ストレスを悪化させる「マインド・ワンダリング」
慢性的にストレス反応が起きているこうした状況を、さらに悪化させる仕組みがあることが、最近の研究から分かってきました。
その原因となるのが、私たち人類に備わっている「記憶力」や「想像力」だというから驚きです。
例えば、職場で上司に厳しく叱責されるといった、大きなストレスにさらされた場合を考えてみましょう。
あなたは、家に帰って上司が目の前からいなくなっても、その場面を思い出しはしないでしょうか。
そして、また明日も同じようなことが起きるかもしれないと想像したりしないでしょうか。
じつは、その度に、脳はストレスを感じて、ストレス反応を起こしているのです。
つまり、脳の中で、われわれは自らストレスを生み出しているかもしれないのです。
このように、目の前の現実についてではなく、過去や未来についてあれこれ考えを巡らせてしまう状態を「マインド・ワンダリング(心の迷走)」と呼び、いま、世界中で関心が高まっています。
2010年、ハーバード大学の心理学者マシュー・キリングスワースらが2250人を対象に行った、マインド・ワンダリングに関する大規模な行動心理調査の結果を発表。
それによると、このマインド・ワンダリングの状態は、生活時間の実に47%にも上がったのです。
つまり、起きている時間の半分近くで、私たちはストレスを感じやすい状態に置かれているのです。
「人間が過去や未来のあれこれを考えてしまうのは、将来の計画を立てるためです。しかし、そうしている間、ストレス反応がずっと続いているのです。どんどん脳をむしばみ、心の状態を悪くしてしまいます」
人間は考える動物である。
過去から教訓を得て、未来に備えようとすることで大きな進化を遂げてきました。
しかし、皮肉なことに人間が人間をたらしめているこうした活動こそが、脳をむしばむストレス反応を悪化させているのです。
さらに、現代社会に特有の“あるもの”が、マインド・ワンダリングの危険性をどんどん加速させているという指摘もあります。
それは、スマートフォン――です。
そこで目にするテキスト情報は、私たちの思考を回転させます。
ついいろいろなことを想像してしまい、心は過去や未来へとさまよい出してしまうのです。
人類の進化と文明の発展に伴って、ストレスは日々増え続けています。
私たちは、無意識のうちに、膨大かつ継続的なストレスと共に生きており、それが過剰になったとき、脳が“物理的に”破壊されることを肝に銘じなければならないでしょう。
現代社会においては、職場や家庭の中で生まれる精神的な負荷が、天敵に代わってわれわれを追いつめるようになりました。
朝、会社に出勤するときから、家に帰るまでのことを思い浮かべてください。
通勤ラッシュの電車で無表情の群衆にもまれながら、騒音と振動と圧迫に黙って耐える。
職場では、仕事のノルマや人間関係に神経をすり減らし、夜も煌々とした電灯の下で残業に追われる。
ようやく家に帰りついたと思うと、業務連絡の携帯電話が鳴り続く……。
こうしたのべつ幕なしのストレスに、私たちの体は休むまもなく反応し続けています。
いわば、常にスイッチオンの状態で生きているのです。
国立精神・神経医療研究センター研究部長 功刀氏が言います。
「長時間労働が毎日続く。睡眠がとれない。そのような中で私たちは慢性的にストレスホルモンを出してる状態になっています」
太古の昔には想定されていなかった絶え間のないストレスが、コルチゾールの過剰分泌を引き起こし、脳をむしばんでいくのです。
「キラーストレス 心と体をどう守るか より」
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この現象は大人から子どもまで老若男女に広がっています。
セロトニン神経は、日を浴びることや意識した呼吸、簡単な運動をすることなど日常生活に少し工夫を加えることによって鍛えることができます。
仕事がたまっていたり、疲れていたりするときに、自分の思いどおりに物事が進まないと、イライラしやすくなります。
また、つねにイライラしやすく、状況によってキレやすくなるという人もいます。
こうしたイライラの原因は、脳の神経を伝達する機能の低下によって、脳の緊張・興奮状態が過剰になっているのではないかと考えられています。
それらによって次の細胞に情報を伝えていき、それが網の目のようにいっせいに行われることで、情報が瞬時に伝わり、手や足などの末端まで伝達されていきます。
しかし、その伝達情報がうまくいかないと、脳が興奮して抑制が効かなくなり、イライラしたり、落ち着かなくなったりします。
ビタミンB12は、体にとって重要なタンパク合成と核酸(DNA)合成を司る栄養素です。
新しい核酸、タンパク質が生まれ、それによって細胞も新しく生まれ変わり、「こわれた組織、細胞」と「新生の組織、細胞」が入れ替わります。
その結果若さにもつながると考えられます。
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