第6章 脳を守るために血糖値を下げる方法
糖尿病が認知症を起こすしくみ
血糖値を正常範囲に収める血糖コントロールができないと、「脳血管性認知症」にかかりやすくなります。
また、糖尿病だと、その重症度に関わらず、「アルツハイマー型認知症」にかかりやすいことにも触れました。
この点に関しては、動脈硬化とは違うしくみで、認知症を引き起こしている可能性が指摘されています。
糖尿病とアルツハイマー型認知症の関係は、まだ完全に解明されたわけではなく、いろいろな仮説が提唱されています。
なかでも有力なのは、次のような仮説です(血糖値を調節するホルモン「インスリン」を分解する酵素と、「アミロイドβ」[異常たんぱく質]を分解する酵素が同じであるという点に着目して提唱されています)。
インスリンは、胃の後ろ側にあるすい臓から分泌され、血流にのって脳にも到達します。
脳の血管には、有害な物質が入り込まないように「血液脳関門」という関所のようなところがありますが、インスリンは、この関門を通り抜けるのです。
インスリンに限らず、分泌されたホルモンは、役目を終えると分解する必要があります。
この酵素は、同時に脳で生じるアミロイドβを分解する役割を担っています。
認知症はアミロイドβが脳に蓄積して発症すると考えられていますから、この酵素の役割はとても重要です。
糖尿病の過程では、すい臓からのインスリンの分泌量が増えます。
食後に血糖値が急激に上がる「食後高血糖」や、インスリンの効き目が落ちる「インスリン抵抗性」が起こったりすると、インスリンの分泌量を増やして対抗しようとするためです。
インスリンの分泌量が増えると、脳内に流入するインスリンの量も増えます。
すると、インスリンを分解するための酵素が、フル回転することを強いられます。
その結果、アミロイドβの分解がおろそかになり、その蓄積がアルツハイマー型認知症を発症する1つの誘因になると考えられるのです。
※ポイント インスリンの分泌量を抑えるため、糖質の過度な摂取は控えましょう
「一生ボケない習慣 より」
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人の体の老化は20代ごろから始まります。
老化は生きている以上避けられないものですが、何をどう食べるかで進行程度が変わってきます。
30代では個人差はさほどありませんが、40歳を過ぎて中年期に入るころからだんだん差が生じ、65歳を過ぎて高年期に入ると、健康状態にはっきりとした差が出ます。
健康寿命をのばす食生活に加えて、年代別の食べ物・食べ方に気をつけると、病気予防がいっそうアップします。
動脈硬化は年齢とともに発症しやすくなり、50代になるとほとんどの人(女性は60代から)に動脈硬化が見られるようになります。
認知症の多くは、脳血管障害の積み重ねで起こり、その原因のほとんどが脳梗塞です。
ですから、脳梗塞の前兆である隠れ脳梗塞を早期発見することで多くの認知症を防ぐことができるのです。
脳梗塞は、高血圧や糖尿病などの病気が原因となったり、生活習慣などによって血液がドロドロになって血液循環が悪くなったりして、血管が厚く狭くなり、脳の血管が徐々に詰まって進行していきます。
一般的に、脳梗塞の初期には、大きさ数ミリ程度の微小な梗塞が数個出現し、段階をへるごとにこの梗塞が脳のあちこちに見られます。
このような症状のないごく小さな梗塞が隠れ脳梗塞(無症候性脳梗塞)です。
「隠れ脳梗塞(無症候性脳梗塞)は、早い人だと30代からあらわれ、40代を過ぎると急に増加するといわれています。
脳梗塞をはじめとする脳血管障害を生活習慣病の一つととらえ、ふだんから健康に保つ生活を心がけましょう。
ビタミンB12やB6、葉酸の吸収が悪くなると、活性酸素やホモシステインという老化物質が増え、動脈硬化を生じることもわかっています。
ビタミンB12について?