食事に神経質になりすぎない―「習慣9」

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食事に神経質になりすぎない―「習慣9
 
いくら食習慣が大切といっても、ルールが多すぎると、めんどうになって続かないこともあります。
あれが悪い、これが悪いと食事を複雑に考えなければならなくなると、食事自体を楽しむことができなくなりますから、できるだけ神経質になり過ぎないようにしています。
ですから、日常の食習慣は、本当にシンプルです。
 
まず、毎朝、オリーブ油入りの野菜ジュースを飲みます。
市販の野菜ジュースにテーブルスプーン一杯のオリーブ油を入れるだけの、簡単なものです。
これを飲み始めたきっかけは、ややコレステロール値が高めだったことで、当時は効果的な薬がなかったため、コレステロール値を下げる作用のあるオレイン酸リノール酸を含む植物油をとろうと思いつきました。
 
コレステロール値も安定し、忙しい朝に手軽にエネルギーを補給するためにも最適なので、この習慣は30年以上も続いています。
 
ここでオレイン酸リノール酸についての最新情報をお知らせします。
 
日本では、1950年代から1980年代までは植物油の中のリノール酸が、血清コレステロールを下げるうえでは有効と考えられていました。
 
ところがリノール酸は酸化しやすく、これをとりすぎると体に良いHDLコレステロールを減らすことがわかり、1990年代以降、リノール酸を含む油は店頭から姿を消しました。
リノール酸は体内で生成されず、植物からとらなければならない必須脂肪酸ですが、日本人の毎日の食事では、その必要量は満ち足りています。
 
最近は、オレイン酸のほうが注目されています。
人体にもいちばん多く含まれている脂肪で、コレステロールのなかの人体に良い成分であるHDLコレステロールを減らさずに、体に良くないLDLコレステロールだけを血中から取り除く働きがあると考えられるようになりました。
 
このオレイン酸は、オリーブ油や菜種油、ナッツ類にも豊富に含まれています。
このため、オリーブ油を多く使う地中海沿岸では、心臓病が少ないといわれています。
 
このオリーブ油入りジュースには、美肌効果もあるようで、この歳になってもしみやしわが少なく、肌がきれいだとほめられるのは、このオリーブ油入りジュースのせいにちがいないと思っています。
 
昼はたいていクッキーと牛乳。
ゆっくり食事をする時間がとれないのと、仕事に熱中するあまり、あまりおなかがすかないので、このくらいで充分です。
 
夜は、会食やパーティーで食事することも多いのですが、そういうときの食事には油を使った料理が多く、カロリーをとりすぎる危険性があります。
この場合は、まずサラダから食べるようにしています。
サラダならたっぷり食べても、カロリーは知れています。
 
ビュッフェ方式のパーティーでは、まず皿に山盛りの野菜を取り、ある程度おなかを満たしてから、ほかの料理を食べるようにしています。
そうすれば食べすぎるということはありません。
 
そして、お茶代わりに牛乳を飲むことも習慣です。
これは骨粗鬆症を防ぐためです。
高齢になると、骨折しやすくなりますから、カルシウム不足にはとくに注意が必要なのです。
 
これに、体重コントロール(食べ過ぎて、体重が増えたら、すぐにもとに戻す。すぐに調節すれば、何の苦労もなくもとに戻ります。体重は放置すればするほど、戻りにくくなります。)と、外食を半分残すこと。
私が実行しているのはたったこれだけです。
 
90歳を過ぎてまだ現役というと、特別な健康法があるのでは、とおもわれるのですが、実際の私の生活習慣というのは、とても単純です。
単純なだけに、長く続けられたということもあるでしょう。
 
何を食べなく出はいけないとか、また食べてはいけないとか、神経質になりすぎないのが健康の秘訣だと思います。
外国に行くとき、よく日本の食べ物を持っていく人がいますが、そういうこともいっさいしません。
 
海外に行って、新しい料理に出会うことは、楽しみの一つですし、食文化に触れることで、新たな健康法を教えられることもあるのです。
「生きるのが楽しくなる 15の習慣/日野原重明 より」
 
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ビタミンB12は、もともと悪性貧血を防ぐビタミンとして知られています。
血液細胞が正常につくられるには、ビタミンB12が必要だからです。
それと同時に、脳神経系の働きにも深くかかわっています。
 
根本的な作用に目を向けると、ビタミンB12は、体内のすべてのたんぱく質を修復する働きを持っています。
とりわけ、脳や神経の修復には、ビタミンB12が不可欠なのです。
 
脳や神経が働くときは、神経線維同士の間を情報伝達物質というものが行き来します。
二本の神経線維で一単位となるその部分は「シナプス」と呼ばれます。
シナプスが豊富できちんと機能している場合、脳や神経の働きはよくなります。
 
ところが、年齢とともに、あるいは認知症などの病気によって、シナプスは次々にこわれていきます。
ビタミンB12には、そのこわれたシナプスを修復する作用があるのです。
 
また、脳の萎縮を防止するには、脳細胞の蛋白合成、核酸合成が順調に行われることが好ましいのです。
ビタミンB12は、蛋白合成と核酸合成の両方に役立っていることがわかっています。
 
一般にビタミンB類は、一つが欠乏するときには他のビタミンも欠乏していることが多いのです。
もちろん、すべてのビタミンが老化防止に必要であることはいうまでもありませんが、B類のビタミンB12B6葉酸は老化を防ぐうえでも、もっとも重要なビタミンとされます。
 
現在60歳以上の高齢者の二割の人に、ビタミンB12の欠乏が見られるということです。
これは年をとると胃の機能が低下し、内因子の分泌が低下するからです。
また、高齢者が理由のはっきりしない神経症状を呈したら、ビタミンB12の欠乏を考えるべきだという学者もいます。
 
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