第9章 「昔のよかったこと」を思い出すことは脳の栄養になる
幸福度と脳の状態には関連性があるということを知っていますか?
日本人は世界的に見て幸福度が高くない国です。
一方、世界で一番幸福度が高い国はフィンランドです。
5年連続で世界トップです。
フィンランドがなぜ幸福度が高いのでしょうか。
その理由はいろいろありますが、自由やつながりを感じるベースが社会にできているからなのかもしれません。
脳はつながりと自由を感じたとき快感を感じるため、その結果、幸福度は高まります。
一方で、日本は「自由度」「寛容さ」の2項目が、特に上位の国と比べて低いという結果が出ています。
では、どうしたらここ日本でも手軽に幸福度を上げることができるのでしょうか?
ひとつ、すぐにできるいい方法を紹介します。
昔の楽しい思い出を振り返る。
これだけです。
幸福度が高い人を調べていくと「過去の楽しい思い出を振り返る頻度が高い」ことがわかりました。
どうでしょうか?
これならすぐできそうですよね。
幸せは、過去の楽しかった記憶の数に比例すると言われています。
いま現在幸せを感じられなかったとしても、過去に楽しい記憶を持っていれば幸福度は高まります。
それを思い出す頻度が高い人ほど幸福度が上がりやすくなるのです。
自分の頭の中で思い出すのでもいいですし、誰かと思い出を話しながら共有するのもいいと思います。
過去の楽しかったことを思い出すと、どうでしょうか、すごくいい気持にならないでしょうか。
ものを買っただけの幸せは長く続きませんが、幸せな思い出は長続きします。
また、私たちは24歳前後に流行っていた曲を最も好む調査結果もあるので、当時の曲を聴いたり、カラオケで歌うのもおすすめです。
病気の回復率は楽しいことを振り返ると早まる
同窓会に行くのもおすすめです。
一見、過去のことにすがっている、とらわれているとネガティブな見方をする人もいます。
でも、実は脳科学の研究で驚くべきことがわかっています。
それは、過去と未来を考える脳の回路が同じということです。
私たちは未来を考えているときも、過去を振り返っているときも、同じ脳の回路を使っているのです。
ですから、過去をマイナスに考えると、未来もマイナスに考えてしまいます。
逆に過去を、プラス、楽しい、幸せと考えると、未来も、プラス、楽しい、幸せと考えることができるのです。
たとえば、過去の失敗体験も、自分の成長の糧になったとしてプラスに考えれば、未来はプラスに考えられます。
でも失敗をずっとマイナスとして引きずっていると、未来もマイナスと考えてしまいます。
楽しいことを振り返ると脳が活性化します。
写真を見ると、そのときの映像が頭に浮かぶかもしれません。
声だったり、空気の感覚とか、人によっては匂いも出てくるかもしれません。
そういったことを思い出すことは、脳の高度な機能を使っています。
認知症の人は新しいことはなかなか覚えられませんが、昔のことほど覚えていたりします。
実際によい思い出を回想することで、認知症の人の認知機能が高まったという報告もあります。
脳に限らず、病気の回復率も、楽しいことを振り返ったほうが早まるという研究もあります。
逆に自分はもう無理だ、治らない、なんでこんな病気になったんだと、ネガティブなことを言っている人は、治癒が遅れることも言われています。
「80歳でも脳が老化しない人がやっていること より」
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認知症の多くは、脳血管障害の積み重ねで起こり、その原因のほとんどが脳梗塞です。
ですから、脳梗塞の前兆である隠れ脳梗塞を早期発見することで多くの認知症を防ぐことができるのです。
脳梗塞は、高血圧や糖尿病などの病気が原因となったり、生活習慣などによって血液がドロドロになって血液循環が悪くなったりして、血管が厚く狭くなり、脳の血管が徐々に詰まって進行していきます。
一般的に、脳梗塞の初期には、大きさ数ミリ程度の微小な梗塞が数個出現し、段階をへるごとにこの梗塞が脳のあちこちに見られます。
このような症状のないごく小さな梗塞が隠れ脳梗塞(無症候性脳梗塞)です。
「隠れ脳梗塞(無症候性脳梗塞)は、早い人だと30代からあらわれ、40代を過ぎると急に増加するといわれています。
ビタミンB12や葉酸の吸収が悪くなると、ホモシステインという老化物質が増え、動脈硬化を生じることがわかっています。
ホモシステインはLDLと一緒になり血管壁にコレステロールを沈着させます。
また活性酸素と一緒になり、脂肪やLDLの過酸化、血管内皮細胞や血管の平滑筋の異常を引き起こします。
脳梗塞をはじめとする脳血管障害を生活習慣病の一つととらえ、ふだんから健康に保つ生活を心がけましょう。
老人の認知症の3割~5割を占めるアルツハイマー病の場合は、脳細胞が萎縮する病気です。
この萎縮を食い止めるためには、脳細胞を生成するためのタンパク合成、核酸(DNA)合成が順調に行われる必要があるのです。
ビタミンB12は、脳細胞のタンパクと核酸(DNA)の生合成を司っています。
新しい核酸、タンパク質が生まれ、それによって細胞も新しく生まれ変わり、「こわれた組織、細胞」と「新生の組織、細胞」が入れ替わります。
その結果若さにもつながると考えられます。
アルツハイマー型認知症の方々の脳脊髄中にはビタミンB12が少ないことが確認されています。
ビタミンB12について?