軽度認知障害の46%は正常に復帰できる

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軽度認知障害46%は正常に復帰できる
 
面倒退治の第一歩こそ、名前忘れを防ぐ訓練を重ねること
 
記憶力低下のすべてを、脳神経細胞の衰えに押しつけるのは、無理があります。
記憶の海馬があまり衰えていなくても、「芋づるをたぐる」ことが面倒になれば、思い出せなくなるからです。
 
もっと正しくは、記憶力低下のほとんどは、この「面倒」に隠れているのです「芋づるをたぐる」ことが面倒なら、思い出すのも面倒。
これでは記憶も回復しませんね。
 
面倒退治の第一歩こそ、名前忘れを防ぐ訓練を重ねることです。
 
自分自身も周囲の人も、「たかが、名前忘れくらい」と軽視します。
この心が努力を妨げ、意欲の欠落を生むのです。
 
意欲の低下は、認知症の全てに現れ、しかも長年続く症状です。
さらに「治ろう」の努力までも崩壊させてしまいます。
 
名前忘れも意欲の低下も、軽度認知症が必ず現れる症状です。
軽度認知症の発見の糸口にもなります。
 
軽度認知症は軽度だから、発見がむずかしい。
専門家でも迷うことがしばしなのです。
そうした専門家が目印とするのも名前忘れや意欲の低下です。
 
軽度認知障害46%は正常に復帰できる
 
軽度認知障害認知症の前駆状態であると同時に、真性の認知症になる危険性を大きくはらんでいます。
 
軽度認知障害を有していても、その後に正常へ回復した例は少なくありません。
 
豪州シドニーでの縦断研究では、健忘型軽度認知障害の高齢者で、2年後に認知障害がない状態に回復する率は、
・多重領域に問題がある場合は10.9%
・単一領域の場合は44.5%
と報告しています。
 
ここでわかりやすく、多重領域と単一領域の説明をしておきましょう。
 
認知症の症状は、中核症状として、記憶力の低下、見当識の低下、意欲の低下と並びます。
つまり中核症状はいろいろあるわけです。
そのいろいろが多重領域なのです。
 
さらに認知症の暴言、不潔行為、徘徊などの周辺症状が加われば多重領域はより広がります。
多重領域とは複数の症状を持つと考えれば、よいでしょう。
 
そして単一領域とは、ただ一つの症状を意味します。
多重領域は重症、単一領域は軽症とも考えられます。
多重領域の回復率は10.9%、軽症の回復率は44.5%の数字を見ても理解されるでしょう。
 
さらに愛知県大府市65歳以上の住民約4200人を4年間追跡した調査でも、
 
軽度認知障害と判定された約740人のうち、
14%は認知症に進み
46%は正常に復帰した
とあります。
 
この報告は、重要なことを示唆しています。
 
認知症を予防するには、いち早く軽度認知障害を発見し、早期に予防を開始することが重要と解釈されるのです。
 
認知症もグッドタイミングさえキャッチすれば回復する」という、嬉しい報告です。
「人の名前が出てこなくなったときに読む本 より」
 
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記憶力の減退も、脳の老化を示す典型的な症状ですが、記憶のネットワークを活性化する働きをしているのが、脳の海馬という組織であることはよく知られています。
その海馬には、アセチルコリン系神経が集中しているのです。
 
脳が老化し、萎縮してしまうアルツハイマーとの関係はとくに深く、アルツハイマーの脳ではアセチルコリンが減少していることから、アセチルコリン不足がアルツハイマーのひとつの原因とも考えられています。
 
アセチルコリンの合成にはコリン、ビタミンB1、ビタミンB12などがかかわっています。
同時にこれらの栄養をとることが、アセチルコリンを増やすことにつながるわけです。
通常、コリンはレシチン(フォスファチジルコリン)のかたちで、食材から摂取されます。
 
レシチンアセチルコリンの材料になるだけではなく、細胞膜の材料にもなっています。
とくに脳の神経細胞の細胞膜にはたくさん含まれていて、多彩な働きをしています。
血液にのって運ばれる栄養の細胞内へのとり込みや細胞内の老廃物の排出、神経伝達物質の放出や情報ネットワークの形成といった、脳の機能全体に深くかかわっています。
これが、レシチンが「脳の栄養素」と呼ばれるゆえんです。
そのレシチンを多く含んでいる食品の代表が卵黄です。
 
また、ビタミン欠乏症が原因で、認知症になるケースがあるそうです。
ビタミンの種類は、ビタミンB1、ビタミンB12、葉酸
東京武蔵野病院 副院長 田中信夫先生によれば、認知症患者の血中ビタミンB12は、通常の人より少ないそうです。
認知症の方に、ビタミンB12を投与すると、ボケ症状、特に感情障害、夜間せん妄、意欲、自発性の障害などの精神障害が軽くなると言われています。
高齢者が理由のはっきりしない神経症状を呈したら、ビタミンB12の欠乏を考えるべきだという学者もいます。
 
ビタミンB12について?
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