いつまでもハツラツ脳の人……生きているかぎり「健康脳寿命」を維持しよう
「○○さん、この前久しぶりに会ったら、すっかり老けたというか、すっかり様子が変わっちゃって……」
こんな話を耳にしたことはありませんか。
いろいろな人が口にする「○○さん」は、実際にはAさんであったり、Bさんであったりするわけです。
けれども、いずれの人も、言動や表情にかつての面影はなくなってしまった人で、たいていの場合、70代から80代の人のはずです。
そして、決まって○○さんは、現役時代、会社や組織の中でバリバリに仕事をこなしていた人であったりします。
最近「フレイル」という言葉が頻繁に使われます。
○○さんは、まさにこの「フレイル」という状態にあると考えられます。
「フレイル」とは、「虚弱」という意味ですが、70代、80代になって、身体や脳の機能が劣化し、活力がかなり低下して状態をいいます。
・歩くのが遅くなった
・口数が少なくなった
・外出が減り、人と会わなくなった
・話の理解が遅くなった
・飲食時にむせる
・……………(そのほか、いろいろな症状)
専門家を受診しても、認知症と診断されるわけではないのですが、こうしたさまざまな症状が生まれるのです。
放っておけば、健常と要介護の中間ともいえる軽度認知障害、さらに進行すれば認知症になってしまう可能性があります。
まさに「健康寿命」の危機といえます。
ご存じの通り、健康寿命とは、医療上の制約がなく自立して生活できる期間のことですが、これでは、超長寿時代といわれる今日、残された20年、30年を豊かに、快適に過ごすことはできません。
WHO(世界保健機構)の調査(2016年版)によれば、日本人の平均寿命は84.2歳です。
一方、平均健康寿命は74.8歳となっており、ともに世界トップクラスの水準ですが、それでも、日本の高齢者は約10年間を自立生活が困難な状態で過ごすことになるわけです。
これはあくまで平均値ですから、誰もがそうなるわけではありませんが……。
もうひとつ強調したいのが「健康脳寿命」の重要性です。
長寿は大いに結構なことですが、もし健康な脳を維持できなくなってしまうと、誤解を恐れずにいえば「ただ生きているだけ」になってしまいかねません。
せっかくの超長寿時代なのにもったいないことです。
ぜひとも、生きる時間の長さとともに、生きる時間の質を劣化させずに生きていこうではありませんか。
ここでは、健康脳寿命を死ぬまで維持していくためにどうするべきかをメインテーマにしています。
そのために、元気な脳を「ハツラツ脳」、元気を失いつつある脳を「ヨボヨボ脳」と呼び(医学用語ではありません)、ハツラツ脳を維持するための考え方、ノウハウを、さまざまな具体的な例をあげながら、紹介しています。
もちろん、医学的見地からも、健康寿命、健康脳寿命の維持について述べています。
現在70代、80代の方々、やがてその年代を迎える世代の方々にとって、長くて、質の高い高齢期を過ごすための一助となれば、望外の喜びです。
「いつまでもハツラツ脳の人 より」
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人の体の老化は20代ごろから始まります。
老化は生きている以上避けられないものですが、何をどう食べるかで進行程度が変わってきます。
30代では個人差はさほどありませんが、40歳を過ぎて中年期に入るころからだんだん差が生じ、65歳を過ぎて高年期に入ると、健康状態にはっきりとした差が出ます。
健康寿命をのばす食生活に加えて、年代別の食べ物・食べ方に気をつけると、病気予防がいっそうアップします。
動脈硬化は年齢とともに発症しやすくなり、50代になるとほとんどの人(女性は60代から)に動脈硬化が見られるようになります。
認知症の多くは、脳血管障害の積み重ねで起こり、その原因のほとんどが脳梗塞です。
ですから、脳梗塞の前兆である隠れ脳梗塞を早期発見することで多くの認知症を防ぐことができるのです。
脳梗塞は、高血圧や糖尿病などの病気が原因となったり、生活習慣などによって血液がドロドロになって血液循環が悪くなったりして、血管が厚く狭くなり、脳の血管が徐々に詰まって進行していきます。
一般的に、脳梗塞の初期には、大きさ数ミリ程度の微小な梗塞が数個出現し、段階をへるごとにこの梗塞が脳のあちこちに見られます。
このような症状のないごく小さな梗塞が隠れ脳梗塞(無症候性脳梗塞)です。
「隠れ脳梗塞(無症候性脳梗塞)は、早い人だと30代からあらわれ、40代を過ぎると急に増加するといわれています。
脳梗塞をはじめとする脳血管障害を生活習慣病の一つととらえ、ふだんから健康に保つ生活を心がけましょう。
ビタミンB12やB6、葉酸の吸収が悪くなると、活性酸素やホモシステインという老化物質が増え、動脈硬化を生じることもわかっています。
ビタミンB群は、体に入った栄養成分をエネルギーに変えるときに不可欠なビタミンの仲間です。
また、脳の神経伝達物質の合成すべての段階に関わっています。
神経の働きを整えたり、傷んだ神経を補修したり、タンパク質をドーパミンやセロトニンといった神経伝達物質に作り替えるなど、「脳力向上」のためにもB群は欠かすことができないのです。
ビタミンB12について?