デフォルトモード・ネットワークは人生で迷わないための“道しるべ”

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デフォルトモード・ネットワークは人生で迷わないための“道しるべ”
 
じつは、デフォルトモード・ネットワークの働きが悪くなると、将来、認知症になるリスクがたいへん高まってしまうのです。
 
どうしてデフォルトモード・ネットワークの機能がダウンすると認知症リスクがアップするのか。
順を追ってご説明しましょう。
 
もともと、デフォルトモード・ネットワークし、“自己”の形成にたいへん重要な役割を果たしていて、とりわけ次の3つの要素に深く関わっているとされています。
 
●自己認識
「自分は自分である」という認識。
他人に自己紹介をする際には、「名前は○○で、○○県出身の○歳で、趣味は○○で……」といった内容がスラスラと出てくるはず。
そのように「自分はこんな特徴を持った人間である」という認識のこと。
 
自分は「いつ」「どこで」「何をしているのか」を把握する力。
あるいは、「自分が何のためにここに来ているのか」といった状況を把握する力。
 
●記憶
自分が学んだことや経験したことを覚え、記憶情報として保存し、必要に応じて取り出す力。
記憶は一人ひとり違うため、自分と他人とを識別するカギとなる。
 
ところが、認知症を発症してデフォルトモード・ネットワークの機能が落ちてくると、“自分という人間”を形成しているこれら3つの要素がだんだん失われてしまうのです。
 
たとえば、認知症になると自己認識力が落ちて、自分の生年月日や自分の家族構成など、自分に関する情報がスラスラと出てこなくなります。
また、見当識障害を発症すると、「自分がどこにいるのか」「自分がどこへ行こうとしているのか」といったこともわからなくなり、あちこち徘徊するようになります。
さらに、過去の記憶も失われ、最終的に自分がいったい何者であったのかもあやふやになっていきます。
 
このように、認知症になると3つの要素が失われ、どんどん“自分という人間”を見失ってしまうようになるわけです。
 
だから、わたしたちは、認知症にならないためにも、デフォルトモード・ネットワークという、“自分を見失わないためのシステム”をダウンさせてしまってはいけないのです。
 
デフォルトモード・ネットワークには、自分の“過去”“現在”“未来”をつなげて、自分が進むべき人生の道を照らし出す役割があるのではないかと思っています。
 
認知症の人は、現在の自分の足元しか見えません。
自分がどこから来て、これからどこへ行くのかもわからず、自分の過去も未来も見失ってしまっています。
いま現在、ここに立っている自分の足元にしか光を当てられないから、あてもなく徘徊をしてしまうわけです。
 
しかし、デフォルトモード・ネットワークがちゃんと機能していれば、おのずと“自分モニタリング機能”を働かせて、過去を検証したり、現在の位置を確認したり、未来の状況を予測したりすることができます。
つまり、ぼんやりと自分を顧みることによって、“自分が過去に辿ってきた道”“自分がいま立っている道”“自分の未来に続いている道”のイメージをトータルに頭の中に浮かび上がらせているのです。
そして、それによってわたしたちは、「自分がどこから来て、これからどこへ向かうか」を把握して、迷うことなく“自分の人生の道”を進んでいけるというわけです。
 
おそらく、デフォルトモード・ネットワークが紡ぎ出すこうしたイメージは、わたしたちが人生で迷わないための“道しるべ”になっているのではないでしょうか。
だから、ゆくゆく“道しるべ”を失ってさまようことのないように、若いうちからデフォルトモード・ネットワークの機能を低下させないように注意していかなくてならないのです。
 
※デフォルトモード・ネットワークは、文章を読んだり計算をしたりといった課題作業に取り組んでいるときには活動が低下して、何もせずにボンヤリとしているときに活動が高まっている回路。
デフォルトモード・ネットワークは、脳のアイドリング・システム。
アイドリングをしながら自分の置かれた状況をモニタリングして、“これまで自分が進んできた道”を振り返ったり、“これから自分が進もうとしている道”をイメージしたりしている。
待機時間を利用して、自分の行動や進路に間違いがないかどうかを確認する“自分モニタリング機能”を働かせている。
「脳の老化を99%遅らせる方法 より」
 
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認知症の多くは、脳血管障害の積み重ねで起こり、その原因のほとんどが脳梗塞です。
ですから、脳梗塞の前兆である隠れ脳梗塞を早期発見することで多くの認知症を防ぐことができるのです。
 
脳梗塞は、高血圧や糖尿病などの病気が原因となったり、生活習慣などによって血液がドロドロになって血液循環が悪くなったりして、血管が厚く狭くなり、脳の血管が徐々に詰まって進行していきます。
一般的に、脳梗塞の初期には、大きさ数ミリ程度の微小な梗塞が数個出現し、段階をへるごとにこの梗塞が脳のあちこちに見られます。
このような症状のないごく小さな梗塞が隠れ脳梗塞(無症候性脳梗塞)です。
「隠れ脳梗塞(無症候性脳梗塞)は、早い人だと30代からあらわれ、40代を過ぎると急に増加するといわれています。
 
ビタミンB12や葉酸の吸収が悪くなると、ホモシステインという老化物質が増え、動脈硬化を生じることがわかっています。
ホモシステインはLDLと一緒になり血管壁にコレステロールを沈着させます。
また活性酸素と一緒になり、脂肪やLDLの過酸化、血管内皮細胞や血管の平滑筋の異常を引き起こします。
その結果、動脈硬化心筋梗塞脳梗塞になるのです。
さらに、ビタミンB12や葉酸をはじめとするビタミンB群は、ミネラル、アミノ酸などの栄養素と協力し合っているため一緒にバランスよく摂ることがとても重要なのです。
 
老人の認知症の3割~5割を占めるアルツハイマー病の場合は、脳細胞が萎縮する病気です。
この萎縮を食い止めるためには、脳細胞を生成するためのタンパク合成、核酸(DNA)合成が順調に行われる必要があるのです。
ビタミンB12は、脳細胞のタンパクと核酸(DNA)の生合成を司っています。
新しい核酸、タンパク質が生まれ、それによって細胞も新しく生まれ変わり、「こわれた組織、細胞」と「新生の組織、細胞」が入れ替わります。
その結果若さにもつながると考えられます。
アルツハイマー認知症の方々の脳脊髄中にはビタミンB12が少ないことが確認されています。
 
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