第1章 「入力系」より「出力系」

第1章 「入力系」より「出力系」

 

「記憶力」には、「モノを覚える力=記憶する(インプット)力」だけでなく、「モノを思い出す力=記憶を引き出す(アウトプット)力」があります。

 

この「記憶を引き出す力」、脳のどこかにしまわれた記憶を引っ張り出してくる「インデックス(検索)機能」を担っているとされるのが、前頭葉です。

この前頭葉が委縮(老カ)してくれば当然その機能も衰え、モノがなかなか思い出せなくなります。

 

そして何よりこわいのは、この機能が衰え始めると、「悪循環」によってこの機能の衰えにさらに加速がかかってしまうことです。

それは「モノが思い出せなくなる」ことにより、「話題も出てこなくなる」からです。

 

実は、歳をとると、昔は饒舌だった人もだんだんに無口になることがあるのは、前頭葉の老化によってインデックス機能が衰えてくるためです。

 

こうして無口になり、家に閉じこもり、その家のなかで「アレ」「ソレ」「コレ」だけの会話になっていけば、前頭葉のインデックス機能もますますサビついて老化が進み、ますます人と話すことが億劫になり、さらに前頭葉の老化が進む……そんな悪循環に陥るのです。

 

 

歳をとって「物覚えが悪くなった」ことを秘かに悩む人はいても、「自分が無口になった」ことを悩む人はあまりいないと思います。

しかし「老化」という点でより深刻に悩むべきは、物覚えが悪くなったことではなく、無口になったことのほうなのです。

 

本を読んでも頭に入らなくなった、物覚えが悪くなったというのは、「記憶のインプット=入力系」の衰えですが、実はこれはいくらでもカバーする方法があります。

記憶する行為はかなり意志的な行為ですから、「何がなんでも覚えなければならない」という意欲や気力でカバーできることも意外にあるものです。

さらに、歳をとっても「好きなことなら熱中できるし、覚えられる」ということもままあるものです。

 

 

一方、「記憶のアウトプット=出力系」では、前頭葉の他に頼れるものはありません。

 

そこで入力系よりまず、「脳の出力系」を鍛えること。

「鍛える」といってもハードなトレーニングは必要ありません。

日頃の習慣を見つめ直してみたりあらためてみたり、モノの見方を変えてみたり――それだけでも老化のスピードは緩まるはずです。

「50代からはじめる老けない人の「脳の習慣」 より」

 

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脳の中では、運動会のリレーのように、神経がバトンをつないで、指令を伝達していきます。

しかし、たとえばC地点の神経細胞が倒れてしまい、指令がそこで止まってしまう、という事態が起こります。

このとき、すぐにC地点の神経細胞を救出できれば復活したのですが、時間が経ち、死んでしまって、その指令も届かなくなる。

これが運動麻痺や言語障害の起こる理由です。

 

ところが、脳のすごいところは、C地点から今度はほかのルートでバトンを渡そうとするのです。

新たなルートで、新たなリレーのチームを作り、「言葉を話す」という指令を伝えようとします。

この新チームは、以前のチームのようにバトンの受け渡しがうまくなく、スムーズに指令が届きません。

しかし、何度も繰り返し練習するうちに、だんだんうまく指令が伝わるようになっていきます。

このようにして、死んでしまった神経細胞は復元しないけれど、ほかのルートで代用できれば、言葉がある程度話せるようになり、失語症もよくなっていくというわけです。

 

ニューロン同士が情報伝達を行うこと、つまり神経機能的連絡を行うためには、新経路の交差点ともいうべきものが必要であり、この交差点をシナプスと言います。

このシナプスは、歳をとっても増加し、より成熟した結合が進行するとされています。

高度の創造過程にも高密度のシナプス形成が必要と思われ、そのためには、それに必要な素材として神経系構成成分、つまり栄養成分が必要なことは当然で、また、その構築作業のための酵素、そしてそれを補佐する補酵素的ビタミンも必要となります。

その中でも重要なものがビタミンB12なのです。

脳科学の発達によって、さまざまなことがわかり、新たな試みがされています。

 

ビタミンB12について?

https://www.endokoro.com/