短期記憶の海馬にとっていい生活とは

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短期記憶の海馬にとっていい生活とは
 
脳細胞は増えませんが、最近わかったことですが、海馬だけは例外で、神経細胞がふえるのです。
 
このことはまずネズミの実験でわかりました。
回り車やトンネルなどのおもちゃを入れ、広くして運動できるようにした檻に入れたネズミと、えさと水を入れただけの狭い檻に閉じ込めたネズミを比べると、前者のほうが海馬の神経細胞が多く分裂するのです。
 
人間では、2000年にロンドン大学マグガイアー教授による、こんな実験報告があります。
ロンドン市内のタクシー運転手を調べたところ、ベテラン運転手ほど海馬が大きいことがわかったのです。
ロンドン市内は道が複雑に入り組んでいるので、タクシー運転手は、それを覚えておかなければなりません。
道をよく覚えているベテラン運転手ほど海馬の神経細胞がよく増殖しているというわけです。
 
もうひとつ、2004年には、社会の中で対人関係で優位な立場にいる人ほど海馬の神経細胞の増殖力が高まるという報告(アメリカのプリンストン大学のグールド教授)もあります。
これは、上の立場にいる人のほうが人間関係のストレスがないことが大きな要因と考えられます。
 
逆に、精神的な強いショックを受けると、海馬が死にやすいこともわかっています。
 
アメリカで戦地からの帰還兵や幼児期に虐待を受けた人の脳を調べると、海馬が極端に萎縮していて、記憶障害を起こしていたことがよくあるそうです。
これはPTSD(心的外傷後ストレス障害)ですが、このように、思い出したくない嫌なことを体験した人に起こりやすい現象です。
 
嫌な体験の記憶を消し去ることで心の平安を保とうとするのですが、そのときに海馬の神経細胞がいわば自殺してしまうわけです。
 
それほど悲惨な体験でなくとも、たとえば、何か嫌な体験があって、うつ状態になったままほうっておくと、海馬の神経細胞が死んでいって、記憶障害を起こすことがあります。
ストレスも海馬の大敵なのです。
 
ですから、記憶力を衰えないようにするには、海馬の神経細胞が死にやすいような状況を避け、海馬の神経細胞が増殖するようにすればいいということになります。
 
ということは、うつ状態にならないように、ストレスをうまく受け流す。
海馬は虚血に弱いので、血管障害が起こらないように食事に気をつけ、適度な運動を心がけることです。
 
さらに、海馬を活性化するには、積極的に刺激のある生活、さらに好奇心を持っていろいろなことを学習する。
そうすれば、海馬の神経細胞を増殖させることができるかもしれません。
少なくても海馬の神経細胞をいつも活用することで、死なないようにすることはできます。
 
       道をよく覚えているベテラン運転手の海馬は大きい
       対人関係のストレスがない環境は、海馬にとっていい
       精神的ショックや嫌な記憶で、海馬の神経細胞が死んでいく
「いつまでも『老いない脳』をつくる10の生活習慣 より」
 
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脳には無数の神経細胞があり、その神経細胞の末端からセロトニンアセチルコリンドーパミンなどの神経伝達物質を放出しています。
それらによって次の細胞に情報を伝えていき、それが網の目のようにいっせいに行われることで、情報が瞬時に伝わり、手や足などの末端まで伝達されていきます。
しかし、その伝達情報がうまくいかないと、脳が興奮して抑制が効かなくなり、イライラしたり、落ち着かなくなったりします。
イライラしやすいときは、脳の神経伝達物質であるセロトニンアセチルコリンドーパミンなどが不足していることが考えられます。
そのため、これらの材料となるアミノ酸と、アミノ酸を取り込むために必要な糖分やビタミンB12の不足を疑ってみましょう。
 
ビタミンB12とは…?
 
ビタミンB12の研究初期は、ビタミンB12といえば悪性貧血、悪性貧血といえばビタミンB12といわれました。
しかし、現在のビタミンB12は、神経ビタミンとしての認識が一般的となっています。
末梢神経の不調 ―手足の痺れ・麻痺・痛みなど― はもちろん、中枢神経 ―脳・脊髄― の機能低下にも有効であることが明らかになっています。
 
近年、日本人の死因の上位占めているガン・心筋梗塞・脳血管系の疾患、そして高血圧症などの生活習慣病の多くは、戦後、日本人の食生活が欧米化し、動物性食品を多くとるようになったことに起因すると言われています。
 
長寿のためには、動物性食品を控えた方が良いという事ですが、動物性食品を摂らないことからビタミンB12を摂取できなくなる恐れがでてきます。
ビタミンB12を摂取できないことで、脳のビタミンとしての作用が欠落してしまうという深刻な問題も起きています。
 
ビタミンB12は、肉や魚介類、卵、乳類などの動物性食品には多く含まれますが、原則として植物性食品には含まれません。
植物性でも例外的に、納豆やみそなど発酵食品、のりなどの海藻に含まれます。
 
ビタミンB12は腸で吸収されます。
しかし、その前に胃の内因子と結合することで吸収される状態を作っているため、胃を切除している人などの場合は、胃の内因子なしで吸収されるために大量のビタミンB12を補給する必要があります。
胃の粘膜が萎縮している人や、胃の働きが弱い人も同様です。
 
脳の萎縮を防止するには、脳細胞の蛋白合成、核酸合成が順調に行われることが好ましいのです。
ビタミンB12は、蛋白合成、核酸合成の両方に役立っていることがわかっています。
 
ビタミンB12について