血管壁の老化が招く高齢者の脳梗塞

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血管壁の老化が招く高齢者の脳梗塞
 
心血管病に対する一般のイメージは、栄養のとりすぎによってコレステロール値が高くなり、血液がドロドロになって血管が詰まるというものでしょう。
それが脳の血管で起きると脳梗塞になるわけです。
 
このタイプの脳梗塞は、医学的にはアテローム血栓脳梗塞と呼ばれています。
血管の内部にアテロームと呼ばれる粥状の物質が沈着するために、血管の内側が狭くなって血流が悪くなって起きる症状です。
これは欧米に多いタイプの脳梗塞で、脳の表面を覆っている太い血管(皮質枝)が詰まり、皮質下に大きな梗塞ができるのです。
 
ところが、これとは別に、ラクナ梗塞と呼ばれるタイプの脳梗塞があります。
これこそが、低栄養の高齢者に起きやすい脳梗塞なのです。
 
これは、血管が弱くなり壊死して血管壁に傷がつき、そこに小さな動脈瘤ができ、やがてそれが破裂すると脳出血、詰まると脳梗塞が起きるというものです。
脳内を貫通している細い血管(穿通枝)に起こりやすく、神経の信号を伝える通り道に出血や梗塞が起きるため、大脳から脊髄の神経に行く道が断たれてしまい、半身不随といった症状が起きます。
脳出血はだいぶ減少してきましたが、ラク脳梗塞は日本の高齢者ではまだまだ多いのです。
 
2003年ごろに、脳卒中の患者さんを200人ほど集めて調査をしたことがあります。
そのときに、患者さんをいろいろなタイプに分類したところ、やはり血管が弱くなって起こるラクナ梗塞が脳梗塞全体の五割を占めていました。
 
この二つの血管病を混同して、どちらも脳卒中脳梗塞として扱っていることに大きな問題があると思います。
欧米や都会に多いアテローム型を予防することばかりを重視して、コレステロールがいけない、脂質がいけない、動物性食品がいけないと、医師もメディアも声を揃えているわけです。
 
おかげで、日本の一般的な高齢者まで、肉、脂肪が血管を詰まらせるという強迫観念にかられているのが現状ではないでしょうか。
そのために、今度は逆の問題として、高齢者に低栄養状態が起きてしまっているのです。
 
実は、「日本に多い脳梗塞は、欧米型のものとはタイプが違う」「低栄養が脳梗塞の原因となる」という事実は、かなり以前から報告されていました。
疫学データをもとにして1960年代からそうした発表をしていたのです。
 
ところが、その論文をアメリカの有名な医学ジャーナルに投稿しても、受け付けてもらえなかったといいます。
肉や油を大量にとる食生活のなかで、アテローム梗塞ばかりを見ていた欧米の学者にとっては、低栄養で脳梗塞が起きることなど信じられなかったのでしょう。
 
もちろん今では、低栄養、低コレステロール脳梗塞が起きることは、医学界の常識となっています。
ただ、脳梗塞というと、あまりにも栄養過剰、高コレステロールが原因だという印象が強いために、なかなか一般の人にはなじみがないのが実情です。
 
ところで、コレステロールにも二つの種類があることは、よく知られるようになりました。
 
「同じコレステロールでも、HDLコレステロール(善玉コレステロール)はいいけれど、LDLコレステロール(悪玉コレステロール)は限りなく少ないほうがいいのではないか」、そう考えている方も多いでしょうが、必ずしもそうとは限りません。
一般に、LDLコレステロール140以下にすべきというガイドラインがあるのですが、これが100を切ると、高齢者では逆に心血管病が増えてくることがわかっています。
ですから、LDLコレステロールを「悪玉」と呼ぶことが正確であるかという点にも疑問が残ります。
 
一方、HDLコレステロールが「善玉」であることは間違いなく、こちらは高いほどよく、低いほど問題があるようです。
50歳を過ぎたら「粗食」はやめなさい! より」
 
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   認知症とビタミンB12の関係の本当のところは?
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ビタミン欠乏症が原因で、認知症になるケースがあるそうです。
ビタミンの種類は、ビタミンB1、ビタミンB12葉酸
 
ビタミンが欠乏すると、記憶障害、無気力、集中力の低下、妄想、錯乱の症状が出ることは事実です。
東京武蔵野病院 副院長 田中信夫先生によれば、認知症患者の血中ビタミンB12は、通常の人より少ないそうです。
認知症患者に、ビタミンB12を投与すると、ボケ症状、特に感情障害、夜間せん妄、意欲、自発性の障害などの精神障害が軽くなると言われています。
 
老人の認知症3割~5割を占めるアルツハイマー病の場合は、脳細胞が萎縮する病気です。
この萎縮を食い止めるためには、脳細胞を生成するためのタンパク(アミロイドβタンパク)合成、核酸合成が順調に行われる必要があるのです。
ビタミンB12は、タンパク(アミロイドβタンパク)合成と核酸合成の両方に役立っています。
 
さらに、ビタミンB12は、脳からの指令を伝達する神経の働きを助けます。
十分にあると、集中力ややる気が高まり、不足すると神経過敏などの症状が起こりやすくなるのです。
脳や神経とも関連が深く、不眠症にも効果があるといわれています。

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残念ながら現代社会に生きる私たちは、栄養的に見るとかなり厳しい環境に生きています。
まず、野菜は昔と変わらぬ色や形をしていますが、栄養価は、ずいぶん非力になっています。
今のニンジンは、50年前の8分の1から20分の1にまで低下していると言われています。
 
化学肥料や農薬などが使われ、ハウス栽培によって旬がなくなり、また、収穫後の輸送・陳列・保存、こうした時間の経過、さらに調理することで栄養価が消失します。
果実なども栄養価が未熟なまま出荷され、また畜産物や海産物も例外ではありません。
 
私たちは今の環境の中で最善の方法を模索するしかありません。
大切なのは、毎日、ちゃんと噛んで食べること。
よく噛んで食べることは脳の発達によい、ということは科学が証明しています。
まずは食事・生活習慣を見直し、「栄養価の補充」としてサプリメント(栄養補助食品)を活用してみてはいかがでしょうか。
 
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