第2章 毎日の中でできる「脳にいい暮らし方」
「毎日ひとつ、何か新しいことをする」と決めている知人がいます。
この人は、ほんのちょっとのことでもいいので、いままでやっていなかったことをやると自分に課していて、それが習慣化されているそうです。
たとえば、スーパーやコンビニで買ったことがないお菓子を買う、家の近所でも通ったことがない道を通ってみる、見たことがないテレビ番組を見てみる、レストランでなかなか頼むことがないメニューを注文してみる……。
なんでもいいそうです。
その話を聞いて、この人は「脳にいい暮らし方」を知っているなと思いました。
新しいことをすることは、脳にいいという話をしてきましたが、それを習慣化することが簡単ではない人もいるようです。
そういう人の話を聞いていると、「新しいこと」というのをちょっと大げさに考えすぎてしまっていることがあります。
この知人のように「ちょっとしたこと」で十分です。
それだけで、脳は変化します。
たとえば、散歩や通勤で歩いている人であれば、その道を変えてみる。
図書館に行く、書店に行くという習慣をつけることも脳にいい行為です。
実は、読書の習慣がある人ほど健康寿命が長くなるという研究報告もあります。
「新しいこと」は、行動を変えるだけでなく、環境を変えることでもOKです。
花やグリーンを部屋に飾ってみる、部屋の模様替えをする、寝る部屋を変えてみる、枕の位置を逆にしてみる……ちょっとしたことでいいので、ぜひ実践してみてください。
脳にいい習慣例
・花やグリーンを机に置いてみる
・洋服の色を変える
・いつもと違うジャンルの映画を観る
・いつもつけないテレビのチャンネルをつけてみる
・スマホの待ち受け画面を変えてみる
・いつもと違うジャンルの音楽を聴く
・寝る場所や方向を変えてみる
・新しい入浴剤を入れてみる
・食べる場所を変えてみる
・エレベーターでなく階段で上がってみる
・パジャマを変えてみる
・かばんでなくリュックにしてみる
・反対の足から靴をはいてみる
・新しい電化製品を買ってみる
・いつも頼まないメニューを頼んでみる
・歩くスピードを変えてみる
・ネイルや化粧を変えてみる
・髪型を変えてみる
・ひげをはやしてみる
・乗ったことのない電車に乗る
・知らないお店に入ってみる
・コンビニで普段買わないものを買ってみる
・呼吸のペースを変えてみる
・枕を変えてみる
「80歳でも脳が老化しない人がやっていること より」
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脳の中では、運動会のリレーのように、神経がバトンをつないで、指令を伝達していきます。
しかし、たとえばC地点の神経細胞が倒れてしまい、指令がそこで止まってしまう、という事態が起こります。
このとき、すぐにC地点の神経細胞を救出できれば復活したのですが、時間が経ち、死んでしまって、その指令も届かなくなる。
これが運動麻痺や言語障害の起こる理由です。
ところが、脳のすごいところは、C地点から今度はほかのルートでバトンを渡そうとするのです。
新たなルートで、新たなリレーのチームを作り、「言葉を話す」という指令を伝えようとします。
この新チームは、以前のチームのようにバトンの受け渡しがうまくなく、スムーズに指令が届きません。
しかし、何度も繰り返し練習するうちに、だんだんうまく指令が伝わるようになっていきます。
このようにして、死んでしまった神経細胞は復元しないけれど、ほかのルートで代用できれば、言葉がある程度話せるようになり、失語症もよくなっていくというわけです。
ニューロン同士が情報伝達を行うこと、つまり神経機能的連絡を行うためには、新経路の交差点ともいうべきものが必要であり、この交差点をシナプスと言います。
このシナプスは、歳をとっても増加し、より成熟した結合が進行するとされています。
高度の創造過程にも高密度のシナプス形成が必要と思われ、そのためには、それに必要な素材として神経系構成成分、つまり栄養成分が必要なことは当然で、また、その構築作業のための酵素、そしてそれを補佐する補酵素的ビタミンも必要となります。
その中でも重要なものがビタミンB12なのです。
脳科学の発達によって、さまざまなことがわかり、新たな試みがされています。
ビタミンB12について?