第4章 お金や肩書への執着を捨てる
歳をとるとお金は思うほどあてにならない
若いうちは、お金の力を実感できる場面は多々あります。
単純に欲しいものが手に入るだけでなく、「お金がある」ことそのものが魅力となって、人を引き寄せます。
でも、歳をとると、お金があるからといって必ずしも人が寄ってくるわけではありません。
歳をとっても人が寄ってくるのは、話がおもしろいとか、人としてどこか見習う点があるなど、周囲からすてきだと思われているような人です。
どれだけお金があっても、ケチだと思われたら、人は寄ってこなくなります。
出資を頼もうとする人も、相手がケチでお金を出さないとわかれば近寄らなくなりますが、歳をとっても気前よく出資してくれる人のところには集まってきます。
そもそも、お金のにおいをかぎつけて寄ってくる人は、タチがいいとはいえません。
一般的に、判断力が低下していると見なされている高齢者のもとに、お金があるというだけで近寄ってくる人がいるとすれば、それはほぼ例外なく詐欺師です。
その被害にあって、みすみす損をするというケースは少なくありません。
しかしながら、そうした詐欺めあてではなく、たとえば、価値の高い美術品を買いまくって、それを見比べるとか、世界からめずらしい食材や、人が飲んだことのないようなワインを集めて、1回の食事に数百万円かけてグルメを楽しむといったお金の使い方をしているうちに、「この人のウンチクを聞きたい」という純粋な好奇心から人が寄ってくる、ということはもしかしたらあるかもしれません。
でも、たいていの場合は、歳をとるにつれて、お金をもっていればいるほどいいとはいえなくなってくる、むしろ、お金があるほど虚しくなってくる確率の方が高いのではないか、と推察しています。
というのも、お金をもっていれば、周りの人が言うことを聞いてくれるかといえば、そうでもないからです。
歳をとると、自分のお金であっても子供が口出しをして、自由に使わせてもらえなくなることがあります。
かなり資産のある高齢者が、それを使って高級老人ホームに入居しようとしたところ、胃酸が減るからでしょうが、子供たちに反対されて断念したという話も聞きます。
歳をとると、思ったほどお金があてにならないということに気づくと思います。
70代くらいまでは、まだお金の力はそこそこ有効かもしれません。
それでも80代後半を過ぎて、認知症を理由に成年後見人がつくことにもなれば、自分で財産を処理する権利さえ完全に失います。
「老いの品格 品よく、賢く、おもしろく より」
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人の体の老化は20代ごろから始まります。
老化は生きている以上避けられないものですが、何をどう食べるかで進行程度が変わってきます。
30代では個人差はさほどありませんが、40歳を過ぎて中年期に入るころからだんだん差が生じ、65歳を過ぎて高年期に入ると、健康状態にはっきりとした差が出ます。
健康寿命をのばす食生活に加えて、年代別の食べ物・食べ方に気をつけると、病気予防がいっそうアップします。
動脈硬化は年齢とともに発症しやすくなり、50代になるとほとんどの人(女性は60代から)に動脈硬化が見られるようになります。
認知症の多くは、脳血管障害の積み重ねで起こり、その原因のほとんどが脳梗塞です。
ですから、脳梗塞の前兆である隠れ脳梗塞を早期発見することで多くの認知症を防ぐことができるのです。
脳梗塞は、高血圧や糖尿病などの病気が原因となったり、生活習慣などによって血液がドロドロになって血液循環が悪くなったりして、血管が厚く狭くなり、脳の血管が徐々に詰まって進行していきます。
一般的に、脳梗塞の初期には、大きさ数ミリ程度の微小な梗塞が数個出現し、段階をへるごとにこの梗塞が脳のあちこちに見られます。
このような症状のないごく小さな梗塞が隠れ脳梗塞(無症候性脳梗塞)です。
「隠れ脳梗塞(無症候性脳梗塞)は、早い人だと30代からあらわれ、40代を過ぎると急に増加するといわれています。
脳梗塞をはじめとする脳血管障害を生活習慣病の一つととらえ、ふだんから健康に保つ生活を心がけましょう。
ビタミンB12やB6、葉酸の吸収が悪くなると、活性酸素やホモシステインという老化物質が増え、動脈硬化を生じることもわかっています。
ビタミンB12について?