第6章 食後に軽く身体を動かす
昔から「食べてすぐ寝ると牛になる」といわれます。
草食の牛は胃を4つ持ち、一度胃に入れた草を口に戻す「反芻動物」です。
食べた草を反芻しながら完全に消化するため、食べると横になる習性があります。
しかし、人間が食べてすぐ横になるのは、あまりお行儀が良いとはいえません。
だから、「すぐ寝る=牛になる」と戒めたのでしょう。
食べてすぐ寝るのは、血糖値が上がりすぎることからも、おすすめできません。
糖質を豊富に含む食事をして血糖値が上昇すると、インスリンが分泌され、体内の細胞に血糖をとり込ませて血糖値を下げようとします。
その際、血糖の最大の引き受け手になるのは「筋肉」です。
血糖は、筋肉の運動エネルギー源として重要だからです。
それなのに、食べて血中に血糖が増えてきたタイミングで横になってしまうと、筋肉が働かないので血糖のとり込みが滞り、血糖値が上がりやすくなります。
血糖値コントロールのために有効なのは、軽くでもいいので身体を動かすことです。
身体を動かしてやると、筋肉が血糖を消費してくれるので、その分だけ血糖値の上昇が抑えられるのです。
安静時に、筋肉に血糖をとり込むには、インスリンの手助けが欠かせません。
血糖を筋肉の細胞にとり込むためには、「CLUT(クルット)」(グルコース・トランスポーター=糖輸送担体)という“体内の輸送体”が必要なのですが、通常は筋肉の細胞の奥に隠れています。
そこにインスリンが作用することによって、CLUTが筋肉の細胞の表面にスムーズに移動して、血糖をとり込んでくれるのです。
しかし、運動時に筋肉が伸縮すると、その刺激で輸送体は細胞の表面に移動して、血糖のとり込みを始めます。
ですから、たとえインスリンの作用が弱いとしても、軽くでいいので身体を動かすことが効果的。
筋肉が血糖をエネルギー源として消費するので、血糖値が下がりやすくなるのです。
食後すぐにハードな運動はできませんが、軽く歩いたり階段を上がったりするくらいならできます。
そのくらいの運動でも、血糖値が上がりにくくなり、血糖コントロールには有効です。
軽い運動でも血流が活発になると、血管に作用して血圧を下げる効果も期待できます。
※有酸素運動には、血圧を下げる働きもあります。
ウォーキングやジョギングで血液循環がよくなると、血管の内側で、血液が流れる方向に沿って「ずり応力」という力が作用します。
その刺激で、血管の内側の細胞(血管内皮細胞)から、一酸化窒素(NO)が分泌されます。
一酸化窒素には血管を広げる働きがあるので、血圧が下がりやすくなるのです。
外食をするなら、近所のお店ではなく、少し遠いところにあるお店まで足を運んで、帰りに散歩しながら血糖を消費するのもいいでしょう。
自宅で食事したら、コーヒーでも買うついでに散歩に出かけてみてはいかがでしょうか?
コーヒーなら、食後に飲んでも血糖値は上がりません。
砂糖を入れると血糖値が上がるので、ブラックでコーヒー豆本来の風味を味わうようにしましょう。
※ポイント 食後は軽く歩くことを習慣にしましょう
「一生ボケない習慣 より」
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人の体の老化は20代ごろから始まります。
老化は生きている以上避けられないものですが、何をどう食べるかで進行程度が変わってきます。
30代では個人差はさほどありませんが、40歳を過ぎて中年期に入るころからだんだん差が生じ、65歳を過ぎて高年期に入ると、健康状態にはっきりとした差が出ます。
健康寿命をのばす食生活に加えて、年代別の食べ物・食べ方に気をつけると、病気予防がいっそうアップします。
動脈硬化は年齢とともに発症しやすくなり、50代になるとほとんどの人(女性は60代から)に動脈硬化が見られるようになります。
認知症の多くは、脳血管障害の積み重ねで起こり、その原因のほとんどが脳梗塞です。
ですから、脳梗塞の前兆である隠れ脳梗塞を早期発見することで多くの認知症を防ぐことができるのです。
脳梗塞は、高血圧や糖尿病などの病気が原因となったり、生活習慣などによって血液がドロドロになって血液循環が悪くなったりして、血管が厚く狭くなり、脳の血管が徐々に詰まって進行していきます。
一般的に、脳梗塞の初期には、大きさ数ミリ程度の微小な梗塞が数個出現し、段階をへるごとにこの梗塞が脳のあちこちに見られます。
このような症状のないごく小さな梗塞が隠れ脳梗塞(無症候性脳梗塞)です。
「隠れ脳梗塞(無症候性脳梗塞)は、早い人だと30代からあらわれ、40代を過ぎると急に増加するといわれています。
脳梗塞をはじめとする脳血管障害を生活習慣病の一つととらえ、ふだんから健康に保つ生活を心がけましょう。
ビタミンB12やB6、葉酸の吸収が悪くなると、活性酸素やホモシステインという老化物質が増え、動脈硬化を生じることもわかっています。
ビタミンB12について?