第4章 高齢だから味わえる自由な仕事選び
第4章 高齢だから味わえる自由な仕事選び
組織の役職としての仕事は、ある一定の時期がくれば辞めなければなりません。
つまり、肩書で考えれば、多くの人の仕事人生は50~60代をピークに終わりを迎えます。
でも、脳力で考えれば、自分自身が続けられるかぎり仕事人生は終わることはなく、ピークももっとあとにくるかもしれません。
会社員の場合、60歳(2025年以降、65歳)で定年を迎えれば、昨日まで部長だった人が一気に何の肩書もない人になります。
そこでは、残っている能力をどう活かし、どう人の役に立つことをするかを考えることが大事になるのです。
年金も貯蓄もある定年退職後であれば、お金のことをあまり重視せずに仕事を選ぶことができるのは、リタイア世代の特権でもあります。
いま、介護の仕事は人手不足といわれていますので、ある程度、体力があるなら、定年後や子育て、あるいは自分自身の親の介護を終えたあとに介護の仕事をするというのも、意義のある選択だと思います。
介護の仕事は、年収300万円台が中心です。
業務内容のわりに年収水準が低いことが人材不足の要因ですが、定年後に始めるのであれば、年収にはあまりとらわれずにすみます。
そして、年収にとらわれなければ、他人に深く感謝される介護の仕事のやりがいを、より強く実感できるのではないかと思います。
高齢になっても働き続けることは、健康や長寿の面でもプラスであることは確かです。
たとえば長野県のように、高齢者の就業率が高い県は平均寿命も長く、高齢者1人当たりの医療費も低い傾向があります。
ただ、「高齢者は働きつづけたほうがいい」というのは、どんなかたちであれ体を動かし、頭を働かせることを続けたほうがいいという意味であって、必ずしもお金をもらって仕事をすることだけを意味するわけではありません。
ボランティアや趣味的な活動でもかまわないのです。
若いうちは、働く目的をお金や出世におくことが多くなりがちです。
その場合、上司の言いなりにならざるをえなかったり、しなくてもいい妥協を強いられたりと、ストレスフルな労働になりがちです。
自分で自由に頭を使いにくいのです。
歳をとったら、労働に対する意識を多少なりとも変える必要があります。
自分にとってやりがいのあること、世の中のためになること、人の役に立つことのために働けるのが高齢期です。
スーパーマーケットなどに行くと、会社をリタイアしてパートで働いていると思われる、高齢の男性スタッフを見かけることがあります。
こちらが何か困っていたりすると、若いスタッフよりもずっと親切にてきぱきと動いてくれたりするので、とてもうれしくなります。
お金や肩書のための労働から解放される高齢期だからこそ、自由に働ける喜びと、そのことで誰かに喜びをもたらすことのできる幸せを、存分に味わえるのだと思います。
「老いの品格 品よく、賢く、おもしろく より」
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人の体の老化は20代ごろから始まります。
老化は生きている以上避けられないものですが、何をどう食べるかで進行程度が変わってきます。
30代では個人差はさほどありませんが、40歳を過ぎて中年期に入るころからだんだん差が生じ、65歳を過ぎて高年期に入ると、健康状態にはっきりとした差が出ます。
健康寿命をのばす食生活に加えて、年代別の食べ物・食べ方に気をつけると、病気予防がいっそうアップします。
動脈硬化は年齢とともに発症しやすくなり、50代になるとほとんどの人(女性は60代から)に動脈硬化が見られるようになります。
認知症の多くは、脳血管障害の積み重ねで起こり、その原因のほとんどが脳梗塞です。
ですから、脳梗塞の前兆である隠れ脳梗塞を早期発見することで多くの認知症を防ぐことができるのです。
脳梗塞は、高血圧や糖尿病などの病気が原因となったり、生活習慣などによって血液がドロドロになって血液循環が悪くなったりして、血管が厚く狭くなり、脳の血管が徐々に詰まって進行していきます。
一般的に、脳梗塞の初期には、大きさ数ミリ程度の微小な梗塞が数個出現し、段階をへるごとにこの梗塞が脳のあちこちに見られます。
このような症状のないごく小さな梗塞が隠れ脳梗塞(無症候性脳梗塞)です。
「隠れ脳梗塞(無症候性脳梗塞)は、早い人だと30代からあらわれ、40代を過ぎると急に増加するといわれています。
脳梗塞をはじめとする脳血管障害を生活習慣病の一つととらえ、ふだんから健康に保つ生活を心がけましょう。
ビタミンB12やB6、葉酸の吸収が悪くなると、活性酸素やホモシステインという老化物質が増え、動脈硬化を生じることもわかっています。
ビタミンB12について?