泣くことは究極のストレス解消法だった!
涙を流すことの効果は、前頭前野を活性化するだけではありません。
涙をポロポロと流したあとで、やけにすっきりした気分になった経験はありませんか。
このように、涙にはストレスの緩和という効果もあるのです。
これは、涙を流すという行為が自律神経の働きに深く関係しているからです。
自律神経系には交感神経と副交感神経という2種類の神経があり、この両者がバランスをとって生命活動を維持しています。
私たちが目覚めている時間帯は交感神経が優位となり、脈拍、血圧を高め、呼吸を速めることによって体を緊張状態に保ちます。
夜になると徐々に副交感神経が働くようになり、脈拍、血圧は低く、呼吸はゆったりするようになり、睡眠中は副交感神経が完全に優位になります。
ところが不思議なことに、情動の涙を流したとたんに、私たちの自律神経系は、いきなり交感神経から副交感神経にスイッチが切り替わってしまうのです。
本来なら、夜寝る前に起きる現象が、昼間の覚醒時に起きるわけです。
要するに、体は起きている状態なのに、脳はまるで寝ているかのようなリラックスした状態になってしまうわけです。
しかも副交感神経は、夜のリラックスした気分のときに、20分から30分かけて、ゆっくり優位になっていくものなのですが、それが一瞬のうちに働いてしまうのです。
いったい、これはどういうことを意味しているのでしょうか。
それは、泣くことによって、ストレスでゴチャゴチャになっていた脳をリセットしているのだと考えるとわかりやすいかもしれません。
私たちは、つらいこと、イヤなことがあっても、一晩ぐっすり眠ると解消することができます。
涙を流すことは、それと同じ効果を、副交感神経にスイッチを入れることで一瞬のうちに劇的にもたらしてくれるわけです。
しかも、涙が出る直前の状態というのは、交感神経が非常に高まって興奮状態にあるのが一般的です。
それが泣き出したとたんに一気に副交感神経に切り替わるのですから、その落差はすさまじいものがあり、効果も絶大です。
そして、脳がいったんその状態に突入すると、しばらくの間、もとに戻ることはできません。
泣いている人が懸命にしゃべろうとしているのに、ことばが詰まって何もいえないという場面をよく目にしますが、それは脳科学的に考えると当然のことなのです。
大切なのは、なるべく涙を出して本気で泣くことです。
号泣できれば理想的です。
反対によくないのは、泣くのを我慢したり、涙が出そうな寸前で終わらせること。
交感神経が高まって興奮状態になったところでストップしてしまうので、これは脳には逆効果になってしまいます。
「脳科学者が教える「ストレスフリー」な脳の習慣 より」
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寒暖の差、生活の変化が激しい毎日は、私たちの身体にも大きなストレスを与えます。
そんな日々が続くと、自律神経は、その変化に対応しきれなくなって、やがて疲れやめまい、不眠、頭痛といった症状が現れてきます。
とくに人間関係の変化は想像以上に心身への影響が大きい。
気分が落ち込んだり一時的にうつ状態になってしまうこともあります。
とはいえ、そのうちに治ってしまうことが多いので、うつ状態でも必ずしも病気とは言えません。
しかし、落ち込みの程度が重い時や、落ち込みが長引いてしまうと、人の意欲は奪われて行動にも影響を及ぼします。
自律神経を整えるためには生活リズムを作るとともに栄養面も非常に大切です。
私たちの脳の中で司令塔のような役割をしているセロトニン神経という神経細胞が弱ってきており、軽い不調からうつ病、パニック症候群、さまざまな依存症などを引き起こす原因になっています。
この現象は大人から子どもまで老若男女に広がっています。
セロトニン神経は、日を浴びることや意識した呼吸、簡単な運動をすることなど日常生活に少し工夫を加えることによって鍛えることができます。
脳には無数の神経細胞があり、その神経細胞の末端からセロトニンやアセチルコリン、ドーパミンなどの神経伝達物質を放出しています。
イライラしやすいときは、脳の神経伝達物質であるセロトニン、アセチルコリン、ドーパミンなどが不足していることが考えられます。
そのため、これらの材料となるアミノ酸と、アミノ酸を取り込むために必要な糖分やビタミンB12の不足を疑ってみましょう。
また、脳の唯一のエネルギー源であるブドウ糖が足りなかったり、神経伝達物質を放出するときに働くカルシウムが不足したりしているのも原因のひとつと考えられます。
ビタミンB12について?