鉄の摂り方にはコツがある

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鉄の摂り方にはコツがある
 
鉄にはヘム鉄のほかに、「非ヘム鉄」と呼ばれるものがあります。
鉄などのミネラルは体内では合成されませんから、基本的には食事から取り入れなければなりません。
食品に含まれるのはヘム鉄、または非ヘム鉄の2つです。
まず、この2種類についてお話しましょう。
 
ヘム鉄はレバー、赤身肉、イワシやカツオなどの肉や魚に含まれています。
その特徴のひとつは、胃にやさしい、つまり、胃腸にダメージを与えないことです。
これは、ポルフィリン環というたんぱく質に挟み込まれた状態で存在しているからです。
そのため、その中心にある鉄はFe2+の形で存在できるのです。
 
お茶などに含まれるタンニンは鉄の吸収を妨げますが、ヘム鉄はその影響をほとんど受けません。
酸素以外の邪魔者からもFe2+を守ってくれているようです。
 
一方、非ヘム鉄はFE3+の形で存在しています。
青のりや干しひじきなどの海藻類、きくらげ、ほうれん草などの野菜類などに含まれます。
 
こちらはヘム鉄とは対照的で、胃腸にダメージを与えることがありますし、タンニンの影響を受けやすいといわれています。
なぜなら、電子を奪われたFE3+はほかから電子を奪い返したい、すなわち相手を酸化したがっているからです。
 
そして、FE3+はFE2+に変わるときに活性酸素という別の厄介者をつくってしまいます。
ちなみに、貧血治療で病院から処方される鉄剤の服用後に、吐き気や胃の不具合を感じることがあるのは、活性酸素が胃腸の粘膜を攻撃するからです。
 
野菜などに含まれる非ヘム鉄(Fe3+)は、そのままでは吸収されにくいため、ビタミンCや酵素によってFe2+の形に変えられると吸収されやすくなります。
ヘム鉄を吸収するには手間がかかるのです。
 
そのためヘム鉄と非ヘム鉄では吸収率が格段に違います。
ヘム鉄の吸収率が15~20%であるのに対して、非ヘム鉄は5%以下しかありません。
効率よく鉄分を摂るにはヘム鉄を含む動物性食品がはるかに有効です。
 
さて、ここでもうひとつお話ししておくべき鉄の話があります。
ここまでは食品中に含まれる鉄についてでしたが、次はサプリメントの鉄についてです。
 
ヘム鉄はポルフィリン環に挟まれているといいましたが、このような形を「キレート鉄」といいます。
この「キレート」とは「挟む」という意味です。
キレート鉄は生体が利用しやすいFe2+の形の鉄を、あるもので挟んでいるため体に優しい鉄といえます。
このためキレート鉄はサプリメントとして大変に有用なものになります。
 
今現在でキレート鉄のサプリメント2種類あって、ひとつは“天然物”のヘム鉄のサプリメント、もうひとつはアミノ酸と結合させた“人工物”のアミノ酸キレート鉄です。
 
ヘム鉄のサプリメントがあることはご存知だと思います。
ヘム鉄は動物の肉や血液に含まれているので、特殊な方法で取り出すことができます。
それをパウダー状にしたものがヘム鉄のサプリメントです。
しかし、取り出すにはたくさんの材料と手間暇がかかるため、ヘム鉄のサプリメントは高価になります。
 
アミノ酸キレート鉄のサプリメントのメリットをあげれば、胃や腸にダメージを与えない、便秘になりにくい、鉄ではなくアミノ酸として吸収されるので吸収率がいい、ヘム鉄のサプリメントに比べて安価……といったことがあげられます。
 
しかし、メリットのひとつである吸収率のよさに、実は軽視できない問題が潜んでいます。
鉄の過剰摂取につながりやすいのです。
 
ヒトの腸の粘膜には、ヘム鉄専用の入り口がありますが、アミノ酸でキレートされた鉄は、“鉄”としてではなく、“アミノ酸”として、本来は鉄が入れないはずの入り口から体内に入ってしまうのです。
ヒトにとってアミノ酸はもっとも重要な栄養素ですから、吸収が大変いいのです。
結果的に鉄の過剰摂取となり、腸に炎症が起きたり、体内で利用できない鉄が増えすぎてしまうというデメリットがあります。
 
 以上のようなことから、鉄を安全に摂取するには、日頃から鉄を含む動物性食品を食事に積極的に取り入れ、そのうえで不足分をヘム鉄のサプリメントで補うのがおすすめです。
どんなサプリメントを選ぶかは、栄養療法の専門家と相談するのがベストでしょう。
「骨と筋肉が若返る食べ方 より」
 
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イタリアで、子供に完全菜食を強いる親に対し、禁固刑の罰則を与えるという変わった法案が議会に提出されました。
肉や魚を食べない人を菜食主義者の「ベジタリアン」と呼ぶのに対し、肉や魚だけでなく、卵、バター、はちみつなど、動物搾取による製品も食さない人を完全菜食主義者の「ビーガン」と呼んでいます。
つまり、イタリアでは、子供に肉、魚、卵などを与えないビーガンの親は、法律で罰せられるべきという議論が持ち上がっているのです。
なぜ、このような法が提案されるに至ったのでしょうか。
イタリアでは、ビーガンが人間にとって、著しく健康に良いという考えが普及した結果、動物性の食物をすべて取り除いた食事を子供たちに強要する傾向が見られるのです。
このブームが影響し、ここ最近では、乳幼児や2歳の子供たちが栄養失調で病院に運ばれ、時には、危篤状態に陥る事態などが発生。
幼少時に必要なプロテイン、ビタミンD、B12、カルシウム、オメガ3、鉄分などがビーガンには足りないという問題が危惧されているのです。
 
確かにお肉を食べなければ、ベジタリアンですが、ただそれだけでは、健康的なベジタリアンとは呼べません。
お肉には、私達の体が必要とする必須アミノ酸がバランスよく豊富に含まれています。
それに匹敵するほど効率よく必須アミノ酸を私達の体に提供できる野菜はありませんから、お肉を食べずに体を健康的に保つには、それなりの方法を知らなくてはなりません。
 
また、ビタミンB12を含む穀類、イモ類、野菜、果物、種実はありませんから、ビタミンB12の欠乏症に陥るベジタリアン/ビーガンが多いのが現状です。
動物性食品以外では、発酵食品、海苔に含まれているのみです。
これだけは必ずしっかり毎日の食事に加えるようにしましょう。
加齢、胃の病気、ストレスなどでも不足します。
 
ビタミンB12は、胃の粘膜から分泌される内因子という糖タンパクと結合し、腸で吸収されます。
そのため胃の病気や高齢で吸収が悪くなっている人などの場合は吸収されにくくなるので、欠乏症状が現われやすくなります。
ビタミンB12は細胞の生成にとって重要な、核酸たんぱく質の合成に関わっているため、健康維持に無くてはならない栄養素なのです。
新しい核酸、タンパク質が生まれ、それによって細胞も新しく生まれ変わり、「こわれた組織、細胞」と「新生の組織、細胞」が入れ替わります。
その結果若さにもつながることにもなります。
 
ビタミンB12について?
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