摂りたいアブラと避けたいアブラ-1
たんぱく質にしっかり働いてもらうためにもアブラを摂りましょうと言ってきましたが、アブラなら何でもいいわけではありません。
良質のアブラを選んで摂り続けていると、白目の色が白くなる、かかとがすべすべになるなど嬉しい変化が起こります。
良いアブラで細胞膜の質が良くなると、血管の流動性が上がり血流が良くなるので、網膜や身体の端の細かい血管まで栄養が届くようになるからです。
改めてアブラの種類をご紹介し、摂りたいアブラと避けたいアブラを具体的にお伝えしていきたいと思います。
そして、不飽和脂肪酸、つまり液体のアブラは、大きく分けるとオメガ3、オメガ6、オメガ9の3つに分けられます。
オメガ3系の油は、亜麻仁油、えごま油、青魚などに含まれるEPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)など、オメガ6系は米油、キャノーラ油など、オメガ9系は、オリーブオイルなどが挙げられます。
このうち、オメガ3系とオメガ6系のアブラは体内で作ることができない必須脂肪酸であり、必ず食事から摂る必要があります。
一方、オメガ9系のアブラは体内で作れるので必須ではありません。
中でも、できるだけ摂っていただきたいのがオメガ3系のアブラです。
多くの人がまったく足りていないので、積極的に毎日摂っていただきたいと思います。
ただし、オメガ3系のアブラは非常に酸化しやすいのが難点です。
亜麻仁油やえごま油は加熱するとすぐに酸化してしまうので、くれぐれも加熱料理には使わず、サラダや納豆などにかけて召し上がってください。
飲み物にスプーン1~2杯入れてもよいでしょう。
無味無臭なので、何にかけても味の邪魔にはなりません。
もうひとつの必須脂肪酸であるオメガ6系脂肪酸については、加工食品などに入っているため多くの現代人が過剰気味です。
逆にオメガ6系脂肪酸のアラキドン酸が体内で過剰となることで炎症の原因になっている可能性が指摘されており、オメガ6系脂肪酸は控えたほうがよいでしょう。
少なくとも、食用油などで積極的に摂ろうとしないでください。
ですから、脂質の摂取を考えるなら、オメガ3系脂肪酸を意識して摂るようにするだけで問題ないと思います。
サラダや納豆、温泉卵などに、亜麻仁油やえごま油と醤油または岩塩などを混ぜたものをたっぷりかけて、毎日召し上がってください。
加熱料理には、構造が安定していて酸化しにくい飽和脂肪酸、つまり動物性のアブラを使うようにしましょう。
私が炒め物に使っているのはラードです。
炒め用のアブラとしては100点だと思います。
バター、牛乳でもよいでしょう。
また、ココナッツオイルも加熱して大丈夫です。
ココナッツオイルは植物由来ですが飽和脂肪酸が多く、肉のアブラと同じチームです。
無臭のものも売られているので、おすすめです。
ただしココナッツオイルは、産地によっては粗悪品もありますので、JASマークや製造方法を確認することをおすすめします。
なお、オリーブオイルは身体に良いと思われている方が多いですが、オメガ9系脂肪酸であるオレイン酸は体内で作ることができますし、加熱によって酸化してしまうので、あえて摂る必要はないと思います。
ただし、良質なオリーブオイルには抗酸化作用が高いポリフェノールが豊富に含まれていますので、この点ではおすすめです。
摂るときは完成した料理に上からかけてください。
「9割が間違っている「たんぱく質」の摂り方 より」
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血管は「酸化」していくことで傷ついていきます。
たとえば、悪玉コレステロール(LDLコレステロール)が動脈硬化の原因になるということを聞いたことがあるかもしれません。
LDLコレステロール(以下LDL)が血管にへばりついて、プラークと呼ばれるこぶを血管の壁に形成していくのです。
でも、LDLには2種類あることをごぞんじですか?
それは、酸化したLDLと酸化していないLDLです。
LDLの中でも血管に悪さをしていたのは、実は酸化LDLだったのです。
ということは、血管を酸化から守るシステムがしっかりできていれば、酸化LDLは血管に付着しづらくなる。
それが血管老化を防ぎ、血管強化につながるということです。
この、血管の酸化を抑えてくれるのが、実はビタミンなのです。
ビタミンの中でも特に大事なビタミンが、ビタミンCとビタミンEです。
ビタミンCとビタミンEの抗酸化力は、非常に強力です。
心筋梗塞を起こした患者さんのグループが正常のグループよりも血中のビタミンC、ビタミンEの濃度が低かったとする報告もあります。
この2つのビタミンに、ビタミンAを加えた3つのビタミンは、いずれも抗酸化力が強く、ビタミンACE(エース)と呼ばれています。
そしてもうひとつ忘れてはいけない大事なビタミンがあります。
それはビタミンBです。
ビタミンBにはいくつかの種類があり、ビタミンBグループとして存在しています。
ビタミンBの抗酸化力は強くありませんが、細胞のエネルギー産生やエネルギー代謝を効率よくするためにはなくてはならないビタミンです。
体内で起こっている「酸化」の抑制にも間接的に関わっています。
B群は体中の細胞の正常な代謝活動を助ける「補酵素」として、欠かせない存在なのです。
ビタミンB12やB6、葉酸の吸収が悪くなると、ホモシステインという老化物質が増え、動脈硬化を生じることがわかっています。
また、ビタミンBは8種類すべてが互いに協力しあって体のエネルギーを生み出す働きに関わっているため、一緒にバランスよく摂ることがとても重要なのです。
ビタミンB12とは?