高齢者のうつ

イメージ 1

高齢者のうつ

≪ほかの世代より多く見られる。見逃されることも多い≫
高齢者のうつ病は、ほかの世代に比べて多く、日本では高齢者の約8人に1人が、治療が必要な程度のうつ病であるといわれています。
また、高齢者のうつ病で注意が必要なのは、自殺の危険性が高いという点です。

身近な人との死別が大きなショックとなって心の張りが失われたり、孤独な生活になることで、うつ病を発症することは少なくありません。
また、年をとると、一般的に体の不調を訴えることが多くなります。高血圧や糖尿病、心臓病などの病気や、膝や腰の痛みなど、慢性的な病気を抱える人も急増します。
こうした身体機能の衰えに対する不安も、うつ病を招きやすいといえます。

さらに、高齢者の場合、すでに仕事を辞めている人が多く、若いころに比べると、収入も減ってきます。こういった経済面での先行き不安も、うつ病の発症につながることがあります。

高齢者のうつ病は、老化現象として放置されることが多いのが現状です。
うつ病のサインを見逃さず、早い段階で適切に対処することが大切です。

認知症との違い
高齢者のうつ病は「アルツハイマー認知症」とまちがわれることがあります。両者に「物忘れ」など共通の症状が見られるからです。

うつ病では、比較的急に物忘れが現れますが、認知症では、半年から1~2年の長い期間をかけてだんだんと物忘れの症状がはっきりしてきます。
また、うつ病では物忘れや憂うつ感などの症状を本人が強く訴えますが、認知症では、症状を軽めに言ったり否定したりすることがあります。

似ている症状があっても、うつ病アルツハイマー認知症の治療法は根本的に異なります。
また、2つの病気を合併することもあるため、精神科などで適切な診断を受ける必要があります。

≪周囲の人はうつ病のサインを見逃さないことが大切≫
高齢者のうつ病で重要なのは、本人も周囲の人も、うつ病の症状を“年のせい”と決めつけないことです。
例えば、友人が他界して元気がなかったり、「眠れない」と訴える高齢者に対して、周囲の人は“年をとれば元気がなくなったり、睡眠時間が短くなるのは当然”と決めつけず、うつ病の可能性も考えて受診を勧めることが大切です。

高齢者のうつ病も、治療の基本は「抗うつ薬」による「薬物療法」で、副作用の少ない「SSRI」や「SNRI」が用いられます。ただし、高齢者の場合、肝臓や腎臓の機能が低下して、薬の副作用が起こりやすいので、若い世代の患者さんよりも少なめの量が処方されます。

また、治療では休養が大切ですが、その際には、体のさまざまな症状や、生活上困っている問題などに対して、家族をはじめとする周囲の人たちがきめ細かい対応で支えていくことも必要です。

うつ病の症状がよくなってきたら、高齢者自身が、生きがいを見つけることも大切になります。

最近では、うつ病に関する正しい知識を広め、自殺を予防するため、“高齢者のふれあいの場”を提供する自治体もあり、少しずつ成果を上げてきています。
今後、高齢者人口がさらに増えていくなかで、高齢者のうつ病や自殺を防ぐためには、国をあげた対策が必要になると思われます。

◆ 脳血管障害とうつ病
「脳血管障害(脳卒中)」を起こした人の約30~50%は、うつ病を発症するか、うつ状態になるといわれています。

その理由として、後遺症のストレスがあげられます。後遺症として起こることのある「麻痺」や「失語症」などにより、これまでできていたことができなくなった失望感が、うつ病を招きやすいのです。
入院による生活環境の変化がストレスとなり、発症することもあります。
また、脳血管障害による脳のダメージが、直接、意欲や気分をつかさどる脳の部位に及ぶと、うつ病になりやすいとされています。

脳血管障害を起こした人がうつ病になると、意欲が低下して、リハビリテーションが十分にできなくなり、後遺症が悪化することもあります。
うつ病の症状が現れたら、うつ病の治療もきちんと受けることが大切です。「きょうの健康 より」

脳と神経の修復・再生のビタミンB12
http://www.endokoro.com/