第3章 いい脂質を摂ることは健康につながる
いたずらに脂質を避けるのは禁物
「カロリーが高いものを食べると太る」と思い込んでいる人にとって、脂質はなるべく摂らないほうがよい食材と考えられています。
しかし、肥満の原因は血糖値を上げる糖質ですから、これは誤りです。
そもそも、いい脂質を摂ることは健康にとって大切な要素です。
脂質は単にエネルギ―源としてだけでなく、細胞膜の成分としても欠かせないものです。
私たちの身体にはおよそ37兆個の細胞がありますが、そのすべてを被う膜の成分となっているのが脂質です。
それだけに、いい脂質を摂ることはとても重要なことなのです。
では、どのような脂質を摂ればよいのかというと、現在は不飽和脂肪酸の「オメガ3」と「オメガ9」の摂取が推奨されています。
具体的には、普段から調理にはオリーブオイルを用いた青魚を食べるようにするのがおススメです。
一方で。リノール酸など「オメガ6」に分類される脂は動脈硬化、マーガリンなどに含まれるトランス脂肪酸は心筋梗塞を進めることが明らかとなっています。
また、開封した古い油も老化現象の主たるものである「酸化」が進むので、口に入れないのが賢明です。
お得だからと、つい大瓶を買ってしまいがちですが、小さな瓶を早めに使い切ることが賢い方法なのです。
脂質は万能エネルギー源
身体をつくる3つのエネルギー源
・糖質
・タンパク質
・脂質
身体を作るエネルギー源は「糖質」「タンパク質」「脂質」のうち、「脂質」はその6割以上を担っています。
良質な脂質は糖質制限の強い味方となります。
身体にいい脂質、悪い脂質
■脂肪酸の種類
<飽和脂肪酸>
・長鎖脂肪酸
牛肉や豚肉の脂身、バターなどに含まれる
・中鎖脂肪酸
ココナッツオイルやパーム油に含まれる
<不飽和脂肪酸>
・オメガ3系脂肪酸
えごま油、亜麻仁油、青魚などに含まれる・
・オメガ6系脂肪酸
コーン油、大豆油などに含まれる。
加工食品に多く使われ、過剰に摂ると生活習慣病の原因にも
・オメガ9系脂肪酸
オリーブオイル、べに花油などに含まれる
◆毎日摂りたい脂質
オメガ3系脂肪酸
◆適度に摂りたい脂質
オメガ9系脂肪酸
「糖質の話 より」
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血管力を高める食事は、炭水化物(糖)、塩分を少なめに、HDLコレステロール値を上げる食材を選ぶのが基本です。
これに外せないものが、たんぱく質を十分に摂る食事を心がけることです。
血管はアミノ酸、たんぱく質とコレステロールなどの脂質によってつくられます。
アミノ酸は普通の食事をしていれば十分にとれるので、動物性たんぱく質を意識しましょう。
たんぱく質はとくに血管中膜の結合を強くします。
動脈壁そのものを強くするので、脳出血などを防ぎます。
また、脳の機能にとって神経伝達物質がきわめて重要な存在です。
ドーパミン、GABA、セロトニンがよく知られていますが、アセチルコリンも重要な役割をもつ神経伝達物質のひとつです。
記憶力の減退も、脳の老化を示す典型的な症状ですが、記憶のネットワークを活性化する働きをしているのが、脳の海馬という組織であることはよく知られています。
その海馬には、アセチルコリン系神経が集中しているのです。
脳が老化し、萎縮してしまうアルツハイマーとの関係はとくに深く、アルツハイマーの脳ではアセチルコリンが減少していることから、アセチルコリン不足がアルツハイマーのひとつの原因とも考えられています。
アセチルコリンの合成にはコリン、ビタミンB1、ビタミンB12などがかかわっています。
同時にこれらの栄養をとることが、アセチルコリンを増やすことにつながるわけです。
通常、コリンはレシチン(フォスファチジルコリン)のかたちで、食材から摂取されます。
レシチンはアセチルコリンの材料になるだけではなく、細胞膜の材料にもなっています。
とくに脳の神経細胞の細胞膜にはたくさん含まれていて、多彩な働きをしています。
血液にのって運ばれる栄養の細胞内へのとり込みや細胞内の老廃物の排出、神経伝達物質の放出や情報ネットワークの形成といった、脳の機能全体に深くかかわっています。
これが、レシチンが「脳の栄養素」と呼ばれるゆえんです。
そのレシチンを多く含んでいる食品の代表が卵黄です。
なお、レシチンをアセチルコリンに合成するには、ビタミンB群が欠かせないため、同時にとることが望ましいのです。
ビタミンB12について?