第3章 積極的に議論する

第3章 積極的に議論する

 

「議論」は、「想起力」と「出力」を総動員させ、

予測のつかない展開にも

瞬時に臨機応変に対応するなど

「脳の総合メンテナンス」の効果がある。

「大人げない」と逃げるのは、実は老化の始まりのサイン

 

若い頃は友人や職場の同僚、ときには先輩、上司とも細かいことで議論を辞さないこともしばしばあったのに、50歳を超えて「そんな大人げないこと、面倒くさいからやめておこう」となってくると、「ああ、俺もずいぶんオトナになったものだ」と思うことでしょう。

しかしこれは実のところ、オトナをとうに超えて、脳の老化が始まったサインかもしれません。

 

人と議論するときには、知識や情報、それに経験を引き出し、これらのコンテンツを論理的に組み立てながら意見し、予測のつかない相手のリアクシションやその後の展開にも瞬時にまた知識・情報・経験から論理を組み立てて応戦することになります。

 

つまり「想起力」と「出力」を総動員し、「臨機応変」態勢で臨まなければ、議論はできないのです。

まるで脳の総合メンテナンスのようなこの議論が面倒になってきたのは、感情が老化して気持ちがわき立たない、前頭葉の機能低下で想起力も出力も弱まっている、あるいは予測のつかないことに瞬時に対応する臨機応変的な力がなくなっているから。

 

――すなわち、「脳の老化」ということです。

議論になりそうになっても逃げの態勢「大人げないことはやめよう」というのは、老化の始まった脳の「言い訳」にすぎません。

そのまま逃げ回っていたら、せっかくの「脳の鍛錬」の機会を逃がしてしまうことになります。

 

 

「ことなかれ主義」をやめる

 

「ことなかれ主義」は脳の老化を促進するが、

「議論」は脳の老化を防止する。

誰彼かまわず議論をふっかけるわけにはいかないなか、

そんな議論の格好の相手となるのは――

 

仕事上、会議などでどうしても議論になることはあっても、そうでもなければついつい「まあいいか」「気まずい思いをするのも嫌だし」と、ことなかれ主義で済ませてしまうことが多いのではないでしょうか。

職場だけではありません。

学生時代には、箸が転んでも議論のネタにして、口角泡を飛ばしながら飲み明かした友人とも、「お互い歳をとったからなあ」と、今や穏やかに大人しく酒を酌み交わすだけ……これではちょっと寂しい気もします。

 

前述の通り、「議論」の脳に与えるメリットは大きいとわかっていても、また「まあいいや」という「ことなかれ主義」が老化を促進することがわかっていても、会社でもご近所でも、また家族であっても誰彼かまわず議論をふっかけるわけにはいきません。

 

しかしかつて腹を割って話せていた友人、激戦になっても「じゃあまたな」と次に会うときには何事もなかったように話ができていた友人なら、どんなに歳をとっても、議論して気まずくなるようなことはないはずです。

むしろお互いが青春時代を懐かしく思い起こし「なんだ、お互いちっとも変わらない。まだまだ若いじゃないか」と嬉しい気分になるのではないでしょうか。

そんな気分がさらに脳を元気にすることはいうまでもありません。

「50代からはじめる老けない人の「脳の習慣」 より」

 

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人の体の老化は20代ごろから始まります。

老化は生きている以上避けられないものですが、生活習慣・食生活に少し気をつけるだけでも進行程度が変わってきます。

30代では個人差はさほどありませんが、40歳を過ぎて中年期に入るころからだんだん差が生じ、65歳を過ぎて高年期に入ると、健康状態にはっきりとした差が出ます。

健康寿命をのばす食生活に加えて、年代別の食べ物・食べ方に気をつけると、病気予防がいっそうアップします。

 

動脈硬化は年齢とともに発症しやすくなり、50代になるとほとんどの人(女性は60代から)に動脈硬化が見られるようになります。

脳梗塞は、高血圧や糖尿病などの病気が原因となったり、生活習慣などによって血液がドロドロになって血液循環が悪くなったりして、血管が厚く狭くなり、脳の血管が徐々に詰まって進行していきます。

一般的に、脳梗塞の初期には、大きさ数ミリ程度の微小な梗塞が数個出現し、段階をへるごとにこの梗塞が脳のあちこちに見られます。このような症状のないごく小さな梗塞が隠れ脳梗塞(無症候性脳梗塞)です。

「隠れ脳梗塞(無症候性脳梗塞)は、早い人だと30代からあらわれ、40代を過ぎると急に増加するといわれています。

脳梗塞をはじめとする脳血管障害を生活習慣病の一つととらえ、ふだんから健康に保つ生活を心がけましょう。

 

ビタミンB12と葉酸、ビタミンB6の吸収が悪くなると動脈硬化の原因物質 (ホモシステイン活性酸素)が増えるといわれています。

また、ビタミンB12は古くから、神経系の機能回復に効果があることが知られていましたが、最近の研究で、このビタミンB12の不足によって脳細胞の萎縮が進むことがわかってきました。

ビタミンB12は、脳の萎縮を食い止めるために重要な脳細胞のタンパクと核酸(DNA)の生合成を司っています。

新しい核酸、タンパク質が生まれ、それによって細胞も新しく生まれ変わり、「こわれた組織、細胞」と「新生の組織、細胞」が入れ替わります。

その結果若さにもつながると考えられます。

 

ビタミンB12について?

https://www.endokoro.com/