「頑張るストレス」と「我慢するストレス」

イメージ 1
「頑張るストレス」と「我慢するストレス」
 
<心の不調は脳に影響が及んでいる可能性を疑え>
 
「心が重たくて会社を休みたい」
「仕事から帰っても気持がふさいでしまう」
「家事をする気が起こらない」
 
こんな気分になることは、誰にでもよくあることでしょう。
しかし、このように落ち込んでいるとき、体の中で起きていることを理解している人は、ほとんどいないのではないでしょうか。
 
気持が暗く沈んでいるとき、当然ながら私たちは、それを「心の問題」だと捉えます。
心の調子が悪いのだとか、心が少し風邪を引いてしまったのだ、というように。
 
われわれは職場や家庭の中で積み重なったストレスを、ついつい心の問題として片付けていますが、このとき、「脳」という臓器に“物理的に”影響が及んでいることが、最新の研究によって明らかになってきました。
 
心に負担がかかるとは、具体的にどういうことなのか、そのとき、体の中では何が起きているのか……。
 
<仕事のストレスからうつ病に>
 
現在、仕事のストレスからうつ病を患う人が急増しています。
厚生労働省の調査によれば、働く人の実に六割が、強い不安やストレスに悩まされているといいます。
そして、うつ病などの“メンタルの労災”と認定された人の数は、この10年で約4倍にも膨れ上がっています。
 
世界保健機構・WHOは、2030年には、うつ病が世界で最も社会的に損失を生み出す病気になるだろうと警告しています。
私たちは極度のストレス社会に生きていて、誰でもこの病を発症するリスクを抱えているのです。
 
<「頑張るストレス」と「我慢するストレス」>
 
では、そもそも日々のストレスが、いったいどのようなメカニズムで心をむしばみ、うつ病を発症させるのでしょうか。
 
早稲田大学人間科学学術院の熊野宏昭教授によると、私たちの心や体に影響を及ぼすストレスは、大きく二種類に分けられるといいます。
「頑張るストレス」と「我慢するストレス」のふたつです。
 
結論を先に述べると、「頑張るストレス」では主に「体」のストレス反応が強くなり、「我慢するストレス」では主に「心」のストレス反応が強くなることが分かっています。
 
まず「頑張るストレス」とは、例えば、仕事でノルマに追われているようなときに生じるストレスです。
売り上げ目標を達成しなければいけない営業マンや、厳しい納入スケジュールを守らなければいけない工員、一日のうちに掃除や洗濯、食事の準備など複数の家事をこなさなければならない主婦(夫)には、この種類のストレスがかかっているに違いありません。
多くの人は、日常的に、与えられたいくつもの課題と格闘しています。
ひとつが終わってもまた新しい課題にせき立てられるような状況の中、とにもかくにも頑張り続ける日々を送っているのではないでしょうか。
 
こうした状況にさらされると、複数あるストレスホルモンの中で、アドレナリンなどが過剰分泌されます。
そのアドレナリンが絶え間なく大量に分泌されると、血圧の上昇などさまざまな身体的反応につながります。
 
一方の「我慢するストレス」とは、例えば、「満員電車に長時間乗る」「嫌な上司と毎日顔を合わせる」といった、何かを耐え忍ぶ状態を継続しなければならない状況のストレスのことを指します。
 
現代社会には、人混みや騒音、複雑な人間関係、インターネットや携帯電話による心理的拘束など、いくつもの「我慢するストレス」の要因が存在します。
誰もが、果てしなく続く「我慢しなくてはならない状況」を、何とかやり過ごしながら日々を送っているといっていいでしょう。
 
そして、いま、世界中の研究者がこの「我慢するストレス」に注目しているといいます。
なぜなら、この種のストレスが主な原因となって、心の病につながる、恐るべきある反応を、私たちの体の中で引き起こすことが分かってきたからです。
 「キラーストレス 心と体をどう守るか より」
 
*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*
 
私たちの脳の中で司令塔のような役割をしているセロトニン神経という神経細胞が弱ってきており、軽い不調からうつ病、パニック症候群、さまざまな依存症などを引き起こす原因になっています。
この現象は大人から子どもまで老若男女に広がっています。
セロトニン神経は、日を浴びることや意識した呼吸、簡単な運動をすることなど日常生活に少し工夫を加えることによって鍛えることができます。
 
仕事がたまっていたり、疲れていたりするときに、自分の思いどおりに物事が進まないと、イライラしやすくなります。
また、つねにイライラしやすく、状況によってキレやすくなるという人もいます。
こうしたイライラの原因は、脳の神経を伝達する機能の低下によって、脳の緊張・興奮状態が過剰になっているのではないかと考えられています。
 
脳には無数の神経細胞があり、その神経細胞の末端からセロトニンアセチルコリンドーパミンなどの神経伝達物質を放出しています。
それらによって次の細胞に情報を伝えていき、それが網の目のようにいっせいに行われることで、情報が瞬時に伝わり、手や足などの末端まで伝達されていきます。
しかし、その伝達情報がうまくいかないと、脳が興奮して抑制が効かなくなり、イライラしたり、落ち着かなくなったりします。
イライラしやすいときは、脳の神経伝達物質であるセロトニンアセチルコリンドーパミンなどが不足していることが考えられます。
そのため、これらの材料となるアミノ酸と、アミノ酸を取り込むために必要な糖分やビタミンB12の不足を疑ってみましょう。
 
ビタミンB12は、脳からの指令を伝達する神経を正常に働かせるために必要な栄養素です。
十分にあると、集中力ややる気が高まり、不足すると、神経過敏などの症状が起こりやすくなります。
脳や神経と関連が深く、不眠症にも効果があるといわれています。
 
ちょっと使える身近な情報をお届けしています!