
正しい粗食、間違った粗食
油抜きダイエットなどといって、油をほとんどとらない健康法もあるのだとか。
確かに、油を抜けば、カロリー摂取量は極端に少なくなりますから、やせることは間違いありません。
しかし、そんな食生活では、脂質はもちろん、タンパク質、ビタミン、ミネラルなども不足してしまうでしょう。
無理をして油を抜くことは、けっして健康的ではないと考えています。
もちろん、脂肪分のとりすぎで超メタボ体質になっている人や、高脂血症や糖尿病などの病気を持っている人は別です。
そうした人は、努力して肉や油を減らした食事をする必要があるでしょう。
しかし、今現在、健康な人が無理をして油を抜く必要はありません。
それどころか、高齢者にとっては、肉や油を減らした食事というのは、栄養不足を招くことになり、生命にかかわる危険をはらんでいるのです。
実際に、高齢者の健康に関するさまざまな調査では、肺炎などの感染症に対する抵抗力の強さを左右する要素として、ふだんから栄養状態が重要な役割を持っているということがわかってきました。
1000人を超える高齢者を8年間追跡した研究では、興味深い結果が出てきました。
現在の健康常識では、肥満や高コレステロールは動脈硬化や生活習慣病の原因となり、寿命を縮める元凶とされていますが、調査から見る限りは、少なくとも高齢者にとって、肥満も高コレステロールも寿命を縮める要素にはなっていませんでした。
栄養状態が寿命を左右するという話は、感染症に対する抗体のでき方でも、うかがい知ることができます。
以前、所属する病院と共同で「高齢者におけるインフルエンザおよびその合併症の予防」という研究をしたのですが、そのときに大変興味深い結果が出ました。
ご存じのように、ワクチンを打つと、体内にインフルエンザウイルスに対する抗体ができます。
そのとき、抗体の増減傾向を調べてみると、明らかにその人の栄養状態が反映されていることがわかったのです。
体格がやや小太りで、血中の栄養状態を示すアルブミン(タンパク質の一種)の濃度が高い人(高栄養な人)のほうが抗体がつきやすいという結果が出たのです。
つまり、ワクチンの効果とふだんの栄養状態には関係があるというわけです。
栄養状態と感染症のかかりにくさに関係があるならば、当然のことながら、寿命の長短に栄養が関係してくるといってよいでしょう。
「50歳を過ぎたら「粗食」はやめなさい! より」
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ビタミン欠乏症が原因で、認知症になるケースがあるそうです。
ビタミンの種類は、ビタミンB1、ビタミンB12、葉酸。
ビタミンが欠乏すると、記憶障害、無気力、集中力の低下、妄想、錯乱の症状が出ることは事実です。
さらに、ビタミンB12は、脳からの指令を伝達する神経の働きを助けます。
十分にあると、集中力ややる気が高まり、不足すると神経過敏などの症状が起こりやすくなるのです。
脳や神経とも関連が深く、不眠症にも効果があるといわれています。
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残念ながら現代社会に生きる私たちは、栄養的に見るとかなり厳しい環境に生きています。
まず、野菜は昔と変わらぬ色や形をしていますが、栄養価は、ずいぶん非力になっています。
今のニンジンは、50年前の8分の1から20分の1にまで低下していると言われています。
化学肥料や農薬などが使われ、ハウス栽培によって旬がなくなり、また、収穫後の輸送・陳列・保存、こうした時間の経過、さらに調理することで栄養価が消失します。
果実なども栄養価が未熟なまま出荷され、また畜産物や海産物も例外ではありません。
私たちは今の環境の中で最善の方法を模索するしかありません。
大切なのは、毎日、ちゃんと噛んで食べること。
よく噛んで食べることは脳の発達によい、ということは科学が証明しています。
まずは食事・生活習慣を見直し、「栄養価の補充」としてサプリメント(栄養補助食品)を活用してみてはいかがでしょうか。
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