絶え間なく続くストレス反応
かつて、感染症が死の病として恐れられていた時代がありました。
原因となるのは、細菌やウイルスです。
その変わりというわけではないですが、現代社会ではストレスが引き起こす病がクローズアップされています。
「現代では、ひとつひとつのストレスはそれほど大きくないとしても、積み重なることによって体に障害が現れるレベルに達してしまう。ストレス反応が収まる前に次のストレスがやってくるといったように、絶え間なく反応が引き起こされ、それが病に至るレベルになっていくのです」
須藤氏は働き盛りのストレスというと、上司や同僚との人間関係にまつわる悩みを思い浮かべるが、決してそれだけではないと言います。
精神的なストレスだけでなく、「体」にも目を向けるべきだと警鐘を鳴らすのです。
残業、長時間労働、休日出勤……。
育児、家事、介護……。
個人の力だけでは対処できない場合もありますが、過酷な勤務ややるべきことが複数重なったときは、そのことを自ら認識し、心と体を休めることが大切です。
そうした心がけが結果的に自らの健康を守ることにつながります。
重なることで威力を増すストレス
「ライフイベント ストレスチェック」では、もっとも点数が高いのは、「配偶者の死」の83点です。
「親族の死」も73点と高い点数になっています。
親しい人の死は、大きなストレスになるのが分かるでしょう。
そして、注目すべきは、「多忙による心身の過労」の点数も62点と高いということです。
また「睡眠習慣の大きな変化」という項目は47点となっています。
救急車で運び込まれてきたSさんは、親戚の通夜に行く途中に、日頃は感じることのないめまいやふらつきを感じていました。
それだけならよかったのですが、しだいに体の自由が利かなくなるなどの異変を感じたので、救急車を呼んだといいます。
すぐに、画像診断によって脳の状態を調べたところ、脳出血が起こっていました。
いわゆる、脳卒中です。
倒れた日の詳しい状況を聞くと、ホテルに勤めているSさんは、近年、海外からの旅行客が急増し、忙しくなった。
それととともに勤務時間が長くなり、慢性的な睡眠不足に陥っていました。
そこに、精神的に追い打ちをかける出来事、親戚が急に亡くなったのです。
脳出血を起こしたこのケースも、ストレスが重なり合うことでキラーストレスと化したことは容易に想像できます。
もともと血圧の高かった血管は、その上昇に耐えられなくなって破裂に至り、脳出血を発症したと考えられます。
むろん、破裂するのは脳の血管だけではありません。
体の中でも最も太い血管、胸から下半身へと伸びる大動脈が破裂すれば、これも死に直結します。
もし動脈硬化などで血管が詰まっているところがあれば、真っ先にそこから破裂が始まってしまうでしょう。
また、ストレスホルモンにより血液中の血小板が固まると、足の付け根の血管などに「血栓」と呼ばれる血の塊ができ、それが血液に乗って肺まで移動し、肺の血管を詰まらせてしまいます。
これが「エコノミークラス症候群」として知られる肺塞栓症で、同様のことが脳で起これば脳梗塞、心臓で起これば心筋梗塞を引き起こします。
どちらも死を招きかねない危険な病です。
このようにいくつものストレスが重なると、たかがストレスなどと侮ることのできない、重篤な症状を引き起こす原因になるのです。
「キラーストレス 心と体をどう守るか より」
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根本的な老化とは「血管が衰えること」です。
わかりやすく言うと、血管の衰えとは「動脈硬化」のことです。
虚血性心疾患である心筋梗塞の発作を起こした人の2割程度にしか高コレステロール血症が見られないことから、これまで長い間、コレステロール以外に動脈硬化の原因となるものがあるのではないかと考えられていました。
そうして、ホモシステインがそのひとつの原因だと注目を集めるようになりました。
また活性酸素と一緒になり、脂肪やLDLの過酸化、血管内皮細胞や血管の平滑筋の異常を引き起こします。
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