
中年期の健康常識と高齢期の健康常識はまったく違う
でも、研究では、むしろやせと低コレステロールのほうこそ、寿命を短くする原因であることがわかりました。
これは、どちらかが間違っているというわけではありません。
どちらも正しいのですが、あえていえば、対象とする年齢層が違っているのです。
若い人の健康常識と高齢期の健康常識は、必ずしも一致しないことを知っていただきたいと思います。
不思議なことですが、世の中の健康常識は、対象とする人の年齢を限定していません。
そのため、20代の人にも、70代の人にも通用する、統一された健康常識があるように思われがちです。
しかし、それは大きな誤解です。
70代以上の高齢者にとっての健康常識は、20~30代の若い人と違うのはもちろん、40~50代の中年期のそれとも大きく違っていることを頭に入れておかなければいけません。
「若くても年をとっていても、健康にいいことはいいんだし、悪いことは悪いのではないか」と考える人も多いでしょう。
でも、必ずしもそうとはいえないのです。
ここが重要な点なのですが、成長期と高齢期では体の働きが根本から違っているのです。
医学的・栄養学的な用語を使うと、成長期ではタンパク質の合成系が強く働き、高齢期は分解系がやや強めになるという違いがあります。
もう少しわかりやすく説明しましょう。
成長期では体をしっかりさせるために、食べたものがどんどんと身についていくというサイクルが活発に働いています。
ところが高齢期では、しっかり栄養分をとらないと、生命活動のもととなるエネルギーが十分に生み出せません。
口からとる栄養分が不足するとどうなるかといえば、自分の体の成分を分解しながらエネルギーをつくり出していくというサイクルになってしまうのです。
その典型的な例が骨格筋です。
骨格筋とは、手足の筋肉や腹筋など体を動かすための筋肉のことをいいますが、体のなかでエネルギーが不足してくると、こうした骨格筋(主成分はタンパク質)をアミノ酸に分解して、エネルギーを得たり体内のあちこちの不足分を補おうとします。
ですから、粗食を続けたり食べものを減らすだけのダイエットをしていくと、意外に皮下脂肪は減らずに、骨格筋がやせ細っていって、不健康なやせ方をしてしまうのです。
とくに高齢になると、前述のように分解系の力が強まってくるので、粗食の弊害はさらに大きくなってしまいます。
骨格筋がやせ細ると、骨粗鬆症になる危険性が高まり、転んだり、つまずいただけでも骨折しやすくなったり、寝たきりのリスクが高まってしまうのです。
そうした事実を知らずに、いつまでも若いときと同じような健康常識のままでいると、体にいいことをしているつもりでも、逆に老化を早めてしまったり、感染症に対する抵抗力を弱めたりしてしまうのです。
「50歳を過ぎたら「粗食」はやめなさい! より」
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ビタミン欠乏症が原因で、認知症になるケースがあるそうです。
ビタミンの種類は、ビタミンB1、ビタミンB12、葉酸。
ビタミンが欠乏すると、記憶障害、無気力、集中力の低下、妄想、錯乱の症状が出ることは事実です。
さらに、ビタミンB12は、脳からの指令を伝達する神経の働きを助けます。
十分にあると、集中力ややる気が高まり、不足すると神経過敏などの症状が起こりやすくなるのです。
脳や神経とも関連が深く、不眠症にも効果があるといわれています。
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残念ながら現代社会に生きる私たちは、栄養的に見るとかなり厳しい環境に生きています。
まず、野菜は昔と変わらぬ色や形をしていますが、栄養価は、ずいぶん非力になっています。
今のニンジンは、50年前の8分の1から20分の1にまで低下していると言われています。
化学肥料や農薬などが使われ、ハウス栽培によって旬がなくなり、また、収穫後の輸送・陳列・保存、こうした時間の経過、さらに調理することで栄養価が消失します。
果実なども栄養価が未熟なまま出荷され、また畜産物や海産物も例外ではありません。
私たちは今の環境の中で最善の方法を模索するしかありません。
大切なのは、毎日、ちゃんと噛んで食べること。
よく噛んで食べることは脳の発達によい、ということは科学が証明しています。
まずは食事・生活習慣を見直し、「栄養価の補充」としてサプリメント(栄養補助食品)を活用してみてはいかがでしょうか。
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