脳内エネルギー物質と治療薬

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脳内エネルギー物質と治療薬
 
ドクター 「MRIでは異常がありませんでした。普通の鎮痛剤でも治らない頭痛ですから、セロトニンが不足していることが原因の可能性が高いですね」
患者さん 「じゃあ、セロトニンを含んだ食べ物を食べれば治りますね」
ドクター 「残念ですが、食べ物や飲み物では、セロトニンをすぐに増やすことはできません」
患者さん 「薬を飲めば、増やせるんですか?」
ドクター 「はい」
患者さん 「その薬は、セロトニンの塊なんですね」
ドクター 「それは……」
 
これはクリニックで毎日のように繰り広げられている会話です。
 
脳内エネルギー物質の欠乏によって体調を崩された方の治療薬は、脳内エネルギー物質そのものを含有した薬を内服していただくわけではありません。
といいますか、アセチルコリンセロトニンそのものを飲むことはできませんし、飲んでも脳まで届きません。
 
脳内エネルギー物質を増やす効果のある薬は「脳内エネルギーが減ることを防ぐ」というのが、作用の仕組みなのです。
 
たとえばアセチルコリンの場合、脳内の神経細胞シナプスの間にアセチルコリンの量を調節するために、アセチルコリンを酢酸とコリンに分解する酵素(アセチルコリンエステラーゼ)が存在しています。
 
アルツハイマー認知症に実績がある治療薬「アリセプト」は、アセチルコリンを分解する酵素(アセチルコリンエステラーゼ)の働きをブロックすることにより、アセチルコリンの脳内濃度高め、患者さんの意欲や認知機能を高めるのです。
 
セロトニンに関していえば、最近では、非常によく効き、副作用も少ない「ジェイゾロフト」といったSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)が、「S(セロトニン)枯渇脳」治療の王道になっています。
 
この薬も「セロトニンの塊」を飲むわけではなく、受け取り手のシンプスに届かず、役割を果たさないで引き返してきたセロトニンを、家(前シンプス)から締め出す働きをするのです。
薬の力で、帰ってきたセロトニンの家の門をブロックするわけです。
その結果、脳内のセロトニンの濃度が増加するわけです。
 
 神経伝達物質に作用する抗認知症薬としては、アリセプトに加えて、2012年には「ガランタミン」「リバスチグミン」「メマンチン」が日本でも保険診療で認可される予定です。
 
 さらに、セロトニンなどに作用する薬としては、ジェイゾロフトに加えて、「リフレックス」「パキシル」「サインバルタ」「トレドミン」「ルボックス」などはすでに使用されています。
 
 さらに、開発中の薬もたくさんあります。
 
 世界の医学界でも、ようやく近年、私たちの健康に脳内エネルギー物質に対する配慮がいかに重要であるかが認識されるようになってきました。
 
 現在では、脳内エネルギー物質関連の薬は、高血圧や心臓病、がんなどの薬の市場を凌駕する状態になっています。
さらに、新薬の開発ラッシュはとどまるところを知りません。
 
 私たちの健康長寿の鍵を握っているのは脳内エネルギー物質であることに、人類が気付き始めました。
「もの忘れとウツがなくなる「脳」健康法 より」
 
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木枯らしと孤独が骨身に染みる秋が深まるとなんとなく悲しい気持ちになるといわれていますが、はたして秋の物悲しさには医学的な根拠はあるのでしょうか?

 なんと季節の変化が引き起こすうつ病が存在するというのです。
エアコンの使用が一般的になり夏に体が冷えてしまうなど季節の変化に対応しにくくなった現代人。
季節性うつは自然な生活リズムを崩してしまった人がかかりやすい病気なのだそうです。

 「なかでも10月から3月頃にみられる冬季うつは、過食、過眠なども主な症状としてあげられます。秋になり日照時間が短くなることで、メラトニンというホルモンの分泌に異常が起こり体内時計が狂ったり、神経伝達物質セロトニンが減ることによる脳の活動低下が原因と考えられています」

 うつ病は、今やサラリーマンの3割近くに見られ、「心のかぜ」ともいわれるほどポピュラーな病気になりました。
原因としては、精神的なストレスのほか、コンピューターによるテクノストレスや、テレビやゲームなどによる眼精疲労などが元になることもあります。
 
また、脳内の神経伝達物質であるセロトニンノルアドレナリンが減少したり、視床下部や下垂体といった脳の機能の異常なども、原因として考えられています。
 
不足している栄養素がないよう食生活の乱れに注意したり、パソコンなどを使いすぎないように気をつけたりといった、生活全般を見直してみることが必要です。
 
うつ症状の予防や軽度の場合の改善に役立つのは、ハーブの一種であるセントジョーンズワートです。
有効成分のぺルリフォリンに、脳内の神経伝達物質セロトニンを増加させる働きがあるため、おちこんだ気分を回復して、気持ちを適度に高揚させてくれます。
 
そのほかには、神経伝達物質セロトニンの材料となるトリプトファンや、セロトニンなどの生成に必要なビタミンB6・B12葉酸などのビタミンB群を補給します。
 
トリプトファンアミノ酸の一種で、牛乳や肉(赤身がいい)などのたんぱく質に含まれています。
ビタミンB6は、かつお、まぐろ、さけなどの魚類、牛肉、鶏ささ身、レバーなどに多く含まれています。
ビタミンB12はレバーや魚介類に、葉酸はレバーのほか、菜の花、モロヘイヤ、春菊など緑の濃い野菜に多いです。
また、イチョウ葉に含まれるギンコライドやケルセチンなどのポリフェノールは、脳の血液循環をよくして、脳を活性化します(お茶などでとるのがおすすめです)
 
 加えて、散歩など屋外で体を動かす機会を増やすと、気分のおちこみを軽減しやすくなります。
 
 ただし、軽度のおちこみだけでなく、うつの症状がみられるときは、まず病院で検査を受け、治療と並行して、これらの食事療法を行ってください。
 
ビタミンB12は、脳からの指令を伝達する神経を正常に働かせるために必要な栄養素です。
十分にあると、集中力ややる気が高まり、不足すると、神経過敏などの症状が起こりやすくなります。
また、脳や神経と関連が深く、不眠症にも効果があるといわれています。
 
人間の体質改善は約3ヶ月程度が基準となっているため、続けなければ効果が得られません。
日常の生活習慣や生活環境を改善するとともに栄養面を改善することが大切です。
 
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