ストレスはアルツハイマー病の大きな要因
ストレスはアルツハイマー病の大きな要因
アルツハイマー病のもっとも大きな要因は「ストレス」だと考えています。
以前、福岡大学病院に協力してもらい、同病院の「物忘れ外来」を受診した85人に対して、日頃のストレスの有無についてアンケート調査をしたことがあります。
その結果、アルツハイマー病と診断されなかった人では、日頃からストレスを感じていた人が22%だったのに対して、アルツハイマー病と診断された患者さんでは73%が何らかのストレスを感じていたことがわかりました。
ストレスを受けると、脳はどのように変化するのでしょうか。
私たちの体は自律神経という末梢神経の働きによりコントロールされています。
自律神経は、体の活動時や昼間に活発になる交感神経と、休息時に体の働きを支配している副交感神経に分かれていて、ストレスを受けると交感神経が優位に働きます。
そして、交感神経が優位になると、脳内ではホモシステイン酸が大量に生産されるのです。
私たちがストレスを受けると、全身の働きを支配している自律神経が、交感神経優位の状態に切り替わります。
同時にアドレナリンという神経伝達物質が活発に分泌されます。
アドレナリンは、「闘争か逃走かのホルモン」と呼ばれ、動物が敵から身を守る、あるいは獲物を捕食する必要にせまられるなどといった状態に相当するストレス応答を全身の器官に引き起こします。
アドレナリンが分泌されると、脳内ではこのホルモンの作用を受けた神経系統の働きが活性化します。
ストレスはホモシステイン酸の大好物
しかし、老人斑があっても必ずしも認知機能障害が起こるわけではありません。
ところが、ストレスを受けてホモシステイン酸がさかんにつくられるようになると、一変します。
ホモシステイン酸の有害な働き
人間のアルツハイマー病の病理とストレスが、どのように関係しているかを検討したところ、アルツハイマー病患者さんの尿中ホモシステイン酸濃度と、患者さんの認知障害度との関係性の調査から、ストレスがアルツハイマー病の危険因子であることがわかりました。
つまり、ホモシステイン酸を積極的に尿中に排出しているのが健常な状態ですが、尿中へのホモシステイン酸の排出が、何らかの原因で抑制されると、ホモシステイン酸が体内に蓄積して、脳の機能が障害を受けているのが、アルツハイマー病の患者さんであると判明したのです。
「薬いらずで認知症は防げる、治せる より」
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ホモシステインとは
必須アミノ酸であるメチオニンを代謝していく上で産生される中間代謝物で、ホモシステインからは再度メチオニンが作られたり、美白に関わるシステインや、エネルギー産生に関わるα-ケト酪酸の前駆体になる等、重要な役割を担っています。
しかし、1969年にボストンの医師が先天的に血中ホモシステイン濃度の高い患者において若年期に動脈硬化や血栓性病変があることを発見して以降、多くの学者が 研究を始め、ホモシステインが心疾患等の危険因子になり得ることを明らかにしました。
文部科学省の大規模コホート研究においても、血清ホモシステイン値が高い人ほど循環器疾患による死亡率が高くなることがわかりました(基準値は3.7~13.5μmol/L ファルコバイオシステムズHPより)。
腸内環境も大事
ビタミン含有食品の積極的な摂取も必要ですが、腸内環境を整え、細菌の力を最大限に借りることが本来のあるべき姿でしょう。
さらに、ビタミンB12は胃壁から分泌される因子(タンパク質)と結合して吸収されるので、胃や腸の機能も同時に整えることも重要です。
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