慢性ストレスが不安とうつを引き起こす

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慢性ストレスが不安とうつを引き起こす
 
2006年、ハーバード大学医学部のクアンスー・キム教授は、ネズミに長期間にわたってストレスホルモンを投与すると、不安とうつが発症することを証明しました。
 
うつ患者の多くが高いコルチゾールレベルをしめすことはよく知られていますが、高いコルチゾールレベルがうつの原因なのか、それとも結果なのかは明らかではありませんでした。
 
しかし、同教授は、ネズミにストレスホルモンのコルチコステロ(ヒトのコルチゾールに相当する)を短期間と長期間与えることによって、長期間にわたる高いコルチゾールレベルがある種のうつの原因であることを証明しました。
 
58匹のネズミに、コルチコステロンを混入した水を飲ませました。
ホルモンを注射しなかったのは、注射そのものがストレスとなって結果が混乱する可能性があるからです。
 
慢性ストレスのケースでは1718日、急性のストレスでは1日、ホルモン入りの水を与えました。
 
慢性的にストレスホルモン入りの水を飲んだネズミは、急性的にストレスホルモン入りの水を飲んだネズミに比べて、暗い部屋から明るい広場に出て行くのに格段に長い時間を要しました。
このテストは、動物の不安のレベルを調べる際によく使われるものです。
 
言い換えれば、慢性ストレスのネズミは、強い不安による恐怖心に圧倒され、新しい環境を探索するという好奇心が低かったのです。
しかも、慢性ストレスのネズミは、脳の神経ネットワークがショックを受けたことにより、刺激に対する反応も鈍くなっていました。
 
ここに4つの関連する事実があります。
 
     クッシング症候群の半分以上の患者はコルチゾールを過剰に放出し、うつと不安をかかえています。
     不安症状をともなうタイプのうつでは、コルチゾールを過剰に放出することが多い。
     炎症を抑えるためにコルチゾールを服用すると、うつや不安といった副作用が起こりやすい。
     慢性的にコルチゾールレベルが高いと、ヒトでもネズミでも不安を引き起こす扁桃体が活性化する。
 
これらの事実から、コルチゾールレベルが高いと、これが原因になってうつと不安が発生しやすくなることがわかります。
 
適量のコルチゾールは記憶を助けますが、大量のコルチゾールは記憶を妨げます。
また、急性ストレスは人体の健康にプラスとなりますが、慢性ストレスは人体の健康にマイナスになります。
ストレス反応にとって最も大事なことは、それが適度なレベルに維持されることなのです。
「病気にならない脳の習慣 心と免疫力のしくみ より」
 
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脳には無数の神経細胞があり、その神経細胞の末端からセロトニンアセチルコリンドーパミンなどの神経伝達物質を放出しています。
それらによって次の細胞に情報を伝えていき、それが網の目のようにいっせいに行われることで、情報が瞬時に伝わり、手や足などの末端まで伝達されていきます。
しかし、その伝達情報がうまくいかないと、脳が興奮して抑制が効かなくなり、イライラしたり、落ち着かなくなったりします。

イライラしやすいときは、脳の神経伝達物質であるセロトニンアセチルコリンドーパミンなどが不足していることが考えられます。
そのため、これらの材料となるアミノ酸と、アミノ酸を取り込むために必要な糖分やビタミンB12の不足を疑ってみましょう。
また、脳の唯一のエネルギー源であるブドウ糖が足りなかったり、神経伝達物質を放出するときに働くカルシウムが不足したりしているのも原因のひとつと考えられます。

それらの成分が不足する背景には、朝食を抜くといった欠食や、栄養のバランスの悪さなどが考えられます。
忙しいからと食事をぬいていないか、好きなものばかり食べて偏食をしていないかなど、自分の日頃の食生活をふり返り、食事リズムと栄養バランスを改善していくことが大事です。
 
<ビタミンB12の働き>
・新しい細胞を作り、壊れた細胞を修復する働き。
・神経の壊れた部分を修復する働き。
・伝達物質を作る働き。
・免疫を正常にする働き。
・脳の詰まったところをかき出す働き。
・血流をよくする働き。
 
ビタミンB12には、脳の血流をよくするとともに、脳神経の働きを改善あるいは促進する作用があります。
同時に、動脈硬化の原因となるホモシステイン活性酸素(ふえすぎると体に害を及ぼす非常に不安定な酸素)を除去する働きも持っています。
 
ビタミンB12は、脳からの指令を伝達する神経を、正常に働かせるために必要な栄養素です。
十分にあると、集中力ややる気が高まり、不足すると、神経過敏などの症状が起こりやすくなります。
 
ビタミンB12について