心原性脳塞栓症が増えている理由

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心原性脳塞栓症が増えている理由
 
 心原性脳塞栓症は心臓に原因がある脳梗塞で、近年ではとても増えており、おそらく近い将来にはこのタイプの脳梗塞がいちばん多くなると思われます。
 
原因で圧倒的に多いのは「心房細動」という不整脈です。
 
この「心房細動」については、特に認識を深めてもらいたいと思っています。
これから、ますます増加すると考えられるからです。
 
不整脈は、心臓の脈が乱れる症状です。
正確に打っている脈がときどき速くなったり、脈が飛んだりする。
そんな経験があるのではないでしょうか。
 
しかし、そういう不整脈は、脳梗塞の原因にはなりません。
 
「心房細動」というのは、心拍と心拍の間が全部バラバラ。
たとえば「タン・タン・タン」という一定のリズムではなく、「ターン・タ・タンッ」と間隔の幅が、全部違うのです。
 
この心房細動によって、心臓に血のかたまり(血栓)ができてしまいます。
しかも、心臓にできる血栓は大きい。
それが脳の太い血管を詰まらせてしまうため、脳は大きなダメージを負い、死亡したり、重大な後遺症を残したりする確率が高まるのです。
 
このように、とても怖い心房細動ですが、多くの人に自覚症状がないのが、さらに不気味なところです。
 
心房細動には、発作性の心房細動と、慢性の心房細動があり、「慢性心房細動」はいつも脈が乱れた状態なので、どこかの時点で心電図をとればわかります。
 
しかし「発作性心房細動」は、突然的に起こるので、発作がないときに心電図をとっても、ぜんぜんわかりません。
しかも、自覚症状のない人が少なくないのです。
 
自覚症状には、動悸とかめまい感とか、気分の不快感などがありますが、そういう症状がまったくない人がいるのです。
そうなると、もう、お手上げです。
 
ただし、普通の心電図では見つからないけど、「ホルダー心電図」というお弁当箱のような機械をつけて24時間記録をすると、見つかる確率は高くなるといわれています。
 
しかしそれでも、24時間以内に発作が起こらなければ、心房細動は見抜けません。
 
だから「心房細動に注意しましょう」といっても難しいのですが、それを意識しておくことで、自覚できることが少しでも多くなればいいと思っています。
 
ちなみに、専門医は、脳梗塞の患者さんを診て原因がわからないときには、真っ先に「発作性心房細動」の可能性を疑います。
しかも脳の画像を見て、脳の奥の小さい梗塞ではなく、脳の表面に大きな梗塞が起こっている場合には、「心房細動」の可能性が高いので、それに見合った治療を始めるのです。
 
心房細動はなぜ起こるのか
 
 ところで、「心房細動」は、なぜ起こるのでしょうか?
 
 一つは、臓器の劣化です。
年をとって、心臓も老化するのです。
心臓の壁が繊維化を起こしてきて、働きが鈍る。
これによって、心臓が不規則な痙攣をし、心臓の中に血液が鬱滞(うったい)して、血栓ができてしまうのです。
 
しかし、やはり高血圧や肥満などの影響も大きいといえます。
 
さらに、若い頃の激しいスポーツもよくないという説もあります。
若い頃には、障害があっても、それに気づかなかった。
しかし、加齢とともに、さまざまな原因が加わって、それが浮き彫りになってくるというわけです。
 
若い人の話が出たついでに、近年話題になっている「若年性の脳梗塞」について、お話したいと思います。
この「若年性」というテーマだけで、一冊の本になるくらいなので、ここでは、ごく簡単にまとめてお伝えします。
 
「若年性脳梗塞」という場合、はっきりと何歳以下という定義はないのですが、ふつうは40歳とか45歳で区切ることが多いようです。
 
年齢は若くても、高齢者の脳梗塞と共通する原因は、やはり「生活習慣」です。
食生活の欧米化や運動不足、喫煙、ストレスや無理な生活によって、脳梗塞を起こしやすい状態が、若い人にまで及んでいるのです。
 
しかし、若い人の脳梗塞は、高齢者の脳梗塞は別の「特殊な原因」が含まれていることが、実はとても多いのです。
脳卒中にならない、負けない生き方 より」
 
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認知症の多くは、脳血管障害の積み重ねで起こり、その原因の多くが脳梗塞です。
脳梗塞は、初期段階に数ミリ程度の微小な梗塞が数個出現します。
これが隠れ脳梗塞と呼ばれるものです。
隠れ脳梗塞は早い人だと30代から表れ、40代を過ぎると急に増加すると言われています。
 
人の体の老化は20代ごろから始まります。
老化は生きている以上避けられないものですが、何をどう食べるかで進行程度が変わってきます。
30代では個人差はさほどありませんが、40歳を過ぎて中年期に入るころからだんだん差が生じ、65歳を過ぎて高年期に入ると、健康状態にはっきりとした差が出ます。
健康寿命をのばす食生活に加えて、年代別の食べ物・食べ方に気をつけると、病気予防がいっそうアップします。
脳梗塞をはじめとする脳血管障害を生活習慣病の一つととらえ、ふだんから健康に保つ生活を心がけましょう。
 
ビタミンB12には、脳の血流をよくするとともに、脳神経の働きを改善あるいは促進する作用があります。
同時に、動脈硬化の原因となるホモシステイン活性酸素(ふえすぎると体に害を及ぼす非常に不安定な酸素)を除去する働きも持っています。
ビタミンB12は、ストレス社会に生きる現代人のこれからの健康に役立つ栄養素です。
 
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