大切なのは食事の時間
家庭で繰り返されるさまざまな生活行動のなかで、食事の時間はとくに大切です。
食事が体に及ぼす影響は大きく、たとえば、塩分の少ない味に幼いころから親しんでいれば、大人になっても薄味の料理がおいしく感じられ、それだけで、塩分とりすぎが原因で起きがちな高血圧症や心筋梗塞の不安が軽減されます。
病気までとはいかなくとも、食習慣の乱れは、さまざまな症状となってあらわれます。
昔は、鼻汁をたらしたり、しもやけになったりしている子どもが多くいたのですが、これを医学的に研究したところ、たんぱく質の不足が原因であることがわかりました。
今では、良質のたんぱく質が豊富に食卓にのりますから、鼻水、しもやけの子はいませんが、終戦直後の日本の家庭は、一様に栄養不足という問題を抱えていたために、いくら原因を追究して食習慣を見直したところで、限界があったのです。
では、食糧不足が昔話になった今、食習慣の問題は解決されたかというと、そうとはいえません。
逆に栄養過多、運動不足から、糖尿病予備軍の子どもも少なくなく、問題はかえって昔より深刻化しているかもしれません。
核家族が増えたことも、栄養過多から起こる子どもの病気に拍車をかけています。
子どもが好きなファストフードの高カロリーの食べ物を買い与えたりしがちだからです。
昔は三世代同居が当たり前でしたから、今の人たちには「粗食」と呼ばれるおじいさん、おばあさんが好きな煮物やおひたしがふんだんに食卓に並びました。
そんな食事からは、糖尿病予備軍は生まれません。
祖先から受け継いだ文化には、学ぶべきものがたくさんあります。
「生きるのが楽しくなる 15の習慣/日野原重明 より」
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ビタミンB12は、もともと悪性貧血を防ぐビタミンとして知られています。
血液細胞が正常につくられるには、ビタミンB12が必要だからです。
それと同時に、脳神経系の働きにも深くかかわっています。
根本的な作用に目を向けると、ビタミンB12は、体内のすべてのたんぱく質を修復する働きを持っています。
とりわけ、脳や神経の修復には、ビタミンB12が不可欠なのです。
脳や神経が働くときは、神経線維同士の間を情報伝達物質というものが行き来します。
二本の神経線維で一単位となるその部分は「シナプス」と呼ばれます。
シナプスが豊富できちんと機能している場合、脳や神経の働きはよくなります。
ビタミンB12には、そのこわれたシナプスを修復する作用があるのです。
また、脳の萎縮を防止するには、脳細胞の蛋白合成、核酸合成が順調に行われることが好ましいのです。
ビタミンB12は、蛋白合成と核酸合成の両方に役立っていることがわかっています。
一般にビタミンB類は、一つが欠乏するときには他のビタミンも欠乏していることが多いのです。
もちろん、すべてのビタミンが老化防止に必要であることはいうまでもありませんが、B類のビタミンB12、B6、葉酸は老化を防ぐうえでも、もっとも重要なビタミンとされます。
現在60歳以上の高齢者の二割の人に、ビタミンB12の欠乏が見られるということです。
これは年をとると胃の機能が低下し、内因子の分泌が低下するからです。
また、高齢者が理由のはっきりしない神経症状を呈したら、ビタミンB12の欠乏を考えるべきだという学者もいます。
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