第4章 いつまでも現役の消費者でいよう

第4章 いつまでも現役の消費者でいよう

 

ずっと現役でいたいと望んでいる高齢者は多いでしょう。

「老いと闘えるうちは闘う」という観点からも、可能なかぎり現役でいたほうがいい、と思います。

 

ただ勘違いしがちですが、「現役」イコール「働きつづける」ではありません

高齢者が働きづけることは大事ですが、同時に、「現役の消費者」でありつづけることも大事だ、と思っています。

 

なぜかといえば、高齢者が現役の消費者になることで、世の中を変えられる可能性があるからです。

 

たとえば、高齢者が自動車を運転して事故を起こすと、最近の風潮としては、免許の返納のことばかりが議論されます。

 

でも、そればかりではなく、高齢ドライバーに向けた、車の安全装置の開発や販売、あるいは自動運転の普及を進めるチャンスと考えるべきです。

やはり高齢者が多いスウェーデンに本拠を置く自動車会社などでは、自動車に安全性や自動運転の機能をどんどん進化させているのに対し、日本ではあまり進んでいないのが現状です。

 

AI(人工知能)の時代は、AIが人間のニーズを察して何をつくるかを考えてくれますから、消費者の要求水準が高い国ほどいいものがつくれるのです。

 

人口の多い高齢者が現役のドライバー、現役の自動車の消費者でありつづけることで、よりクオリティの高い車が生まれる可能性が高まります。

また、海外も高齢化が進むので、そういう商品は国際競争が高いといえるのです。

 

高齢者が現役の労働者である以上に、現役の消費者でありつづけることにはきわめて大きな意味があります

たとえば、いまファッション雑誌は50代以下に向けたものがほとんどですが、高齢者がファッションの消費者でありつづければ、70代や80代をターゲットにしたファッション雑誌が創刊され、雑誌業界自体も活気づくことになるかもしれません。

 

お金をもっているのに使わない高齢者が、日本にはたくさんいます。

たとえば、将来どこかに寄付をするなど、何か使う目的があってお金を貯めるのはいいと思います。

 

でも、預金通帳の数字が増えていくのがうれしいとか、子供に1円でも多く財産を残したいとか、そんな理由でせっせと貯金をしたところで、結果的には、ただの「ケチ老人」としてあの世に行くことになります。

 

お金は使うために稼ぐものであって、貯めるために稼ぐものではありません

 

かつてのように、みんなが貯めたお金を銀行が企業に貸し、それで経済がまわっていた時代はともかく、いまは銀行がお金を貸す相手がなかなか見つからず、貸したとしても利息がろくにとれないので困っている状況です。

銀行のATMで時間外にお金を預けようとすると、当然のように手数料をとられます。

銀行がもはや預金などしてほしくないと思っている時代なのです。

誤解されがちですが、資本主義社会においては、お金をもっている人よりも、お金を使っている人のほうが偉いのです。

 

内需を縮ませるばかりのコロナ対策とあいまって、日本の不景気は、今後さらに深刻化するのではないかと心配しています。

 

いま、日本の個人金融資産は2000兆円超にのぼり、そのうちの実に7割は60歳以上の人たちがもっているといわれます。

高齢者が国に対していちばん役に立てることは何かといえば、それはお金を使うことにほかならないと思います。

「老いの品格 品よく、賢く、おもしろく より」

 

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人の体の老化は20代ごろから始まります。

老化は生きている以上避けられないものですが、何をどう食べるかで進行程度が変わってきます。

30代では個人差はさほどありませんが、40歳を過ぎて中年期に入るころからだんだん差が生じ、65歳を過ぎて高年期に入ると、健康状態にはっきりとした差が出ます。

健康寿命をのばす食生活に加えて、年代別の食べ物・食べ方に気をつけると、病気予防がいっそうアップします。

動脈硬化は年齢とともに発症しやすくなり、50代になるとほとんどの人(女性は60代から)に動脈硬化が見られるようになります。

 

認知症の多くは、脳血管障害の積み重ねで起こり、その原因のほとんどが脳梗塞です。

ですから、脳梗塞の前兆である隠れ脳梗塞を早期発見することで多くの認知症を防ぐことができるのです。

 

脳梗塞は、高血圧や糖尿病などの病気が原因となったり、生活習慣などによって血液がドロドロになって血液循環が悪くなったりして、血管が厚く狭くなり、脳の血管が徐々に詰まって進行していきます。

一般的に、脳梗塞の初期には、大きさ数ミリ程度の微小な梗塞が数個出現し、段階をへるごとにこの梗塞が脳のあちこちに見られます。

このような症状のないごく小さな梗塞が隠れ脳梗塞(無症候性脳梗塞)です。

「隠れ脳梗塞(無症候性脳梗塞)は、早い人だと30代からあらわれ、40代を過ぎると急に増加するといわれています。

脳梗塞をはじめとする脳血管障害を生活習慣病の一つととらえ、ふだんから健康に保つ生活を心がけましょう。

ビタミンB12やB6、葉酸の吸収が悪くなると、活性酸素やホモシステインという老化物質が増え、動脈硬化を生じることもわかっています。

 

ビタミンB12について?

https://www.endokoro.com/