成長に応じて涙の意味が変化する
人間がはじめて泣く場面というと、生後すぐあげる産声を思い浮かべる人が多いでしょう。
でも、産声は確かに鳴いているように聞こえますが、実はあのとき、涙は出ていないのです。
したがって、前頭前野が関連する情動の涙ではありません。
生後1年ほどすると、今度は本当に涙を流すようになります。
これは、ストレスを伝えるための涙です。
おなかがすいては泣き、おむつが濡れたといえば泣く。
ことばが話せないものですから、そうやってストレスを表現するわけです。
つまりは涙が非言語によるコミュニケーションの手段になっているのです。
もう少し大きくなると、転んでは泣き、何かが欲しいといっては泣くようになります。
こうした子どもの涙に対して、「転んで痛いから、反射的に涙が出てくるのだろう」と思うかもしれませんが、そうではありません。
その証拠に、子どもは誰もいないところでは転んでもすぐには泣きませんし、母親や父親の姿を見つけたとたんに泣き出すということをするのです。
ここまでくると、広い意味で情動の涙といえるかもしれません。
しかし、そうした幼い子どものストレスの涙も、成長するにつれて少なくなっていきます。
というのも、ことばが使えるようになると、ストレスの内容をことばで表現するように学習させられるからです。
たとえば、「泣いてばかりいないで、わけを話しなさい」「ことばでいいなさい」というように、周囲が言語的コミュニケーションを求めるようになり、非言語的なコミュニケーションとしての涙の機能はなくなっていきます。
そして、ことばで自分の気持ちや状態を周囲の人々に伝えられるよう、社会生活のなかで学習していくのです。
次の段階の涙は、小学生から中学生、高校生あたりまでが流す涙です。
その1つは、勝負に負けた悔しさや、プライドが傷つけられたときに流す「悔し涙」。
もう1つは、好きな人との別離の場面で流す「悲しみの涙」です。
こうした涙が出るのは、子どもの心の中に自我が芽生えてきたことと深い関係があります。
社会生活をしていると、どうしても自我が通らない場面に遭遇します。
そんなときに流すのが悔し涙であり、悲しみの涙というわけです。
「脳科学者が教える「ストレスフリー」な脳の習慣 より」
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寒暖の差、生活の変化が激しい毎日は、私たちの身体にも大きなストレスを与えます。
そんな日々が続くと、自律神経は、その変化に対応しきれなくなって、やがて疲れやめまい、不眠、頭痛といった症状が現れてきます。
とくに人間関係の変化は想像以上に心身への影響が大きい。
気分が落ち込んだり一時的にうつ状態になってしまうこともあります。
とはいえ、そのうちに治ってしまうことが多いので、うつ状態でも必ずしも病気とは言えません。
しかし、落ち込みの程度が重い時や、落ち込みが長引いてしまうと、人の意欲は奪われて行動にも影響を及ぼします。
自律神経を整えるためには生活リズムを作るとともに栄養面も非常に大切です。
私たちの脳の中で司令塔のような役割をしているセロトニン神経という神経細胞が弱ってきており、軽い不調からうつ病、パニック症候群、さまざまな依存症などを引き起こす原因になっています。
この現象は大人から子どもまで老若男女に広がっています。
セロトニン神経は、日を浴びることや意識した呼吸、簡単な運動をすることなど日常生活に少し工夫を加えることによって鍛えることができます。
脳には無数の神経細胞があり、その神経細胞の末端からセロトニンやアセチルコリン、ドーパミンなどの神経伝達物質を放出しています。
イライラしやすいときは、脳の神経伝達物質であるセロトニン、アセチルコリン、ドーパミンなどが不足していることが考えられます。
そのため、これらの材料となるアミノ酸と、アミノ酸を取り込むために必要な糖分やビタミンB12の不足を疑ってみましょう。
また、脳の唯一のエネルギー源であるブドウ糖が足りなかったり、神経伝達物質を放出するときに働くカルシウムが不足したりしているのも原因のひとつと考えられます。
ビタミンB12について?