ドーパミン神経は、私たちの夢の実現にとってすばらしい働きをしてくれます。
しかし、そこには1つ大きな問題があります。
それがどういう問題かを説明するには、ドーパミン神経が発見されたいきさつを紹介するのが早いでしょう。
ドーパミン神経の存在がはじめて知られるようになったのは、ラットによる自己刺激という実験でした。
これはどのような実験かというと、ラットの脳の特定の場所に電極を入れておいて電流を流すというものです。
普通なら、実験者である人間が電流をピッと流して結果を調べるものですが、自己刺激というくらいですから、ラットが自分自身で電流を流すようにするわけです。
電流のスイッチはラットの生活しているケージのなかに置かれます。
そこにたまたまラットが足を運んでスイッチに触れると、ピッと電流が流れようにしておくのです。
もし、このときに不快を感じたら二度とスイッチに触れないでしょうし、可もなく不可もないといった感触なら、その後は触れたり触れなかったりという結果になるはずです。
そのとき電極を入れた場所というのが、まさにドーパミン神経のある位置でした。
では、ドーパミン神経に電極を入れたラットが、たまたまスイッチに触れて電流が流れたあとで、どういう行動をとったと思いますか。
なんと、そのスイッチを叩き続けたのです。
つまり、「もっと、もっと」と快を求め続けて、歯止めが利かなくなってしまったわけです。
人間にたとえれば、これは依存の状態です。
この依存こそが、ドーパミン神経の持つ重大な問題なのです。
確かにドーパミン神経には、人間が努力する動機をつくるという立派な働きがあります。
しかし、一歩間違えると、依存症に陥る原因にもなりうるのです。
お酒を飲んだときに得られる快感が忘れられずに、お酒を飲まないと生きていられないと感じるようになるのがアルコール依存症。
パチンコで大当たりした快感が忘れられず、その夢を追いかけて朝からパチンコ屋に入り浸るというのがパチンコ依存症です。
そのほかに薬物依存症、買い物依存症といった症状もまた、ドーパミン神経の暴走によるものです。
逆にいえば、依存症というのはドーパミンが暴走することによってつくられる一種の病気といってよいかもしれません。
ドーパミン神経とはそういう性質を持った神経であり、そうした神経を人間の脳が備えているということを、私たちは認識しなければなりません。
「脳科学者が教える「ストレスフリー」な脳の習慣 より」
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心の病との関連で関心を集めているストレスホルモンが「コルチゾール」です。
コルチゾールは、副腎から分泌されると、血液にのって体内を循環しながら、エネルギー源の補充などの重要な役割を果たします。
役割を終えると脳にたどり着いて、脳に吸収されます。
これが、正常なストレス反応の流れです。
ところが、主に「我慢するストレス」状態が長い期間にわたって続き、ストレスが積み重なっていくと、コルチゾールがとめどなく分泌され続けるようになってしまいます。
こうなると、状況が一変します。
コルチゾールが脳にあふれて、その一部をむしばんでいくのです。
まさに、ストレス反応が暴走して、ありふれたストレスが「キラーストレス」と化してしまうのです。
副腎が疲れている人に圧倒的な足りない栄養素は、ビタミンB群になります。
ビタミンB群は、抗ストレスホルモンを合成するときに必要な栄養素です。
そのため、ストレスが多く抗ストレスホルモンを大量に必要とする人などは、体内のビタミンB群が不足しがちになります。
その結果、抗ストレスホルモンが十分につくれなくなり、副腎がますます疲れてしまうのです。
ビタミンB12について?