整形外科的な不調を抱える人の食傾向

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整形外科的な不調を抱える人の食傾向
 
不調を訴えて整形外科を受診し、さまざまな検査をしても、とくに原因が見当たらない――このような患者さんには、実は共通する食事の傾向があります。
ご自身の食生活で、以下のような傾向はないでしょうか。
 
1 食事はご飯、パン、麺類といった糖質が中心(とくにパンが多い)
2 果物をよく摂る(とくにバナナ、リンゴなど)
3 トマトジュースやスムージーなど、野菜ジュースや果物ジュースをよく飲む
4 肉をほとんど食べない(食べるときは鶏肉や豚肉が多い)
5 肉より魚を多く摂る
6 コレステロールを気にして卵を控えている
7 (脂質)を控え、なるべくノンオイルのものを選ぶようにしている
8 牛乳やヨーグルトなどの乳製品をよく摂る
9 ラソンや水泳などのハードな運動をしている
10胃がもたれないよう、肉を控えている
11胃酸を抑える薬を常用している
 
レントゲンや超音波では何も異常が見つからないのに、いつまでたってもこりや痛みがなくならないという方が、ひとつでもこれらの項目に該当していたとしたら、その不調の理由は食生活にある可能性があります。
以下、解説していきましょう。
 
1~3の項目に当てはまった人
糖質過多タイプ……糖質の摂りすぎで、骨や筋肉の老化が進む
 
高齢者に食事内容を聞くと、おかずをつくるのが面倒くさいから、簡単に食べられるものですませてしまうことが多い傾向にあります。
例えば、総菜パン、丼物、焼きそば、うどん、パスタなどです。
これらの食事に共通しているのは、圧倒的に糖質が多いということです。
糖質とは炭水化物から食物繊維を取り除いた部分のこと。
糖質の摂りすぎは「糖化」という体内のたんぱく質の変性を引き起こします。
実は骨も筋肉も“主原料”はたんぱく質
それが糖化することは当然、骨や筋肉にも影響を及ぼします。
骨は脆くなり、筋肉は衰える。
つまり、老化が進むのです。
「果物は体にいい」という“信仰”も糖化に拍車をかけます。
高齢者にはバナナ、リンゴなど甘い果物を食べているという人が少なくありません。
まさに信仰に殉じているわけですが、それは糖質をどんどん取り入れていることにほかならないのです。
また、野菜や果物が簡単に摂れるという理由で、ジュースやスムージーを飲んでいるケースも多いようですが、これも糖質過多になる大きな要因です。
 
4~9の項目に当てはまった人
栄養不足タイプ……たんぱく質をはじめとする栄養が足りない
 
肉は体によくないといわれはじめたのが、いつからかは定かではありませんが、高齢者にはとくに肉を避ける傾向が強いようです。
食べるにしても豚肉や鶏肉などの“白い肉”が好まれますが、肉を食べなければたんぱく質が不足しますし、赤身の肉を食べなければ鉄や亜鉛などのミネラルが足りなくなってきます。
「魚を食べているからたんぱく質は摂れている」という人がいますが、実は肉(牛肉)よりも水分量が多いため、たんぱく質の摂取効率は肉のほうが格段にいいのです。
 コレステロールを気にして卵を食べない、油を控えるといった食生活も、栄養不足につながります。
卵は栄養バランスがよい完全食品であり、良質なたんぱく源ですし、油はカロリー源として重要です。
牛乳やヨーグルトなどの乳製品を摂ることは、カルシウムの摂取には有効ですが、同時に摂る必要があるマグネシウムは摂れません。
また、たんぱく質摂取不足での運動は、かえって筋肉量を減らすことになり、むしろマイナスです。
 
10~11の項目に当てはまった人
消化不良タイプ……食べたものがうまく吸収できない
 
 胃がもたれるので肉が苦手、という人は結構います。
また、胃もたれや胸やけを防ぐために医師から胃酸を抑える薬を処方されているという人も少なくないのではないでしょうか。
 しかし、胃酸を抑えてしまうと食べたものが消化できなくなってしまいますし、栄養も十分に吸収されないのです。
意識して肉を食べていても、たんぱく質やミネラルは吸収されていないということになるわけです。
 胃酸には殺菌力があります。
外から食べ物と一緒に入ってきた病原菌をやっつけて、腸内環境をいい状態に保ってくれるのです。
しかし胃酸を抑えれば、その殺菌力が減じられ、生き残った菌が腸に棲み着いてしまうため腸内環境が悪くなってしまいます。
その結果、吸収もうまくおこなわれないことになります。
 便秘や下痢がある人も要注意です。
どちらも腸内環境が整っていないことを示すものですから、栄養の吸収の悪さにつながっています。
いくら体にいいものを食べても、そこから栄養がしっかり吸収されなければ意味がありません。
 栄養は「入れる」だけでなく、「吸収する」ことではじめて、体内で活用することができるのです。
 
もちろん、原因不明の不調のすべてがこれらの3つのタイプに該当するわけではありません。
しかし、この3つの食傾向には、食が細くなった、歯が弱くなった、といった高齢者ならではの問題もかかわっており、クリニックに来られる年配の患者さんのほとんどに、このような食生活の傾向が見られます。
「骨と筋肉が若返る食べ方 より」
 
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血管力を高める食事は、炭水化物(糖)、塩分を少なめに、HDLコレステロール値を上げる食材を選ぶのが基本です。
これに外せないものが、たんぱく質を十分に摂る食事を心がけることです。
血管はアミノ酸たんぱく質コレステロールなどの脂質によってつくられます。
アミノ酸は普通の食事をしていれば十分にとれるので、動物性たんぱく質を意識しましょう。
たんぱく質はとくに血管中膜の結合を強くします。
動脈壁そのものを強くするので、脳出血などを防ぎます。
 
また、脳の機能にとって神経伝達物質がきわめて重要な存在です。
ドーパミンGABA、セロトニンがよく知られていますが、アセチルコリンも重要な役割をもつ神経伝達物質のひとつです。
記憶力の減退も、脳の老化を示す典型的な症状ですが、記憶のネットワークを活性化する働きをしているのが、脳の海馬という組織であることはよく知られています。
その海馬には、アセチルコリン系神経が集中しているのです。
脳が老化し、萎縮してしまうアルツハイマーとの関係はとくに深く、アルツハイマーの脳ではアセチルコリンが減少していることから、アセチルコリン不足がアルツハイマーのひとつの原因とも考えられています。
 
アセチルコリンの合成にはコリン、ビタミンB1、ビタミンB12などがかかわっています。
同時にこれらの栄養をとることが、アセチルコリンを増やすことにつながるわけです。
通常、コリンはレシチン(フォスファチジルコリン)のかたちで、食材から摂取されます。
レシチンアセチルコリンの材料になるだけではなく、細胞膜の材料にもなっています。
とくに脳の神経細胞の細胞膜にはたくさん含まれていて、多彩な働きをしています。
血液にのって運ばれる栄養の細胞内へのとり込みや細胞内の老廃物の排出、神経伝達物質の放出や情報ネットワークの形成といった、脳の機能全体に深くかかわっています。
これが、レシチンが「脳の栄養素」と呼ばれるゆえんです。
そのレシチンを多く含んでいる食品の代表が卵黄です。
なお、レシチンアセチルコリンに合成するには、ビタミンB群が欠かせないため、同時にとることが望ましいのです。
 
ビタミンB12について?
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