ドーパミンは夢を叶える意欲の神経
ドーパミンは夢を叶える意欲の神経
「ストレスフリーな脳」になるために、セロトニン神経の働きが重要であると述べてきました。
でも私たちは、ストレスに振り回されずに暮らしていければいいかというと、そうではありません。
やはり、少しはお金を稼ぎたい、たまには海外旅行をしたいといった俗っぽい夢を持ちつつ、それが実現したときに幸せを感じるからこそ、毎日を平穏に生きていくことができるのです。
そう考えると、夢や目標に向かって努力するという「目標力」もまた、ストレスに負けない安定した心を持つための重要な要素であるといっていいでしょう。
私たちの脳のなかで、そうした「目標力」をつかさどっているのは、ドーパミン神経です。
ダルマの置物には、最初は片目を入れて願をかけ、願いが叶うともう一方に目を入れます。
その、あとから入れる目に象徴されるように、自分の夢を完全なかたちにするときに働く神経がドーパミン神経なのです。
セロトニン神経やオキシトシン神経とドーパミン神経は、心地よさや愛情、目標という別々の要素に関連している神経ですが、どちらも「ストレスフリーな脳」をつくるために重要な神経であると考えています。
たとえば、学生生活をしている人は期末試験でいい点数をとったり、志望校の入学試験に合格するために、睡眠時間を削ってまで勉強しています。
そうした行為を脳内で積極的にバックアップしているのはドーパミン神経です。
人によって目標は大学合格という人もいるでしょうし、お金持ちになること、あるいは出世こそ一番という人もいることでしょう。
悟りが足りない私たちは、そうした夢がなければ努力などはできませんし、夢なしに強く生きていくことは不可能なのです。
脳は報酬があるから努力もできる
ドーパミン神経は私たちの源です。
そして、その源を引き起こす力とは何かというと、報酬なのです。
セロトニンを分泌させるためには、太陽の光を浴びたりリズム運動をしたりといった、セロトニン神経を鍛えるための方法がありました。
しかし、そうした方法によってドーパミンを簡単に分泌させることはできません。
ドーパミン神経を活性化させる方法はただ1つ、報酬を前提として努力するということなのです。
そうした前提のもとで私たちか努力して、その努力が報われたとき、脳内ドーパミン神経からドーパミンという神経伝達物質が分泌されます。
すると、私たちの心に喜びや快感がもたらされるわけです。
こうした働きを持つドーパミン神経は「快」の神経と呼んでもいいでしょう。
こんなにすばらしい働きをする神経が脳のなかに存在するということを、まず私たちは理解すべきです。
脳科学的にもう少し詳しく説明すると、ドーパミン神経があるのは脳幹の中脳という場所です。
そして、中脳から前頭前野に向けてドーパミンを分泌していくと、私たちに意欲が湧き出て、努力しようという気持ちになるのです。
もう1つ、ドーパミンが分泌される場所があります。
それは、前頭前野の奥にある大脳辺縁系の側坐核という場所です。
側坐核は私たちの心の領域があるといわれている場所であり、そこにドーパミンが分泌されると、喜びや快感の感情が湧いてくるのです。
つまり、中脳にあるドーパミン神経、前頭前野、大脳辺縁系の側坐核という三角形がリンクしたときに、私たちの努力が完結するといってもいいかもしれません。
努力が成就して私たちが「快」を感じるのは、まさにそのときなのです。
「脳科学者が教える「ストレスフリー」な脳の習慣 より」
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心の病との関連で関心を集めているストレスホルモンが「コルチゾール」です。
コルチゾールは、副腎から分泌されると、血液にのって体内を循環しながら、エネルギー源の補充などの重要な役割を果たします。
役割を終えると脳にたどり着いて、脳に吸収されます。
これが、正常なストレス反応の流れです。
ところが、主に「我慢するストレス」状態が長い期間にわたって続き、ストレスが積み重なっていくと、コルチゾールがとめどなく分泌され続けるようになってしまいます。
こうなると、状況が一変します。
コルチゾールが脳にあふれて、その一部をむしばんでいくのです。
まさに、ストレス反応が暴走して、ありふれたストレスが「キラーストレス」と化してしまうのです。
副腎が疲れている人に圧倒的な足りない栄養素は、ビタミンB群になります。
ビタミンB群は、抗ストレスホルモンを合成するときに必要な栄養素です。
そのため、ストレスが多く抗ストレスホルモンを大量に必要とする人などは、体内のビタミンB群が不足しがちになります。
その結果、抗ストレスホルモンが十分につくれなくなり、副腎がますます疲れてしまうのです。
また、ビタミンB群は、体を動かすエネルギーをつくりだすためにも必要な栄養素。
私たちの体を構成している細胞には、ミトコンドリアというエネルギー生成工場があり、摂取した食べ物を燃焼させて、「ATP(アデノシン三リン酸)」というエネルギー物質をつくっています。
このATPをつくり出す過程で必要なのがビタミンB群です。
ビタミンB群が不足すると、ミトコンドリアでATPが十分につくれなくなる。
ATPが足りなくなると、体がだるくて疲れが取れなくなったり、頭の回転が悪くなってきたりします。
からだが疲れやすいのは、エネルギー不足のこともあり、からだにたまった老廃物がうまく代謝されないためでもあります。
ほとんどのビタミンB群は、エネルギーの供給や老廃物の代謝にはたらいています。
いわば元気の素です。
B群は協力しあっていますから、どれが欠けても疲れやすくなります。
したがっていっしょにとるのが効果的です。
ビタミンB12について?