うつ病は“安全管理センター”のシステムダウンによって起こる

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うつ病は“安全管理センター”のシステムダウンによって起こる
 
ご存じのように、うつ病は近年患者数がとても増えていて、大きな社会問題にもなっています。
お知り合いの中にも、うつ病と診断された人が何人かいらっしゃるかもしれません。
 
ところで、どうしてこんなに大勢の人がうつ病になるのか、その原因がわかりますか?
 
じつはこれも、デフォルトモード・ネットワークの機能異常のせいなのです。
 
そもそも、うつ病の人は「集中しようとしても集中できない」「何をしても疲れてしまう」「仕事や家事をしているときも嫌なことが頭から離れない」「休んでいても嫌なことを考えてしまう」「何もする気が起こらない」「夜、眠れない」といった症状を訴える場合が少なくありません。
 
これらの症状はいずれも、脳の切り替えができなくなっているせいで起こっていること。
デフォルトモード・ネットワークの機能がダウンしているために、“集中モード”と“ぼんやりモード”の切り替えがコントロールできず、これにより、集中したいときに集中できず、ぼんやりしたいときにぼんやりできないという状態になってしまっているわけです。
 
実際に、うつ病の人は、仕事や作業をしているときにデフォルトモード・ネットワークの活動が低下しないことがわかっています。
通常であれば、デフォルトモード・ネットワークは仕事や作業に集中しているときには活動が弱まり、仕事を終えてぼんやりしているときに活発に活動するもの。
それが、仕事中にも活動が弱まらなくなってしまうのです。
 
これはすなわち、デフォルトモード・ネットワークがとんでもなく過剰に働いているということ。
脳の切り替えスイッチが壊れたせいで、デフォルトモード・ネットワークが暴走しているのです。
 
 ぼんやり機能が暴走し始めると、仕事で集中したいときにも雑念が浮かんできてしまい、一向に集中できない状態になります。
しかも、仕事をしているときも休んでいるときも、嫌なことばかりが頭に浮かんでくるようになる。
おまけに、夜は眠れないし、体はあちこち不調だし、寝ても起きてもつらくてしょうがない――と、このような悪循環にハマってしまうわけです。
 
 デフォルトモード・ネットワークは、脳内の安全を保つ“管理センター”の役割を果たしていると考えています。
「集中/ぼんやり」「働く/休む」「がんばる/リラックスする」といったモードを切り替えてバランスをとり、脳内の道路網で事故やトラブルが起こらないように交通整理をしているのです。
 
ところが、うつ病になってデフォルトモード・ネットワークがコントロール不能になると、この“管理センター”の安全管理システムがダウンしてしまいます。
すると、信号機や標識がほとんど役に立たなくなり、デフォルトモード・ネットワークのぼんやり機能が信号を無視して勝手に走り出すような状況になってしまうのです。
つまり、こういったシステム異状によって、脳内の道路網の各所で事故やトラブルが多発するようになり、先に挙げたような“うつ病の症状”が引き起こされるわけです。
 
なお、ご存知の方も多いと思いますガ、うつ病になると精神症状だけではなく、数々の身体症状が発生します。
頭痛、めまい、疲労感、肩こり、腰痛、しびれ、動悸、胸部圧迫感、吐き気、便秘、下痢、冷え……。
じつは、こういった身体症状も、デフォルトモード・ネットワークの安全システムがダウンしているために発生しているのです。
 
これらの身体症状は、言うなれば“管理センター”におけるシステム誤作動による産物。
“腰痛”というトラブルが発生したときに、管理等のモ二ターシステムに“赤ランプ”が点灯してしまうといった誤作動が起こるのです。
こうした誤作動によって「病院で検査しても異常がないのに、体のあちこちに身体症状が発生する」という不定愁訴が引き起こされるわけです。
 
デフォルトモード・ネットワークの機能ダウンが、いかにうつ病に大きく影響しているかがおわかりいただけるでしょうか。
 
長年うつ病の患者さんを診ていますが、うつ病は、決して「心が弱いから」「精神が弱いから」といった理由で起こるのではありません。
精神的な理由ではなく、デフォルトモード・ネットワークという脳の“切り替え管理システム”の異常が原因で起こっているのです。
 
そして、その脳の“切り替え管理システム”をダメにしてしまういちばん大きな原因は、「働きすぎ」「急ぎすぎ」「忙しすぎ」にあるのではないかと思っています。
 
つまり、日々ぼんやりする暇もなく、仕事や家事などの目先のことに振り回されているうちに、いつの間にか“ぼんやり機能”を錆びつかせてしまう。
さらに、不調のまま忙しい日々を続けていくうちに、脳の“切り替え管理システム”がコントロールのきかない状態に陥ってしまうわけです。
 
だから、日々仕事に追われている働き盛りの人、年がら年中、目の前のことに振り回されている人は、脳の“切り替え管理システム”の調子を落とさないように十分気をつけなくてはなりません。
 
もちろん、いまはまだ問題ないというみなさんにとっても他人事ではありません。
クリニックにも多忙のあまりうつ症状に陥って来院する人がたくさんいらっしゃいます。
「忙しい日常を送る中で知らず知らずのうちにデフォルトモード・ネットワークの機能を悪化させてしまう」という危険は誰にでもあるのです。
 
その“危険な落とし穴”はどこに開いているかわかりません。
うっかり落とし穴にハマらないように、普段から脳の“切り替え管理システム”をしっかりメンテナンスしていきましょう。
 
※デフォルトモード・ネットワークは、文章を読んだり計算をしたりといった課題作業に取り組んでいるときには活動が低下して、何もせずにボンヤリとしているときに活動が高まっている回路。
デフォルトモード・ネットワークは、脳のアイドリング・システム。
アイドリングをしながら自分の置かれた状況をモニタリングして、“これまで自分が進んできた道”を振り返ったり、“これから自分が進もうとしている道”をイメージしたりしている。
待機時間を利用して、自分の行動や進路に間違いがないかどうかを確認する“自分モニタリング機能”を働かせている。
「脳の老化を99%遅らせる方法 より」
 
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 寒暖の差、生活の変化が激しい毎日は、私たちの身体にも大きなストレスを与えます。
そんな日々が続くと、自律神経は、その変化に対応しきれなくなって、やがて疲れやめまい、不眠、頭痛といった症状が現れてきます。
自律神経を整えるためには生活リズムを作るとともに栄養面も非常に大切です。
 
ビタミンB12は、脳からの指令を伝達する神経を、正常に働かせるために必要な栄養素です。
十分にあると、集中力ややる気が高まり、不足すると、神経過敏などの症状が起こりやすくなります。
また、脳や神経と関連が深く、不眠症にも効果があるといわれています。
ビタミンB12は、悪性貧血のみならず神経や免疫系にも効果があることが明らかになり、高齢者のうつや認知症の予防等に利用されています。
高齢者が理由のはっきりしない神経症状を呈したら、ビタミンB12の欠乏を考えるべきだという学者もいます。
 
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