しっかり覚える秘密は、脳の神経細胞同士のつながり方にある

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しっかり覚える秘密は、脳の神経細胞同士のつながり方にある
 
長期記憶に収められたとしても、その記憶が必要に応じて取り出せなければ、役に立ちません。
 
記憶を引き出して使うときに脳にどのようなことが起こっているのかといえば、脳の神経細胞同士がつながる(情報伝達している)のです。
 
神経細胞同士はシナプス(神経細胞同士の隙間)を通じてつながっていますが、そのつながり方が活発であれば、記憶がうまく引き出されるということです。
 
ですから、長期の記憶力をよくするためには、シナプスのつながりを強化すればいいということになります。
 
最初にそのことを考えたのは心理学者のヘップという人で、彼は「記憶とは、シナプスを強化するようなものであろう」と言いました。
実際彼の仮説は正しかったのです。
 
では、どうすればシナプスが強化できるでしょうか。
 
1972年に、プリスという人が、ウサギの脳で海馬への入力神経を高頻度で刺激すると、その後伝達効率が数倍増し、その効率アップ状態が何日間も続くという現象を発見しました。
 
プリスは一つの神経細胞を皿の上において、それにつながっているもう一つの神経細胞に記録紙をつけ、皿の上の神経細胞に電極を突っ込んで、その刺激を受けて、もう一方の神経細胞が記録紙に残す刺激を記録したのです。
 
一回だけ刺激を与えると、しばらく時間をおいて記録が出てきました。
さらに、一秒間に何百回という非常に短い時間に繰り返し刺激を与えたところ、記録紙に大きな反応が表れたのです。
 
一度大きな反応が起こると、何回刺激しても大きな反応が続いて起こるようになりました。
これが数時間から数日間も持続するのです。
プリスは、それはこの二つの神経細胞が電気信号を覚えこんだからではないかと考えたのです。
 
このような高頻度刺激によって反応が大きくなるのが続くような状態を、プリスは「長期増強」と名づけました。
 
繰り返し刺激を与えることで、結果として神経細胞同士をつなぐシナプスに何か変化が起こったわけです。
こうした反応が海馬の中で生じて、それが記憶として定着するのではないかと、プリスは考えたわけです。
 
何かをしっかりと覚えるためには、この「長期増強」がかかわっているのではないかということです。
 
最近では、長期増強効果が高いほど学習能力が高いことは、ネズミなどによる単純な迷路を用いた実験で確認されています。
 
すなわち記憶力をよくするためには、脳の神経細胞に「長期増強」を起こして、シナプスにいい変化を起こさせればいいということになります。
 
       記憶を引き出して使うときには、神経細胞同士のつながりが活発になる
       海馬に高頻度で繰り返し入力すると、刺激されて伝達効率が数倍にアップして(「長期増強」が起こり)記憶が定着する
       何かをしっかり覚えるには、意図的に「長期増強」を起こせばいい
「いつまでも『老いない脳』をつくる10の生活習慣 より」
 
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≪ビタミンB12で脳の機能低下防止と対策!≫
 
筋肉が動くように脳から指令を伝える神経が、正常に働くためには、いくつものビタミンB群の仲間が必要です。
筋肉や神経を動かすエネルギーをつくるのがB1神経伝達物質の生成にはたらくのがB6、そしてB12の役目は、神経細胞内の核酸たんぱく質などを合成したり、修復することにあります。
どのビタミンが不足しても神経は正常に働いてはくれません。
 
脳の萎縮を防止するには、脳細胞の蛋白合成、核酸合成が順調に行われることが好ましいのです。
ビタミンB12は、蛋白合成、核酸合成の両方に役立っていることがわかっています。
ニューロン同士が情報伝達を行うこと、つまり神経機能的連絡を行うためには、新経路の交差点ともいうべきものが必要であり、この交差点をシナプスと言います。
このシナプスは、歳をとっても増加し、より成熟した結合が進行するとされています。
熟年の人達が正確で、いろいろな状況下で“成熟した”判断を行い、好ましい結果を得ることができるのは、そのためであろうと思います。
高度の創造過程にも高密度のシナプス形成が必要と思われ、そのためには、それに必要な素材として神経系構成成分、つまり栄養成分が必要なことは当然で、また、その構築作業のための酵素、そしてそれを補佐する補酵素的ビタミンも必要となります。
その中でも重要なものがビタミンB12であります。
 
現在60歳以上の人の20パーセントでビタミンB12の欠乏が見られます。
これは歳をとると胃の機能が低下し、内因子の分泌が低下するからです。
血液検査では見つけられないような軽度のビタミンB12の欠乏でも、認知症に似た神経異常を引きおこすことがあります。
とくに高齢者では、ビタミンB12の値が基準値の範囲にあっても、それが下限値の場合には、記憶障害をおこすことが知られています。
近年、日本人の死因の上位占めているガン・心筋梗塞・脳血管系の疾患、そして高血圧症などの生活習慣病の多くは、戦後、日本人の食生活が欧米化し、動物性食品を多くとるようになったことに起因すると言われています。
長寿のためには、動物性食品を控えた方が良いという事ですが、一方では動物性食品を摂らないことからビタミンB12を摂取できなくなる恐れがでてきます。
ビタミンB12を摂取できないことで、脳のビタミンとしての作用が欠落してしまうという深刻な問題も起きています。

ビタミンB12について