絆を育む心を担っている脳内物質オキシトシン

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絆を育む心を担っている脳内物質オキシトシン
 
昼から夜に移るときに、黄昏という特別の時間があります。
人間はこの黄昏時にオキシトシンという「絆の心地よさ」を演出する脳内物質を分泌させます。
 
オキシトシンは、地球上の生き物では、ほ乳類だけが合成・分泌されます。
ほ乳という特殊な育児システムを進化の過程で発達させた生き物だけが備えます。
絆を育む心を担っている脳内物質がオキシトシンなのです。
 
オキシトシンは男も子供も老人も合成・分泌していた
 
オキシトシンは母性ホルモンとして知られてきましたが、最近の測定技術によって、オキシトシンは母親だけでなく、未婚の女性も、男性も、子供も老人も、年齢性別関係なく合成・分泌されていることが判明しました。
胎児の出産や授乳に特化した役割ではなく、ほ乳類すべてが合成・分泌する脳内物質(ホルモンではないことに注目)であることが約20年前に発見されました。
それでは年齢性別に関係なく、ほ乳類すべてが合成・分泌させる場合、オキシトシン合成を促すのはどのような因子でしょうか。
 
1.心地よいタッチやスキンシップ
2.おしゃべりを含むグルーミング行動
 
そして、そのような行動で脳内にオキシトシンが分泌されると、次のような影響が表れます。
 
1.ストレス中枢を抑制して、脳からストレスを消す働き
2.心の脳領域に働きかけて、絆の心地よさを体感させる働き。別名「愛情ホルモン」と呼ばれます
3.セロトニン神経に作用して、脳内セロトニン濃度二次的に増加させる働き
 
 これらのことが最近の研究で明らかになりました。
 
「心地よい」が絶対条件
 
 オキシトシンを合成する神経回路は、情動中枢でチェックを受け、そこで「心地よい」というOKが出ないと、合成・分泌を開始しません。
無意識の情動中枢で、快という判定がなされなければ、オキシトシン合成は起こりません。
それを裏付ける脳科学データも報告されています。
 
絶対条件として、本人が「心地よい」と感じなければダメということです。
セクハラという言葉があるように、同じようにタッチされても、嫌いな人あるいは赤の他人から触れられると、不快感や恐怖でしかなく、オキシトシン分泌に至りません。
むしろ、怒りや敵意が誘発されてしまいます。
ところが、心を許した人によって「心地よい」タッチがなされると、オキシトシンが分泌されるのです。
 
最近、街なかでタッチやスキンシップによる癒しをセラピーとして提供する施設が急増しています。
エステ、リフレクソロジーヘッドスパ、マッサージなどが大流行です。
このセラピーで重要視しているポイントが、いかに客を「心地よい」という状況に陥らせるかです。
アロマを使ったり、ヒーリング音楽を流したり「心地よい」環境を演出する工夫が至る所に施されています。
 
おしゃべりがオキシトシンを合成・分泌させる
 
もう一つ、オキシトシン分泌を促す行動は、グルーミングです。
ペットを撫でる行為はグルーミングの典型です。
人間のグルーミング行動で特に注目されるのが、おしゃべりです。
フェース・ツー・フェースで向き合って、気のおけない友人と「心地よく」おしゃべりをすると、双方の脳からオキシトシン分泌が誘発されます。
その結果、ストレス中枢が抑制されて、ストレスホルモン(コルチゾール)が減少することが脳科学で証明されています。
「心地よく」おしゃべりするだけで、ストレスを解消できるわけです。
それだけではなく、絆の心地よさや愛情も育まれます。
 
黄昏時はオキシトシンタイム
 
昼間に仕事をして脳にストレスが蓄積してくるのが黄昏時です。
ストレスが元気物質セロトニンの分泌を減少させ、誰にでも多かれ少なかれ、疲労感や気分の落ち込みが発生する時間です。
それが1日のサイクルにおける黄昏時です。
同僚とちょっと一杯の生活、家族や恋人とのグルーミングによって、脳からストレスを洗い流し、絆の心地よさを味わう時間なのです。
オキシトシンタイムということになります。
 
パソコンを叩き続け、残業を毎日のように繰り返す、独りスマホ・パソコンでインターネットやゲームをする生活も、オキシトシンが分泌されない生活です。
インターネットで友達とどんなに頻繁にコミュニケーションをとっても、デジタル化されたコミュニケーションは、基本的にオキシトシンを分泌させません。
したがって、ストレス中枢は興奮したままでベッドに入ることになります。
このような生活様式が広まったのは、スマホやパソコンが発明されたここ数十年でしかありません。
「自然」からかけ離れた生活が、眠れない現代人を生み出してきた「背景」になっています。
黄昏時はアナログ生活を営むのが「自然」なのです。
「自律神経をリセットする太陽の浴び方 より」
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最近、電車の中でキレる人を見かけます。
少し前までは、電車の中で暴れるのは酔っぱらいか、普段から暴力的な人と相場が決まっていました。
でも、最近は違ってきています。
しかも、普段はおとなしく、礼儀正しい人なのに、ついカッとしてキレてしまったという人がとても多いのです。
受けたストレスをコントロールすることができず、感情を爆発させ、普段では決してしないような行動をとってしまう、これがいわゆる「キレる」という状態です。
この「キレる」という行為、原因を簡単に言うと、「ストレス」です。
これはまさに「セロトニン神経」の機能低下が原因だと考えています。
 
セロトニンは脳に静かな覚醒をもたらします。
これは別の言い方をすれば「平常心」をもたらすということでもあります。
平常心を保つというのは、脳の切り換えがスムーズに行われ、どこも暴走も興奮もしていない状態のまま、スムーズに働いているということです。
セロトニン神経の機能が低下すると、感情や精神状態を普段の冷静な状態にキープすることが難しくなることは充分に推測できます。
そしてこのことは、キレる人が朝の満員電車よりも、夜の帰宅時に多いということからも証明されます。
 
イライラしやすいときは、脳の神経伝達物質であるセロトニンアセチルコリンドーパミンなどが不足していることが考えられます。
そのため、これらの材料となるアミノ酸と、アミノ酸を取り込むために必要な糖分やビタミンB12の不足を疑ってみましょう。
脳を酷使するときには、たくさんのビタミンB群が消費されています。
B群は脳の働きに重要な役割を担っているのです。
神経の働きを整えたり、傷んだ神経を補修したり、タンパク質をドーパミンセロトニンといった神経伝達物質に作り替えるなど、「脳力向上」のためにもB群は欠かすことができないのです。
 
ビタミンB12の働き
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