高校の野球部などでは、丼飯を最低2杯食べるように指示されているところもあると聞きます。
 
そんな食事で糖質過多になっているのに加えて、ほとんどの場合、鉄が不足しています。
その状態で激しい運動をしたら、骨折したりケガをするのは、栄養面から見れば当然です。
 
その年代だけではありません。
整形外科では男女問わず、子どもから高齢者まで幅広い年齢層の患者さんが対象になりますが、血液検査をしてみると、男女とも、あらゆる年齢で鉄が不足しています。
日本人のほとんどが鉄不足だと思っています。
「一億総鉄不足」といっても過言ではないかもしれません。
 
ただし、一般の血液検査ではそれはわかりません。
 
貧血があるかないかではなく、鉄不足を見抜くことが、思いがけず意外な病気の発見につながることがあります。
こんなケースがありました。
 
長期にわたって首の痛みを訴えている患者さんがいました。
当初、まだ栄養療法と出会っていなかったので、通常の整形外科の治療をしていました。
薬を出したり、リハビリをしてもらったり、首に痛み止めの注射をしたり、といったものです。
 
患者さんはしばらくクリニックに来られることはなく、その間に栄養療法を学びました。
1年半後、首の痛みがぶり返し再びやってきた患者さんに、血液検査をすることをすすめました。
 
検査をしてみると、貧血があることがわかりました。
そこで、鉄不足の解消を中心にそのほかの足りない栄養素を摂ってもらうことにしました。
鉄を摂って血流をよくすることで、筋肉にも栄養が行き届いて状態がよくなり、また、たまっている疲労物質が流れて、痛みをとることにつながっていくと考えたからです。
 
さらに、血液検査でもうひとつわかったことがありました。
BUN(尿素窒素)の数値が高いのです。
この数値が高いときは上部消化管からの出血が疑われます。
 
消化管からの出血は貧血とも整合性がとれます。
内科の検査をすすめ、その結果、なんと大腸がんが見つかったのです。
患者さんはすぐに治療をはじめました。
栄養療法の血液検査をしなかったら、がんの発見はもっと遅れていたでしょう。
 
同じようなケースがもうひとつあります。
圧迫骨折をした患者さんに大腸がんが見つかった患者さんとの共通点があったことから、内視鏡検査をすすめたのです。
見つかったのは早期胃がんでした。
 
貧血にはめまいや息切れ、動悸、倦怠感といった基本的な症状があります。
しかし、貧血が教えてくれるのはそれだけではありません。
消化管などからの出血、さらにはがんも貧血から知ることができるのです。
 
鉄不足を見抜くことの重要性が、そこにもあります。
「骨と筋肉が若返る食べ方 より」
 
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イタリアで、子供に完全菜食を強いる親に対し、禁固刑の罰則を与えるという変わった法案が議会に提出されました。
肉や魚を食べない人を菜食主義者の「ベジタリアン」と呼ぶのに対し、肉や魚だけでなく、卵、バター、はちみつなど、動物搾取による製品も食さない人を完全菜食主義者の「ビーガン」と呼んでいます。
つまり、イタリアでは、子供に肉、魚、卵などを与えないビーガンの親は、法律で罰せられるべきという議論が持ち上がっているのです。
なぜ、このような法が提案されるに至ったのでしょうか。
イタリアでは、ビーガンが人間にとって、著しく健康に良いという考えが普及した結果、動物性の食物をすべて取り除いた食事を子供たちに強要する傾向が見られるのです。
このブームが影響し、ここ最近では、乳幼児や2歳の子供たちが栄養失調で病院に運ばれ、時には、危篤状態に陥る事態などが発生。
幼少時に必要なプロテイン、ビタミンD、B12、カルシウム、オメガ3、鉄分などがビーガンには足りないという問題が危惧されているのです。
 
確かにお肉を食べなければ、ベジタリアンですが、ただそれだけでは、健康的なベジタリアンとは呼べません。
お肉には、私達の体が必要とする必須アミノ酸がバランスよく豊富に含まれています。
それに匹敵するほど効率よく必須アミノ酸を私達の体に提供できる野菜はありませんから、お肉を食べずに体を健康的に保つには、それなりの方法を知らなくてはなりません。
 
また、ビタミンB12を含む穀類、イモ類、野菜、果物、種実はありませんから、ビタミンB12の欠乏症に陥るベジタリアン/ビーガンが多いのが現状です。
動物性食品以外では、発酵食品、海苔に含まれているのみです。
これだけは必ずしっかり毎日の食事に加えるようにしましょう。
加齢、胃の病気、ストレスなどでも不足します。
 
ビタミンB12は、胃の粘膜から分泌される内因子という糖タンパクと結合し、腸で吸収されます。
そのため胃の病気や高齢で吸収が悪くなっている人などの場合は吸収されにくくなるので、欠乏症状が現われやすくなります。
ビタミンB12は細胞の生成にとって重要な、核酸たんぱく質の合成に関わっているため、健康維持に無くてはならない栄養素なのです。
新しい核酸、タンパク質が生まれ、それによって細胞も新しく生まれ変わり、「こわれた組織、細胞」と「新生の組織、細胞」が入れ替わります。
その結果若さにもつながることにもなります。
 
ビタミンB12について?
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