第6章 食べる順番を工夫する
数年前、「食べ順ダイエット」という方法がメディアで話題になりました。
これは食事量を大きく減らさず、食べる順番を変えることによって減量する方法です。
その手軽さから、ちょっとしたブームになったのです。
具体的には、「汁物⇒副菜(野菜やキノコ類など)⇒主菜(肉類や魚類など)⇒主食(ごはんやパンなど)」という順番で食べます。
この食べ順ダイエットのポイントは、3つあります。
1つ目は、糖質の摂取をいちばん最後にすること。
糖質を摂取すると血糖値が上がり、上がった血糖値を下げるために、すい臓からインスリンが追加分泌されます。
このインスリンは、余った血糖を体脂肪として蓄えると同時に、体脂肪の分解を止めてしまいます。
そのため、インスリンは「肥満ホルモン」とも呼ばれているのです。
糖質の摂取を最後にすると、血糖値が上がりにくくなります。
肥満ホルモンとしてのインスリンの作用も最小限に抑えられることから、太りにくくなるのです。
それと同時に、食後高血糖とそれに続く血糖値スパイクも避けられます。
あらためて考えると、日本の会席料理では、最後にごはんが出てきます。
これも糖質を最後にすることの重要性を知っていたからなのかもしれません。
2つ目に、汁物や副菜から先にとること。
これを心がけていると、野菜やキノコ類などに含まれる食物繊維が、先に胃腸に入ります。
食物繊維は消化されないのでお腹が膨らみますし、血糖値の上昇を緩やかにする効果も期待できます。
汁物の具になることの多いキノコ類・海藻類なども、野菜と同じく食物繊維が豊富に含まれています。
3つ目に、糖質を含む主食よりも先に、主菜(肉類や魚類)を食べること。
肉類や魚類には、たんぱく質と脂質が豊富に含まれています。
たんぱく質と脂質を摂取すると、消化管からホルモンが分泌されます。
そのホルモンは、脳に作用して満腹感を高める働きがあり、食べ過ぎにブレーキをかけられますし、インスリンの分泌を促す作用もあるため、血糖値の上昇が抑えられるのです。
ここで満腹感を高めていれば、その後の主食(ごはんやパン、麺類)からの糖質の摂取は少なめで満足できるでしょう。
それはダイエットにも、血糖コントロールにも、大いにプラスです。
カロリー制限でも糖質制限でも、食べ順ダイエットを実践することによって、血糖値の上昇が緩やかになり、血糖コントロールに役立ちます。
ただし、早食いだと血糖値の上がり方を抑えることが難しくなりますから、噛み応えのある食べ物をゆっくりとよく噛んで食べることが大切です。
そしゃくの回数を増やすと脳の血流アップにもつながり、認知症リスクを下げます。
こうした工夫により、食べ始めてから20分以上経過してから糖質を食べるのがベストです。
※ポイント 実践しやすい食べ順ダイエットで、血糖コントロールをしてみましょう
「一生ボケない習慣 より」
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人の体の老化は20代ごろから始まります。
老化は生きている以上避けられないものですが、何をどう食べるかで進行程度が変わってきます。
30代では個人差はさほどありませんが、40歳を過ぎて中年期に入るころからだんだん差が生じ、65歳を過ぎて高年期に入ると、健康状態にはっきりとした差が出ます。
健康寿命をのばす食生活に加えて、年代別の食べ物・食べ方に気をつけると、病気予防がいっそうアップします。
動脈硬化は年齢とともに発症しやすくなり、50代になるとほとんどの人(女性は60代から)に動脈硬化が見られるようになります。
認知症の多くは、脳血管障害の積み重ねで起こり、その原因のほとんどが脳梗塞です。
ですから、脳梗塞の前兆である隠れ脳梗塞を早期発見することで多くの認知症を防ぐことができるのです。
脳梗塞は、高血圧や糖尿病などの病気が原因となったり、生活習慣などによって血液がドロドロになって血液循環が悪くなったりして、血管が厚く狭くなり、脳の血管が徐々に詰まって進行していきます。
一般的に、脳梗塞の初期には、大きさ数ミリ程度の微小な梗塞が数個出現し、段階をへるごとにこの梗塞が脳のあちこちに見られます。
このような症状のないごく小さな梗塞が隠れ脳梗塞(無症候性脳梗塞)です。
「隠れ脳梗塞(無症候性脳梗塞)は、早い人だと30代からあらわれ、40代を過ぎると急に増加するといわれています。
脳梗塞をはじめとする脳血管障害を生活習慣病の一つととらえ、ふだんから健康に保つ生活を心がけましょう。
ビタミンB12やB6、葉酸の吸収が悪くなると、活性酸素やホモシステインという老化物質が増え、動脈硬化を生じることもわかっています。
ビタミンB12について?