第1章 じっと座り続けないようにする

第1章 じっと座り続けないようにする

 

脳の血流を促進させたいけど、スクワットなどの運動は続かない……。

だからといって、打つ手がないわけではありません。

 

まずは、立つことから始めればいいのです

 

じっと座り続けていると、下半身の筋肉はずっと活動停止の状態です。

もちろん、ミルキング・アクションもではません。

座り続ける時間が長ければ長いほど、下半身の筋肉とそのポンプ機能は低下してしまいます。

 

座りっぱなしだと血流の低下が起こり、脳の血の巡りも悪くなっているのです。

 

WHO(世界保健機関)は2011年に「座って動かない生活は、肥満、糖尿病、高血圧、脳血管疾患、そして認知症を誘発する」と警告しています。

 

研究者のなかには、「座りっぱなしはタバコよりも悪い」とか{Sitting is killing(座っていることがあなたを殺す)}と警鐘を鳴らす人さえいます。

 

血糖値が高くなりすぎる「糖尿病」は、認知症のリスクを高めます。

1211人のデータを分析した明治安田厚生事業団体力医学研究所の調査では、糖尿病を有する確率は、1日9時間以上座っていると、座っている時間が1日7時間未満の人と比べて2.5倍に上昇するとされています(出典:甲斐ら。第73回日本体力医学会大会[2018年])。

 

 

座りっぱなしは「エコノミークラス症候群」のリスクも高めます(正式名称は、「急性肺血栓塞栓症」といいます)。

 

旅客機の国際線のエコノミークラスのような狭い場所で長時間座りっぱなしで動かないでいると、血流が悪化。

血液がドロドロになり、「血栓」という血のかたまりができます。

 

その血栓が、歩行などをきっかけに血流に乗って移動し、肺の血管で詰まってしまうのが、エコノミークラス症候群なのです。

エコノミークラスに乗らなくても、自然災害時の車中泊や避難所暮らしでも起こりやすく、死を招くケースもありますから注意が必要です。

 

 

実は、日本人は座っている時間が、世界一長いという調査結果があります。

 

世界の主要20か国・地域を調べたオーストラリア・ドニー大学などの研究によると、日本人が平日に座っている時間は1日7時間半で世界一長いそうなのです。

これは他の国・地域の平均よりも2時間も長いということです。

 

高齢者で怖いのは、テレビの前に座って動かないような生活を続けること。

ネットに慣れ親しんでいる若い年齢層ではテレビ離れが進んでいますが、テレビが娯楽の王様だった時代を長く過ごしてきた高齢者の多くには、テレビを視聴する習慣が根づいています。

 

※ポイント テレビの前で座りっ放しはやめましょう

 

「ミルキング・アクション」

血液を心臓に戻す血管は、「静脈」です。

静脈の周囲にある筋肉を動かすたびに、静脈は「圧迫」されます。

続いて、筋肉がゆるむと静脈は「開放」されます。

この繰り返しで、まるでバケツリレーのように血液を下から上へ、下から上へと送り出しています。

このしくみを「ミルキング・アクション」といいます。

「一生ボケない習慣 より」

 

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「老化」と聞いたとき、どんな変化を思い浮かべますか?

顔のシミやシワ、老眼、体力の衰え……。

それらももちろん老化の1つですが、根本的な老化とは「血管が衰えること」です。

わかりやすく言うと、血管の衰えとは「動脈硬化」のことです。

動脈硬化とは、血管が「硬くなること」「狭くなること」「血栓で詰まりやすくなること」。

動脈硬化は年齢とともに発症しやすくなり、50代になるとほとんどの人(女性は60代から)に動脈硬化が見られるようになります。

 

近年、動脈硬化の原因として新しく注目されているものに、ホモシステインというものがあります。

虚血性心疾患である心筋梗塞の発作を起こした人の2割程度にしか高コレステロール血症が見られないことから、これまで長い間、コレステロール以外に動脈硬化の原因となるものがあるのではないかと考えられていました。

そうして、ホモシステインがそのひとつの原因だと注目を集めるようになりました。

このホモシステインが動脈の壁に沈着すると、酸化される過程で血栓を引き起こし、血管を傷害して動脈硬化を引き起こすのです。

ホモシステインはLDLと一緒になり血管壁にコレステロールを沈着させます。

また活性酸素と一緒になり、脂肪やLDLの過酸化、血管内皮細胞や血管の平滑筋の異常を引き起こします。

その結果、動脈硬化心筋梗塞脳梗塞になるのです。

ビタミンB12や葉酸の吸収が悪くなると、ホモシステインという老化物質が増え、動脈硬化を生じることがわかっています。

 

ビタミンB群は、体に入った栄養成分をエネルギーに変えるときに不可欠なビタミンの仲間です。

また、脳の神経伝達物質の合成すべての段階に関わっています。

神経の働きを整えたり、傷んだ神経を補修したり、タンパク質をドーパミンセロトニンといった神経伝達物質に作り替えるなど、「脳力向上」のためにもB群は欠かすことができないのです。

 

ビタミンB12について?

https://www.endokoro.com/