
認知症は脳の栄養不足
これまでの調査では、栄養状態が認知機能とも関連があることがわかりました。
低栄養の状態が長く続くと、認知機能が低下して認知症になりやすくなるのです。
もちろん、認知症の原因が食事だというのではありません。
しかし、それを促進したり、進行を抑えたりする要素が食事にあるのは不思議ではありません。
認知機能と医療費や介護費との関係を調べてみました。
まず、MMSE(簡易認知機能検査、30点満点で得点が高いほどよい)という検査を行い、その成績から26点以上群(正常群)、24~25点群(軽度低下の疑い)、21~23点群(軽度から中等度低下の疑い)、さらに20点以下群(認知症の疑い)の4群に分けました。
そして、それぞれの群に入る高齢者がその後の4年間に使った医療費や介護費を調べ、その合計金額を比較したのです。
一人あたりの高齢者が1年間で使った平均費用:医療・介護給付費(万円/人・年)
26点以上:37.2、24-25点:53.3、21-23点:82.4、20点以下:145.4
このように、認知機能と医療費や介護費用は非常に深い関係があって、認知機能が落ちてくるほどそれらの費用はかさんできます。
体格と介護費用の関係も調べてみました。
1000人近くの高齢者を39ヶ月にわたって追跡調査した結果です。
男女ともBMIがもっとも低い人、つまりやせている高齢者のほうが、介護費用をたくさん使っているのです。
いい換えれば、太っている人のほうが元気なのです。
しかし、日本人のBMIは25でも高いほうで、30を超える人はほとんどいません。
地域にもよりますが、その比率は1%から3%程度。
前述のように、患者さんの認知機能が落ちていくと、それに要する医療費や介護費用は雪だるま式にかさんでいきます。
ですから、なるべく早めに手を打って、認知症の進行を遅らせることができれば、それが社会的な負担を減らすことにつながるのです。
もちろん個人差はあるでしょうが、患者さんの栄養状態を向上させることが、その一つの方法になるかもしれません。
「50歳を過ぎたら「粗食」はやめなさい! より」
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ビタミン欠乏症が原因で、認知症になるケースがあるそうです。
ビタミンの種類は、ビタミンB1、ビタミンB12、葉酸。
ビタミンが欠乏すると、記憶障害、無気力、集中力の低下、妄想、錯乱の症状が出ることは事実です。
さらに、ビタミンB12は、脳からの指令を伝達する神経の働きを助けます。
十分にあると、集中力ややる気が高まり、不足すると神経過敏などの症状が起こりやすくなるのです。
脳や神経とも関連が深く、不眠症にも効果があるといわれています。
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残念ながら現代社会に生きる私たちは、栄養的に見るとかなり厳しい環境に生きています。
まず、野菜は昔と変わらぬ色や形をしていますが、栄養価は、ずいぶん非力になっています。
今のニンジンは、50年前の8分の1から20分の1にまで低下していると言われています。
化学肥料や農薬などが使われ、ハウス栽培によって旬がなくなり、また、収穫後の輸送・陳列・保存、こうした時間の経過、さらに調理することで栄養価が消失します。
果実なども栄養価が未熟なまま出荷され、また畜産物や海産物も例外ではありません。
私たちは今の環境の中で最善の方法を模索するしかありません。
大切なのは、毎日、ちゃんと噛んで食べること。
よく噛んで食べることは脳の発達によい、ということは科学が証明しています。
まずは食事・生活習慣を見直し、「栄養価の補充」としてサプリメント(栄養補助食品)を活用してみてはいかがでしょうか。
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