第3章 タイプ4「共感脳」の老化・タイプ5「聴覚脳」の老化
- タイプ4「共感脳」の老化
世の中には他人に対して失礼な人がいますよね。
列に割り込む人、電車で人を押しのけて我先に座ろうとする人、ソーシャルディスタンスを無視して近づいてくる人、自分のことばかり主張する人……。
相手に対して無配慮な人は共感脳の働きが弱い、もしくは低下している可能性があります。
共感脳の老化も老人脳です。
これは何も高齢に限った話ではありません。
若い人でも電車の中で音漏れを気にせず音楽を聴いている人は共感脳の働きが弱い人です。
音漏れが周りの人に不快な思いをさせていることに全く気がついていません。
若いうちから共感脳が弱いと、歳をとってからどうなるのか心配です。
共感脳に関わる脳の部位はいろいろとありますが、その中でも大切なのが前帯状皮質と島皮質です。
前帯状皮質は血圧や心拍数の調節なども行う部位で、共感や感情、意思決定などの認知機能にも関わっています。
一方、島皮質も感情や直感などの認知機能に関わる部位です。
この2つの部位の活動が低下することで起こるのが共感脳の老化です。
ちなみに、客観・抑制脳と共感脳の2つが衰えた人はキレやすい、クレームをよく言う、ガンコになる、昔のやり方にしがみつく、などの特性があらわれます。
でも、これも同じく改善する方法はありますのでご安心ください。
「共感脳」の老化の特徴
◎人の話を聞かない
- タイプ5「聴覚脳」の老化
ここまでに挙げた4つの老人脳タイプ以外に、「耳の機能低下」も老人脳を促進します。
耳が遠くなることは、老人脳をさらに加速することがアメリカ・コロラド大学の研究でわかっています。
人の声が聞きづらい、テレビのボリュームを大きく上げないと聞こえないという症状は聴覚が衰えてきている証です。
こうなると、脳は聴覚を補うために視覚野や体感覚野を使おうとします。
そのことで脳に変性が起き、脳の認知機能が落ちるのです。
耳が聞こえなくなってくるのは、老人脳の重要なサインです。
老人脳はこの5つの要素のことをいいます。
この5つの要素は、いくつかの要素が同時に起こることもありますし、中には全部の症状がある人もいます。
また、老人脳は高齢者にだけ起きる症状ではありません。
30代でも、40代でも老人脳になり始めている人もかなりいます。
メンテナンスもせず、生活習慣の改善もないままでいると、どんどん老人脳が進んでいきます。
紹介する改善法、予防法を実践して、ぜひ老人脳を遠ざけてください。
「80歳でも脳が老化しない人がやっていること より」
*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+
記憶力の減退も、脳の老化を示す典型的な症状ですが、記憶のネットワークを活性化する働きをしているのが、脳の海馬という組織であることはよく知られています。
その海馬には、アセチルコリン系神経が集中しているのです。
脳が老化し、萎縮してしまうアルツハイマーとの関係はとくに深く、アルツハイマーの脳ではアセチルコリンが減少していることから、アセチルコリン不足がアルツハイマーのひとつの原因とも考えられています。
アセチルコリンの合成にはコリン、ビタミンB1、ビタミンB12などがかかわっています。
同時にこれらの栄養をとることが、アセチルコリンを増やすことにつながるわけです。
通常、コリンはレシチン(フォスファチジルコリン)のかたちで、食材から摂取されます。
レシチンはアセチルコリンの材料になるだけではなく、細胞膜の材料にもなっています。
とくに脳の神経細胞の細胞膜にはたくさん含まれていて、多彩な働きをしています。
血液にのって運ばれる栄養の細胞内へのとり込みや細胞内の老廃物の排出、神経伝達物質の放出や情報ネットワークの形成といった、脳の機能全体に深くかかわっています。
これが、レシチンが「脳の栄養素」と呼ばれるゆえんです。
そのレシチンを多く含んでいる食品の代表が卵黄です。
また、脳を酷使するときには、たくさんのビタミンB群が消費されています。
B群は脳の働きに重要な役割を担っているのです。
糖質を分解するB1が不足すると、脳のエネルギーが不足し、とたんに頭が回らない状態になります。
また、脳の神経伝達物質の合成すべての段階に関わっています。
神経の働きを整えたり、傷んだ神経を補修したり、タンパク質をドーパミンやセロトニンといった神経伝達物質に作り替えるなど、「脳力向上」のためにもB群は欠かすことができないのです。
ビタミンB12について?