第4章 老人脳にならないための運動 運動するならウォーキングより「脳活ドリブル」

第4章 老人脳にならないための運動

運動するならウォーキングより「脳活ドリブル」

 

ここで問題です。

「ウォーキングには脳を活性化する効果がある」

〇か×か?

 

答 △

 

脳を活性化させるために運動は有効です。

免疫機能を上げたり、筋力をつけたりと、さまざまな効果があることもわかっています。

では、脳の認知機能を一番高める運動は何かと聞かれたら、みなさんはなんと答えるでしょうか?

実はどんな運動でもいいわけではないのです。

そこそこ効果がある運動と、高い効果がある運動があります。

 

▼そこそこ効果が認められた運動

ウォーキング、ランニング、筋トレ など

 

▼高い効果があった運動

ドリブル、平均台などバランスをとる運動 など

 

 

過去30年間の運動と脳に関するさまざまな調査を網羅的に分析したところ、最も高い効果があったのは、「コーディネーション運動」と呼ばれるものでした。

ちなみにウォーキングなどの有酸素運動や筋力のエクササイズの約2倍の効果があったそうです。

コーディネーション運動とは、複数の動きを同時にする運動のことで、運動神経を上げるための方法として開発されました。

脳から体への伝達速度をよりスピーディーに、より正確にすると言われています。

 

この運動の何がすごいかというと、リズム、バランス、スピード、筋力、柔軟性といった、運動に必要な要素を兼ね備えでいるということです。

 

 

コーディネーション運動を詳しく説明すると、大きく7つの要素に分けられます。

 

(1)リズム能力  目や耳から入ってきた情報を使い、タイミングをうまくとる。

(2)バランス能力 崩れたバランスを素早く整える。

(3)変換能力   相手の動きに合わせて瞬時に変換できる。

(4)反応能力   状況を察知しすばやく瞬間的に反応する。

(5)連結能力   身体をスムーズに動かす、流れの中でうまく動かす。

(6)定位能力   ボールがどこに落ちるかを予測するなど変化を調整していく。

(7)識別能力   ボールなどを精密に扱う。

 

この7つがミックスしているコーディネーション運動こそ、認知機能の向上に最も効果がある運動なのです。

中でも特に手軽に、楽しみながらできるのが「ドリブル」です。

といっても、足で扱うサッカーのドリブルではなく、手を使うバスケットボールのドリブルです。

ここではこれを「脳活ドリブル」と呼んでいます。

ドリブルはボールひとつあればできる運動なので、やりやすいですし、高齢になってからでもけがをしにくい運動です(もちろんけがのリスクがゼロというわけではないですが)。

研究でも、バスケットボールなどを使ったコーディネーションを含む運動を行ってもらうと、認知機能が大きく向上することがわかっています。

 

調査では2ヵ月から5ヵ月半、1日30分のコーディネーション運動をした結果、十分な効果を上げることができました。

30分もし続けるのは至難の業ですが、短い時間でも続けて行えばうまくできるようになり、自分の成長を感じることができます。

この「上達している感覚」が大切で、脳の認知機能が高まることにつながります。

 

また、脳を鍛える運動は男女でやり方を変えたほうが効果的という研究結果も出ています。

 

 

▼男性に向く方法

少しずつ強度を上げていくと運動がより効果的(たとえば、ドリブルを10回できたら、15回、20回、30回…にしていく)

 

▼女性に向く方法

強度を上げず、穏やかな低~中程度の強度のままで運動することが効果的(ハードな運動はむしろ逆効果)

 

 

コーディネーション運動

1.リズム能力  リズム感を養い、動くタイミングをうまくつかむ能力

2.バランス能力 バランスを正しく保ち、崩れた姿勢を立て直せる能力

3.変換能力   状況の変化に合わせ、素早く動作を切り替える能力

4.反応能力   合図に素早く反応し、適切に対応する能力

5.連結能力   身体全体をスムーズに動かす能力

6.定位能力   自分と動いているものとの位置関係を把握する能力

7.識別能力   道具などをうまく操作する能力

 

 

では、次に脳活ドリブルのやり方を紹介します。

「80歳でも脳が老化しない人がやっていること より」

 

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記憶力の減退も、脳の老化を示す典型的な症状ですが、記憶のネットワークを活性化する働きをしているのが、脳の海馬という組織であることはよく知られています。

その海馬には、アセチルコリン系神経が集中しているのです。

脳が老化し、萎縮してしまうアルツハイマーとの関係はとくに深く、アルツハイマーの脳ではアセチルコリンが減少していることから、アセチルコリン不足がアルツハイマーのひとつの原因とも考えられています。

 

アセチルコリンの合成にはコリン、ビタミンB1、ビタミンB12などがかかわっています。

同時にこれらの栄養をとることが、アセチルコリンを増やすことにつながるわけです。

通常、コリンはレシチン(フォスファチジルコリン)のかたちで、食材から摂取されます。

 

レシチンアセチルコリンの材料になるだけではなく、細胞膜の材料にもなっています。

とくに脳の神経細胞の細胞膜にはたくさん含まれていて、多彩な働きをしています。

血液にのって運ばれる栄養の細胞内へのとり込みや細胞内の老廃物の排出、神経伝達物質の放出や情報ネットワークの形成といった、脳の機能全体に深くかかわっています。

これが、レシチンが「脳の栄養素」と呼ばれるゆえんです。

そのレシチンを多く含んでいる食品の代表が卵黄です。

 

また、脳を酷使するときには、たくさんのビタミンB群が消費されています。

B群は脳の働きに重要な役割を担っているのです。

糖質を分解するB1が不足すると、脳のエネルギーが不足し、とたんに頭が回らない状態になります。

また、脳の神経伝達物質の合成すべての段階に関わっています。

神経の働きを整えたり、傷んだ神経を補修したり、タンパク質をドーパミンセロトニンといった神経伝達物質に作り替えるなど、「脳力向上」のためにもB群は欠かすことができないのです。

 

ビタミンB12について?

https://www.endokoro.com/