脳の情報伝達のしくみ
セロトニン神経があるのは、脳幹のほぼ中央に位置する縫線核という部分です。
いわば、脳のへその部分にセロトニン神経があるわけです。
その位置からしても、セロトニン神経の重要性が想像できるでしょう。
セロトニン神経は、脳全体にさまざまな情報を送って、心と体をコントロールしています。
その手段となるのが、セロトニンという神経伝達物質というわけです。
セロトニン神経が活発であればセロトニンの分泌が多くなり、弱くなれば分泌が少なくなります。
そして、分泌が多ければ、それだけ情報も脳全体に伝わりやすくなります。
とはいえ、1つひとつの神経細胞は、ごく小さいものです。
これで、どうやって広い脳全体に情報を伝えることができるのでしょうか。
その役割を負っているのが、神経細胞から突き出している軸索という器官です。
これがケーブルのような役割をはたして次の神経細胞と接続して、次々に情報を遠く離れたところに送り届けているわけです。
そこで、その隙間を越えて情報をバトンタッチするために、神経伝達物質を使っています。
詳しくいうと、軸索の末端にインパルスと呼ばれる電気信号の衝撃が到達すると、そこから神経伝達物質が放出されて、さらに次の神経に情報が送られるというしくみになっているのです。
セロトニン神経でいうと、神経細胞のインパルスの衝撃が末端に達することでセロトニンが放出されて、相手の神経細胞の表面にあるセロトニン受容体がそれを受け取るわけです。
セロトニン以外にも、このような神経伝達物質は100種類以上存在しています。
そして、神経伝達物質の種類や成分によって、心や体に興奮が引き起こされたり、抑制が利いたりというように、作用が変わってくるわけです。
セロトニン神経が活発に働くのは、目が覚めている時間帯です。
つまり、朝起きてから夜寝るまで、セロトニン神経は休むことなくインパルスを出し続けていることになります。
一方、睡眠中はセロトニン神経の活動が弱くなり、セロトニンはほとんど分泌されなくなります。
「脳科学者が教える「ストレスフリー」な脳の習慣 より」
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寒暖の差、生活の変化が激しい毎日は、私たちの身体にも大きなストレスを与えます。
そんな日々が続くと、自律神経は、その変化に対応しきれなくなって、やがて疲れやめまい、不眠、頭痛といった症状が現れてきます。
とくに人間関係の変化は想像以上に心身への影響が大きい。
気分が落ち込んだり一時的にうつ状態になってしまうこともあります。
とはいえ、そのうちに治ってしまうことが多いので、うつ状態でも必ずしも病気とは言えません。
しかし、落ち込みの程度が重い時や、落ち込みが長引いてしまうと、人の意欲は奪われて行動にも影響を及ぼします。
私たちの脳の中で司令塔のような役割をしているセロトニン神経という神経細胞が弱ってきており、軽い不調からうつ病、パニック症候群、さまざまな依存症などを引き起こす原因になっています。
この現象は大人から子どもまで老若男女に広がっています。
セロトニン神経は、日を浴びることや意識した呼吸、簡単な運動をすることなど日常生活に少し工夫を加えることによって鍛えることができます。
脳には無数の神経細胞があり、その神経細胞の末端からセロトニンやアセチルコリン、ドーパミンなどの神経伝達物質を放出しています。
それらによって次の細胞に情報を伝えていき、それが網の目のようにいっせいに行われることで、情報が瞬時に伝わり、手や足などの末端まで伝達されていきます。
しかし、その伝達情報がうまくいかないと、脳が興奮して抑制が効かなくなり、イライラしたり、落ち着かなくなったりします。
イライラしやすいときは、脳の神経伝達物質であるセロトニン、アセチルコリン、ドーパミンなどが不足していることが考えられます。
そのため、これらの材料となるアミノ酸と、アミノ酸を取り込むために必要な糖分やビタミンB12の不足を疑ってみましょう。
また、脳の唯一のエネルギー源であるブドウ糖が足りなかったり、神経伝達物質を放出するときに働くカルシウムが不足したりしているのも原因のひとつと考えられます。
ビタミンB12について?