セロトニン神経こそ、唯一の歯止め
セロトニン神経こそ、唯一の歯止め
ドーパミン神経の暴走による依存症を解消するには、どうしたらよいでしょうか。
残念ながら、私たちがドーパミン神経に直接働きかけて分泌量をコントロールするということはできません。
そもそも、それができるくらいなら、依存症はすぐに治るはずです。
では、方法がないのかといえば、1つだけあります。
ドーパミン神経の暴走による依存症は、セロトニンによって止めることができるのです。
セロトニン神経が活性化されてダルマの重しがしっかりつくられれば、「もっと、もっと」と舞い上がった心を、もう一度もとの状況に引き戻すことが可能になります。
つまり、セロトニン神経は、ドーパミン神経をコントロールする働きを持っているのです。
逆にいえば、セロトニン神経が弱まってコントロールが利かなくなった状態が、依存症だというわけです。
したがって、ストレスに負けない安定した心身の状態、ひいては「ストレスフリーな脳」を持つためには、セロトニン神経だけが必要だとか、ドーパミン神経が強ければいいというのではありません。
ノルアドレナリン神経を含めて、さまざまな要素が複合的にかかわり合って「ストレスフリーな脳」ができ上がると考えてください。
そういう目で今の社会を見ていくと、ダルマの重しとなるセロトニンが減りやすい環境になっています。
多くの人が依存症かその予備軍となり、あちこちでドーパミン神経の暴走が起きているというのが現代社会の姿です。
少なくとも都会では、昼夜逆転を容認する社会ができ上がってしまい、スマホやパソコンをひとときも手放すことができない生活になってしまいました。
また、家族の規模はどんどん小さくなり、もはや核家族などということばも使われないほど、当たり前の存在になっています。
また、母親は子どもが小さいころから仕事に出るため、家族内のスキンシップの機会も極端に減り、地域のなかでも人と人とが触れ合わずにすむ状況がつくられてしまいました。
こうした環境では、オキシトシン神経の働きが弱まるのは当然のこと。
オキシトシン神経とセロトニン神経は受容体でつながっていますから、セロトニン神経も弱り、ドーパミン神経の暴走が起こってしまうわけです。
とはいえ、昔の社会にそっくりそのまま戻せというのは無理な注文です。
しかし、現代社会の便利な点を残したままで、セロトニン神経を活性化することは不可能ではないと思います。
それができれば、私たちの社会はもっと暮らしやすく魅力あるものになるに違いありません。
「脳科学者が教える「ストレスフリー」な脳の習慣 より」
*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+
心の病との関連で関心を集めているストレスホルモンが「コルチゾール」です。
コルチゾールは、副腎から分泌されると、血液にのって体内を循環しながら、エネルギー源の補充などの重要な役割を果たします。
役割を終えると脳にたどり着いて、脳に吸収されます。
これが、正常なストレス反応の流れです。
ところが、主に「我慢するストレス」状態が長い期間にわたって続き、ストレスが積み重なっていくと、コルチゾールがとめどなく分泌され続けるようになってしまいます。
こうなると、状況が一変します。
コルチゾールが脳にあふれて、その一部をむしばんでいくのです。
まさに、ストレス反応が暴走して、ありふれたストレスが「キラーストレス」と化してしまうのです。
副腎が疲れている人に圧倒的な足りない栄養素は、ビタミンB群になります。
ビタミンB群は、抗ストレスホルモンを合成するときに必要な栄養素です。
そのため、ストレスが多く抗ストレスホルモンを大量に必要とする人などは、体内のビタミンB群が不足しがちになります。
その結果、抗ストレスホルモンが十分につくれなくなり、副腎がますます疲れてしまうのです。
ビタミンB12について?