「顔は覚えているが名前が出てこない」ときが厳重注意期
「顔は覚えているが名前が出てこない」ときが厳重注意期
次に、軽度認知症の正体に迫りましょう。
そして、こんな形で現れます。
最も多く現れるのが、人の名前や品物の名前の忘却。
つまり、あれこれ症候群の増加です。
「顔は覚えているが名前が出てこない」は、誰にでも現れる症状だけに、軽視されやすい。
その軽視が、絶好のチャンスを見逃すのです。
また同様に「あれこれ症候群」も、おふざけか、お笑いのネタ程度に扱われることが非常に多い。
「顔は覚えているが名前が出てこない」や「あれこれ症候群」がたびたび現れるようになったら、厳重注意です。
注意がなければ、絶好のタイミングや回復のチャンスを見逃すことになります。
また意欲の低下も顕著に現れます。
何事についても、「明日にしよう、後でしよう」になる。
これが意欲の低下の第一歩です。
「意欲の低下・面倒」を排除しよう
認知症老人に見られる精神状態で、最多のものこそ意欲の低下だと思っています。
他の精神症状に比べても、飛び抜けて多い。
約50%にも及ぶというのですから、思いっきりの飛び抜けです。
意欲の低下も、よくよく調べてみると、名前忘れと縁が深いのです。
名前忘れの大きな原因は、名前を思い出すのが面倒だからです。
努力不足からです。
すぐに「忘れたっ」と、切り捨てる。
そして「誰だっけ」と他人の記憶を借りたがる。
この「借りたがる」が顕著になれば「振り返り症候群」となって、認知症診断の一項目になります。
振り返り症候群とは、診察室などで質問されると、「これこれこれだったね」と付き添いの家族に振り返り、家族の知恵を借りたがる現象です。
「振り返る」、「借りたがる」の思いはただ一つ。
思い出す努力が面倒だからです。
面倒でも思い出さねばならぬ。
そこで家族の記憶を借りることになる。
振り返り症候群については、記憶低下の不安もあるでしょう。
不安だからこそ、振り返って、家族の記憶で確かめたくなるのでしょう。
理由や原因は多々あるでしょうが、面倒が主流であることは確かです。
思い出すのは面倒な名前ばかりではありません。
記憶の全てに絡みます。
人間の記憶の思い出しは、芋づる式です。
思い出に到達するまでは、どうしても芋づるをたぐらねばなりません。
この「芋づるをたぐる」のが面倒になれば、思い出しも不可能になります。
こうした状態を「記憶力低下」といい、脳神経細胞の衰えと決めつけます。
「人の名前が出てこなくなったときに読む本 より」
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記憶力の減退も、脳の老化を示す典型的な症状ですが、記憶のネットワークを活性化する働きをしているのが、脳の海馬という組織であることはよく知られています。
その海馬には、アセチルコリン系神経が集中しているのです。
アセチルコリンの合成にはコリン、ビタミンB1、ビタミンB12などがかかわっています。
同時にこれらの栄養をとることが、アセチルコリンを増やすことにつながるわけです。
通常、コリンはレシチン(フォスファチジルコリン)のかたちで、食材から摂取されます。
とくに脳の神経細胞の細胞膜にはたくさん含まれていて、多彩な働きをしています。
血液にのって運ばれる栄養の細胞内へのとり込みや細胞内の老廃物の排出、神経伝達物質の放出や情報ネットワークの形成といった、脳の機能全体に深くかかわっています。
これが、レシチンが「脳の栄養素」と呼ばれるゆえんです。
そのレシチンを多く含んでいる食品の代表が卵黄です。
また、ビタミン欠乏症が原因で、認知症になるケースがあるそうです。
ビタミンの種類は、ビタミンB1、ビタミンB12、葉酸。
高齢者が理由のはっきりしない神経症状を呈したら、ビタミンB12の欠乏を考えるべきだという学者もいます。
ビタミンB12について?
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