第3章 あなたの脳は「融通」がきくか、きかないか

第3章 あなたの脳は「融通」がきくか、きかないか

 

「終息するまでは、安心しい旅行もできない」

 

コロナが猛威を振るっていたころ、世代を問わず、そう考えていた人は少なくなかったはずです。

 

こうした「巣ごもり志向」による運動不足は、ヨボヨボ脳のリスク要因であることは間違いありません。

 

だからといって、「通りの向こうで風邪がはやっているから、布団を敷いて寝て待っている」といった暮らし方は、まさに「杞憂好き」であって、コロナ感染以上に心と体に悪影響を及ぼします。

そしてヨボヨボ脳予備軍の考え方、ライフスタイルといっていいでしょう。

「杞憂好き」の人たちが陥りやすいのが、「ゼロか百か思考」です。

 

 

「旅行ができないから、巣ごもりする」の間違い

 

こうした発想は、ポジティブ型のハツラツ脳の持ち主にはありません。

 

知り合いの出版プロデューサーは、コロナ禍以前から、雨の日以外、仕事の移動には自転車を使っていました。

どこに行くにも便利な地域に住んでいることもあって、打ち合わせ場所でも、地下鉄も使わず自転車です。

 

地下鉄なら乗り換えを入れて35分程度。

自転車でもほぼ同じ時間でしょうか。

 

ただし、彼の場合、高級ロードバイクでも、いま大流行の電動アシスト自転車でもなく、いわゆるママチャリです。

打ち合わせ場所にくるまでには、きつい上り坂もありますから、結構、体力も使うはずです。

 

しかし、還暦をとっくに過ぎた彼は言います。

 

「脚の筋肉が衰えてきていますから、筋トレです」

 

便秘気味であるために、その解消を兼ねているのだとも明かしてくれました。

さらにこういいます。

 

「上り坂が多いといっても、当然、帰りは下り坂ですから。それに小さな旅だと思えば、楽しいものです。旅といっても、GO TO TRAVELの対象にはなりませんが……」

 

冗談まじりにいう彼の腕や顔は日焼けしていましたから、セロトニンの分泌も充分でしょう。

彼はコロナ禍にあっても、ほとんど自転車移動でしたから、電車移動のように神経質に人込みを気にする必要もなかったしといいます。

 

「とにかく、発見があって楽しい」

 

彼はそう結論付けましたが、彼とのやりとりで、何よりも感心したのは「小さな旅」という彼の言葉です。

 

コロナ禍にかぎりませんが、とくに70代、80代の人に必要なのは、「旅行か巣ごもりか」という二者択一の思考ではなく、「こんな考え方もあるな」という「フレキシブル(flexible)=柔軟性のある」思考です。

 

フレキシブルという言葉は、日本語では「曲げやすい」「融通のきく」とも訳されます。

ちなみにフレキシブルの反対語は「インフレキシブル(inflexible)」ですが、「頑固な」「融通のきかない」とも訳されます。 

 

コロナ禍においては、国内においても「移動の自由」が、半強制的といっていい状況で奪われました。

その不自由さは小さなものではありませんでした。

一時は移動を犯罪視するような風潮もありました。

また、その同調圧力も半端なものではありませんでした。

 

「しばらく、こちらには帰ってくるな」

 

東京在住の地方出身者の中には、実家の家族からきつく帰郷を止められていた人も多かったようです。

地方では、東京ナンバーのクルマが、まるで犯罪者が乗っているかのように思われたケースも少なくなかったようです。

 

そんな状況下、日本人のほとんどは旅行を自粛していたわけです。

 

 

「旅」は「移動」

 

しかし、ものは考えようです。

飛行機、船、新幹線、バス、クルマでの「移動」ばかりが「旅」ではありません。

 

「自転車や徒歩でも旅はできる」と融通をきかせればいいのです。

 

旅は「移動」です。

逆にいえば「移動」のない旅はありません。

 

旅の固定概念に縛られて、それが叶わないからと部屋に籠ってストレスを募らせていたら、精神衛生上よくありません。

人によっては「うつ」を生じかねません。

「移動」は「運動」でもあります。

認知症対策にも役立ちます。

 

ハツラツ脳の人は、コロナ禍にあっても「移動」を「旅」に置き換えて楽しむ「融通」を持ち合わせています

「いつまでもハツラツ脳の人 より」

 

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寒暖の差、生活の変化が激しい毎日は、私たちの身体にも大きなストレスを与えます。

そんな日々が続くと、自律神経は、その変化に対応しきれなくなって、やがて疲れやめまい、不眠、頭痛といった症状が現れてきます。

とくに人間関係の変化は想像以上に心身への影響が大きい。

気分が落ち込んだり一時的にうつ状態になってしまうこともあります。

とはいえ、そのうちに治ってしまうことが多いので、うつ状態でも必ずしも病気とは言えません。

しかし、落ち込みの程度が重い時や、落ち込みが長引いてしまうと、人の意欲は奪われて行動にも影響を及ぼします。

 

私たちの脳の中で司令塔のような役割をしているセロトニン神経という神経細胞が弱ってきており、軽い不調からうつ病、パニック症候群、さまざまな依存症などを引き起こす原因になっています。

この現象は大人から子どもまで老若男女に広がっています。

セロトニン神経は、日を浴びることや意識した呼吸、簡単な運動をすることなど日常生活に少し工夫を加えることによって鍛えることができます。

 

脳には無数の神経細胞があり、その神経細胞の末端からセロトニンアセチルコリンドーパミンなどの神経伝達物質を放出しています。

それらによって次の細胞に情報を伝えていき、それが網の目のようにいっせいに行われることで、情報が瞬時に伝わり、手や足などの末端まで伝達されていきます。

しかし、その伝達情報がうまくいかないと、脳が興奮して抑制が効かなくなり、イライラしたり、落ち着かなくなったりします。

イライラしやすいときは、脳の神経伝達物質であるセロトニンアセチルコリンドーパミンなどが不足していることが考えられます。

そのため、これらの材料となるアミノ酸と、アミノ酸を取り込むために必要な糖分やビタミンB12の不足を疑ってみましょう。

また、脳の唯一のエネルギー源であるブドウ糖が足りなかったり、神経伝達物質を放出するときに働くカルシウムが不足したりしているのも原因のひとつと考えられます。

 

ビタミンB12について?

https://www.endokoro.com/